フィクションの世界が暗いと気が滅入る | 人はパンのみにて生くる者に非ず 人生はジャム。バターで決まり、レヴァーのようにペイストだ。
久しぶりにアニメ「エンジェル・ハート」を見た。リアルタイムで少し見たことはあったが先日、まとめてザーッと見たわけである。

エンジェル・ハートは、シティーハンターの続編と云うかパラレルワールドと云うかアナザーストーリーと云うか、同じ時空に閉じ込めるならばシティーハンターの数年後の世界になる。したがって登場人物は若干年を取っていて、完全な続編ではないのでいるはずの人がいなかったり、ちょっと違った姿になっていたりとするわけだが、リアルタイム時は老けた冴羽獠にちょっと嫌な感じがしたものであるし、何よりも香を殺すなよと云うところもあったのだが、兎に角、暗い雰囲気に覆われていてげんなりしたものだ。そりゃあ、香が死んでいるわけだから陰鬱だ。

そんなあまり好きではなかったエンジェル・ハートと再会して思ったのは、ストーリーは面白くて割と引き込まれて次々に見ることが出来た。中国・・・と云うか台湾なのか、あっちのマフィアを出してくるのは時代の変化を感じさせた。舞台が新宿・歌舞伎町だからそうなるわけだ。シティーハンターは80年代から90年代初頭の新宿の姿を元にしている。

で、「エンジェル・ハート暗い問題」なのだが、やっぱり暗いね。この作品は家族愛がテーマで、ところどころサラダを彩る新鮮な野菜や果物のピューレの如く、ぴゅぴゅっと温かさが現出するのだが、全体のトーンとしては陰鬱さに包まれたものとなっている。これが1話2話の範囲ではなくてずーっと続いてゆくわけで、滅入る。戦士として育てられた主人公の少女がシティーハンターの登場人物らとの交友を深める中で人間らしい心を育むとの設定なので、台詞がたどたどしいと云うかぶっきらぼうな感じで、それもまたイラつかせる原因になっている。声優自体の演技・声の佇まいもイマイチなところはあるのだが、輪をかけてその設定がネガティヴな方向へ出てしまっている。結論としてはやっぱり、気が滅入る。