意味の浅い言葉を交わして納得と満足を得る君は可哀想な生き物だね。


君は最近、かつて此方が繰り返した魔法の言葉を自分から言うようになった。
同じ魔法を、此方にかけられると思っているんだろうか。

残念ながら、

「君だけの」

その魔法が効くのは自我の弱い依存に飢えた君のような生き物だけなんだよ。
君に対する関心の低い此方には戯れ言以下にしかなり得ないのだ。


最近此方が何を考えているか知らない哀れな君へ。

君をどうやって捨て置いてあげようか、そればかりが悩ましいよ。
小さな子猫を拾い上げたのは、子猫の夢見た心優しい王子ではなく意地の悪い詐欺師だった。




好き、や愛してる、
そんな言葉の意味や本質ではなく響きに依存する生き物はよくよく人間だけなのだ。
言葉を持つがゆえに人間は言葉に縋るようになった。



拾われたばかりの子猫は砂糖菓子のような甘い恋を思い描いてさ迷っていた。
駆け引きと些細な嫉妬と有り余る独占欲。


耳に押し当てた機器から聞こえる芝居のセリフはさぞかし子猫を甘く甘く撫でたことだろう。




近頃暇を持て余し始めた詐欺師の手のひらの上とも知らず。
ほら、ほら。
可哀想に。

子猫がまた

迷い込んできた。



だから言ったのに



近寄りすぎると



堕とされてしまうよ、って。