スペキュレイティブ・フィクション祭り!!

編:ハーラン・エリスン

ジャンル:SFアンソロジー

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 いやもう、「素晴らしい!」の一言だった。

たぶん、中・高校生の頃にこれを読んだとしても面白さは理解できなかったに違いない。

62歳の今だからこそ、めちゃくちゃ面白く読めたんだろうと確信する。

本当にこんな珠玉の名作の書き手たちが私の生まれた頃に活躍していたのだとしたら

日本のSF作家の作品に市民権が生まれたのはずっと後だと納得する。

ちょっと悔しいけれど、日本のSF作家ではこれらの作品には太刀打ちできない。

どこからこんな発想が生まれるのか… 世界のSF作家 おそるべし。

これが、日本では三分冊され、アメリカでは分厚い一冊で販売されているというのだから

こんなの一気に読める読者がうらやましい。

(勿論、三分冊でもほぼ一気に読んだけれど)

 

■収録作品

 ・「男がみんな兄弟なら、そのひとりに妹を嫁がせるか?」 シオドア・スタージョン

  これは、オチが読めてしまうが、話のもって行き方が天才的にうまい。

 ・「オーギュスト・ケラロに何が起こったか?」 ラリイ・アイゼンバーグ

 ・「代用品」 ヘンリー・スレッサー

 ・「行け行け行けと鳥は言った」 ソーニャ・ドーマン

  ホラーチックでハラハラします。

 ・「幸福な種族」 ジョン・スラデック

 ・「ある田舎者との出会い」 ジョナサン・ブランド

  ブラック・ジョークもここまでくると…

 ・「政府印刷局より」 クリス・ネヴィル

  あの!「ベティアンよ!帰れ」の作者はこんなのも書くんだと驚き。

 ・「巨馬の国」 R・A・ラファティ

  これは、面白い。 伝奇小説風。

 ・・「認識」 J・G・バラード

  不気味な世にも奇妙な物語。

 ・「「ユダ」 ジョン・ブラナー

 ・「破壊試験」 キース・ローマー

  さすがは、ローマーと言う感じの面白さ。

 ・「オーシノーマ・エンジェルス」 ノーマン・スピンラッド

  ハーラン・エリスンも「ランゲルハンス島より」と言うよく似た感じの作品を書いている

 ・「異端車」 ロジャー・ゼラズニー

 ・「然り、そしてゴモラ…」 サミュエル・R・ディレイニー

  「バベルー17」の作者はこんなのも書くんだ。

 

 さすがに、三冊目の後半はメジャーどころが目白押し。

 飽きさせない構成になっているのがエリスンの編者としても凄いところ。

 いずれも、序文はエリスンが、あとがきは作者本人が書いている。

 この序文とあとがきがまた小説並みに面白い。

 

 私、この三冊は少々ロス気味になっている。

 あまりに面白過ぎる。

 次に何を読もうか、考え中。

 SF好きな方には、これはぱい印お勧め