TMNの復活?(TM NETWORKではなく) | 人はパンのみにて生くる者に非ず 人生はジャム。バターで決まり、レヴァーのようにペイストだ。
11年ぶりとなるSKE48のオリジナル新公演「愛を君に、愛を僕に」のリード曲が発表された。

秋元康が新公演を書き下ろさないと云う課題があったわけだが、すっかり盟友になった感のある小室哲哉が手掛けることになったものである。一部楽曲の作詞・作曲を木根尚登が手掛けているそうだから、基本的に作詞も秋元康ではなく小室先生によるものだろうと思われる。本作には英詞が入っていない。先生作詞で全て日本語と云うことになると、1993年発売のTMN「一途な恋」が思い起こされる。


面白いと思ったのは、公演名と同じ名の本作「愛を君に、愛を僕に」の音も非常にTMNなところである。TM NETWORKではなくTMN(1990年-94年)なのだ。本作からは1991年発売の「WILD HEAVEN」のフレイヴァを真っ先に感じた。次に感じたのは94年のTMN終了ライヴである。使われている音色がどうも似通っているのだ。或いは93年発売のリミックスアルバム「CLASSIX」的なものも感じられる。90年代前半の小室哲哉の音が蘇っている。そんなわけでTMNを感じる本作だが、その中でもメインとなり得るザ・TMNとでも云うべき音の3曲をまとめている人が居た。


TM NETWORKには色々なコンセプトがあったが、TMNにはコンセプトが無かった。コンセプトが無い、何でもやると云うのがTMNだった。宇宙的、機械的なTM NETWORKから都会的、もっと云えば東京人的なTMNと云った印象を受けたものである。そのことはTMN最後のオリジナルアルバムである「EXPO」に色濃く反映されていて、メインはハウスなのだがフォークなんかも入っていたりして、特にこのアルバムを引っ提げてのライヴツアーはホントに何でもアリのステージであった。「EXPO」と云うのは博覧会であるわけだからパビリオンが色々あるわけで、ここはハードロックなパビリオン、ここはフォークパビリオンと云ったように小テーマを色々と設けて、全体として一つの博覧会にコーディネイトしていった。この辺りの方法論も新公演の構築へ向けて役立つ部分があるのかなと云った印象も受けたものである。

音としては古いけれど、耳には残る小室節。公演曲なのだから音に新しさは要らない。そもそもAKB系列の名曲だって音的には古い。新しくはない。「ハート型ウイルス」はとても好きな曲だが世に出た2008年時点でも「古い」曲であった。新しい音に拘る必要性は全くない。