2020年国内作家第1位のSFがこれ。

著:伴名 練(はんな れん)

ジャンル:SF

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 この本を読むにあたって色々な事を考えたが、今回は正直に記事にしてみよう。

ちょっと長くなるので悪しからず。

 

 まず、この本は「SFが読みたい 2020年版」の国内作家第1位だった。

私は正直なところ、伴名練と言う作家を全然知らなかったし、興味もなかったので

過去記事の「SFが読みたい」に敢えて国内作家の順位を記載しなかった。

海外作家は3位まで記載した。

「三体」と「巨星」と「ビット・プレイヤー:が海外上位だった。

 

 で…。 その記事に…。

 コメントで、この「なめらかな世界と、その敵」をご紹介頂いたわけだけど。

実は聞いた事も観た事もなかった書籍だった… と言うか、関心がないのだし。

近くのTSUTAYAに「FF7リメイク」を予約に行ったときに、検索機でこの本を検索したら。

なんと・・・「在庫アリ」と出た。 ほ~っ、観に行くかと書棚にいけば…。

あった。 しかも、ハードカバーぢゃないか。 どうりで知らないわけだ。

私は小遣いと書棚のスペースの関係上、まずハードカバーは買わない。

「三体」を買ってなかったのも「三体」はハードカバーしか出ていないからだ。

(うちの相方はこの本を読んでいる私をみて「今回はまともな本を読んでいるのね」

と、ぬかしやがった。 文庫本は「まともな」本ではないのか? 文庫本の神に

呪われたらいい)

 

 ハードカバーか… げげっ、1,700円+税て高いやないか…。と、思いつつ。

「FF7リメイク」は溜めに溜めた12,000ポイントものTポイントで買おうと思って

いたが9,000ポイント程度で済むようなので、残る3,000ポイントで買えない

事はないかと英断(笑)した。

まぁ、そんな経緯で我が家の書棚の仲間入りになった。

 

 正直、表紙絵が私は気に入らん(笑)。

なんだこのライトノベルのような少女のイラストは…と、思いつつ…。

掲載されている作品は全部で6作品…寸評になるけれど、これまた

正直な感想を書いてみるので、是非、お手数だけどこの記事を読まれる方は

最期まで読んでみて欲しい。

私の感想の変遷がきっとわかるかと思う。

 

「なめらかな世界と、その敵」

この表題作はネットで無料公開されているそうな。

私はネットでは観なかったし、観たらきっとこの本は買わなかったと思う。

 

 無限の平行世界に存在する自分を次々意識で自由に乗り換えることが

当たり前にできる力をもった世界の女子高生の話…って、ややこしいな。

アイドルになった自分もいれば普通の女子高生の自分もいれば・・・

それらを自由に意識で行き来できる力。

これ、時制は同じなのになんで夏の学校でいて冬の景色が観れるのか

私にはわからない…時間が相違する平行世界なら物語の中でヒロインが

拉致されて他の世界の知り合いに助けを求めるのには時制が同じで

なければならず…。

若干、世界設定を理解するのに時間がかかったが、やっぱりライトノベル

のノリなので私の好みではない話だった。

一話読んで、最後まで読むのは嫌になった。

 

「ゼロ年代の臨界点」

 ドキュメンタリー風に過去のSF作家の歴史が描かれている短編。

最初、あれ?これって本当か?と思ったが、そんな歴史は私は知らない。

そういう歴史の世界の話と理解するのにちょっと逡巡した。

こんな視線の日本SFがあるんだと、ちょっと感心したが話そのものが

いまいち面白くない。

 

「美亜羽へ贈る拳銃」

はぁ? ミァハ?

ヒロインの名前は美亜羽… ミァハって確か伊藤計劃の「ハーモニー」に

登場するヒロインの名と同じ。(変わった名前なので憶えていた)

しかも、「ハーモニー」はナノマシンで健康を維持する世界の話だし

これはナノマシンで脳のインプラントを構成し、感情を制御する話。

パクリか?と正直思った。

この本の背表紙に「ハーモニー」にトリビュートを捧げる…と、書かれて

あるのを後から知った。

はっきりいって、薄い内容をごちゃごちゃ膨らました話だと言う感想を

持った。

どんでん返しが多すぎてかえって飽きる。

 

「ホーリーアイアンメイデン」

これも「ルビンの壺が割れた」みたいな、手紙で話をつづる形式の物語。

しかも、その手紙が届くころには私は死んでいるでしょう…という話の

妹から姉への遺書めいた呪詛。

形式は面白いけど、内容はいまいちというか。

だからなに? と、思ってしまった。

 

 

「シンギュラリティ・ソヴィエト」

おっと、これは面白い。

アメリカとソヴィエトがお互いの人工知能で対決(?)する話。

あまりに人間離れした対決なので、オチが面白過ぎるが。

登場人物やその環境、人工知能に駆使される人間の姿が結構いい。

この作家の力量が見えてきたようなお話。

あちこちにSFの小ネタ… たとえば、ドウエル製薬の生首が…とか

(「ドウエル教授の首」については私も記事を書いている。)

そんな記述が見えかくれする。

この世界観はちょっと斬新だし、大人向けのSFかと思う。

 

 

「ひかりより速く、ゆるやかに」

本書の中で唯一書下ろしの作品。

冒頭こそ「時間封鎖」の新幹線バージョンか!?と思ったが。

伏線も効いているいるし、相変わらず小ネタも多い。

ヘタレ男子とヤンキー女子の活躍もいい。

殆ど「時間封鎖」のレベルでなにかに囚われてしまった東海道新幹線

の「のぞみ123号」をめぐるストーリー。

緻密な展開と、なによりハッピーエンドが素晴らしい。

これは大変面白かった。

まぁ、「ひかり」より「のぞみ」の方が早いんだけどね(笑)

 

 

 ほ~。

 この作家、あなどれないかもしれない。

 最初はホラー作家だったようで「少女禁区」と言うホラー文庫が

 出ているようだけど、これがなかなかない。

 ネットサルベージしてまで読むべきか検討中。

 ラストから二作品が非常に面白かったので、引き続き作品を

 追いかけて読んでみるか…と、思っている。

 ご紹介頂いた「たぬき」さんに感謝。

 

 これが3月度5冊目の本。

 4冊目は記事にするかなぁ(笑)

 

 

 

 

 ※↑アメーバピックとやらを初めて使ってみよう(笑)