あるとき、大学教授だったかその人が

「高齢者は〇ねばいい」

そんな過激な発言が出た。
おそらく売名行為的な発言だったと思う。

しかし、SNSではその過激な発言を喜んでいるような反応が多かった。

私は絶望的な悲しみを感じた。

いつから日本は こんなひどい国になったのだろう。

今の人達は、自分達が不幸な生活を送っているのは高齢者のせいだと本気で思っているのだろうか。

日本経済が落ち込んでいるとはいえ、まだGDPは世界第4位。
世界のトップレベルにいる。

今の高齢者は、日本が昭和20年に敗戦し、何もないどころか、マイナスの状態から、世界屈指の経済大国にした人々である。
それも短期間にだ。

焼け野原から、食べる物に事欠きながら、現在の高層ビルが立ち並ぶ日本にするのに、どれだけの苦労があったのだろう。

山崎豊子の何の小説だったか忘れたが、日本の商社マンが原油を買いにある中東の国に、ゴキブリだらけの小屋に何週間か過ごして権利を買い取る、そんな描写がある。

山崎豊子の小説は事実に基づいた小説である。

あの有名な『白い巨塔』は、某大学病院の話で、主人公財前吾郎のモデルも実在したと、その大学出身の医者から聞いたことがある。

だから、商社マンの描写も全くの フィクションではないだろう。


日本が経済大国になったのは、当たり前ではない。
今の高齢者の人々が、それこそ命がけで勝ち取ってきた。
そのことを忘れていないだろうか。

私が若い頃、ソニーのウォークマンが世界的大ヒットになった。
世界中の若者が、ウォークマンを耳につけて最先端の流行を楽しんだ。
今のiPhoneの先駆けだった。

世界をリードする製品を作り出す力が日本にはあったのである。

学生時代、英国の英語学校に行った 時、

「日本はすごい国だよね。車も電化製品も。ファッションだって、コムデギャルソン。あんな洋服見たことない。日本の製品はすごいから買いたいけど、高くて買えない…」

ホームステイ先の娘さんに言われた。

彼女の部屋には日本製のレコードプレーヤーがあった。
日本価格の約3倍の値段で買ったという。
信じられなかった。

今の日本が、世界に絶対負けない製品って一体いくらあるのだろうか。

バブル崩壊後の平成の経済停滞…
国が悪い、誰が悪い、そんな発言ばかりである。

敗戦国が世界第2位の経済大国になったという事実は、今の高齢者の不屈の努力がなければあり得なかったという事実は絶対忘れてはならないと思うのだ。

「最近の若者は…」など言いたくない。

ただ、何か忘れてないか。
何不自由ない生活を享受出来るのは、当たり前ではないのだ。

回復期リハビリテーション病院で、私は人生の先輩達と一緒に患者として暮らした。
私にとって貴重な経験だった。

本当に律儀な人達ばかりだった。
暖かい人達ばかりだった。


現在進行中のイラン戦争…
ホルムズ海峡の封鎖…

漠然とした不安とともに、山崎豊子の小説、あのゴキブリだらけの小屋にいる商社マンを思い浮かべる。

ホルムズ海峡を通過するタンカー…
あれは、先達が必死に日本のために勝ち得た原油なのだ…

彼らは、まず「国家」を考えながら、仕事をしたのではないだろうか。
私達はそのおかげで生きている。

自分の残業代ばかり気にする人間には、世界を驚かすような製品は作れない。

ホルムズ海峡のニュースを見る度にそう思う。



このブログは、あくまでも一素人患者が経験したことを、思ったことを書いていることをご理解いただけるとありがたい。