近所のマーケット前に、週に一度、日曜日だけやって来るお茶屋さん。
お父さんであるご主人と、その息子さんのお二人が、いらっしゃるお客さん達に、温かく、優しく、心ある接客でお茶を売る。
私は決まって、その場で混ぜ混んでくれる、抹茶入りほうじ茶を注文する。
購入しているそばから、次々とご年配のお客さんがやって来ては笑顔で話しをし、お茶を買って行く。
そんな日常の日曜日の風景は、なんとも心暖まる風景だった。
特におばあちゃま方は、品のある、優しく素敵なお二人の親子とお喋りをする事で、心の活力と元気をもらっているようだった。
そして、そんな光景から、しばらく息子さんの姿しか見かけなくなったある時、お父さんの事を何気なく聞いた。
「亡くなったんですよ。」
その言葉を聞いた途端、驚きのあまり声をあげた。
このコロナ禍の中、ガンが見つかり、治療するには、家族とは面会も出来ず、病院での治療で終わる場合もある。
そして、ご主人が選択したのは、最期まで家族と共に過ごせる、治療ではなく、家での療養だった。
そうして、家族に見守られながら、天国へと旅立ったという話しを聞き、涙がこぼれた。
ご主人は、1からこのお茶屋さんを立ち上げた。
店舗は持たず、こうして色々な場所を拠点としてお茶を販売するスタイルで拠点を増やしていくには、人望や努力、懸命なひたむきがなければ、到底獲得しえなかった、努力の賜物があると思う。
そんな大切な販売拠点は、お父さんから譲り受けたもの。
そして、息子さんがそのあとを受け継ぐ。
「父親がいた時は、なんでも相談が出来ましたが、今は、相談出来ないのが淋しい。」
と、語った息子さん。
マーケット前で、一人お茶を販売するのは、淋しくもあり、時に辛い時も多々ある事だろう。
でもきっと、乗り越えなければならない壁なのだ。
私は、たくさんの笑顔と優しさをくれたご主人に哀悼と、息子さんへの応援の意味も込め、手紙と花を贈った。
息子さんはとても喜んでくれ、手紙はこれからのお守りにしますと言ってくれた。
そして、次に伺った時には、お返しにと急須をプレゼントしてくれた。
白い花が咲いた、ピンクとグレーの渦巻き模様の、温かく優しい色合いの、急須だった。
この急須で飲む、購入した抹茶入りのほうじ茶の味は、又格別だった。
コロナ禍の中、これからも、容赦なく現実は襲いかかるだろう。
その度に、悩み、心を痛める事も多々あるだろう。
けれど、必ず、人が人を救ってくれると信じている。
これからも、この街に、Green Teaが幸せを運んでくれるに違いない。