はるかなる楽園 -11ページ目

はるかなる楽園

それは、何処かのもう一つの世界のもう一つの物語たち・・・・。





義理の息子を持った娘と

夜の港で結婚して

クソ生意気なブロンドの男の子と映画を撮ろうと約束した

女だけの数十秒の会合に締め出されて

おれはスーツに着替えて電車に乗った。


立体交差のエスカレーターを逆走して

そこを止められて所ジョージの扮装をした駅員の清水アキラにこっぴどく怒られる。

曽我部

串刺

御殿場

見知らぬ駅

おれは座席に寝そべったまま終点へ着いた。

どうやら寝過ごして特別快速で最果ての駅まで来てしまった。

そして目的地の分岐を間違えた方向の線に乗ってしまった。

仕方なく下車し広く大きな古い駅を散策する。

白塗りの男女が路地に這い蹲り物乞いをしている。

おれは情け無い小銭だけの革財布から百円玉を二枚探し施そうと思った。

すると修道服に身を包んだ黒髪の白人とのハーフであろう背の高い美少女が

蝋石のようなパワーストーンを25円~38円と破格の値段で売っていた。

蝋石が一つずつ隔離されボールペンで名前が記された木箱の中には、

既に虫食い状態で数本の石しか残っていなかった。

おれはラピスラズリ・*****と書かれた石を素敵だと言った。

そうすると少女は

体裁と健康を望んでいられるのですね

と楽しげに言った。

少女はその蝋石をやさしくおれの口へ入れた。

粉っぽさの中に甘味が感じられると告げると少女は大層喜んだ。

少女はプリントTシャツとピンクのショートパンツに着替えた。

黒髪のかつらを取った少女は波打った長い金髪をしていた。

少女にカラーコピーのビラを渡される。

そこにはダサくて、パっとしない服装をした白人の美少年と

その少女が写っていた。

なんだよ、

二人っきりのチープな新興宗教の布教活動だった訳だ。

けれどルックス至上主義のおれは美少女に声を掛けられ喜ばれた事に喜んで

踊っていた。

昨晩、家族になった義理の息子を持つ少女と同じ家族の

おれの、お目付け役が登場。

にきびとそばかすだらけの貧相でヘンな顔の大男。

ガキのくせに。

おれの頭のてっぺんを利き腕の掌ではたき、

“何だ!この女は!!”

と問い詰めるが、

おれはそいつを無視して少女にビラの事を問う。

ビラの中央に稚拙なキューピーみたいな球体関節人形がでかでかとプリントされていた。

“人形好きなの?”

と、おれが問うと喜び勇んで少女は

“人形好きなんですか?”

と、おれに切り返してきた。

おれは

“大好きだよ。特に堀佳子とか天野可淡とかね”

そう返すと少女は黒目がちなおおきな緑の黒目を細くして大歓喜。

おれに飛びついて、薄い胸でおれの顔を覆った。

“人形好きなら絵とかも上手なんじゃないんですか?”

と少女は問う。

おれは

“絵は描くけれどあんまし上手じゃないんだ”

そう答えると、瞬間に世界と空間は薄暗く小狭いクラブのダンスフロアーに切り替わる。

そこにモーター動力の踵で滑る、

ぶちゃむくれのババア顔の醜い顔の女サイボーグが現れ

“ダンスで勝負しろ”とおれに言う。

おれはむかしクラブで踊ってた感じで爆音とスリップ音の中で踊る。

そうしているとブサイクなサイボーグ女は去り、ゴス服を着たさっきの少女が現れる。

少女は踵のスピンをかけながらウィンドミルでおれを挑発。

気が付くとおれの踵にもモーターが走り、

身体全体が機械的に唸る。

おれもウィンドミルを繰り出すがヘンな風に回る。

コケたラジコンみたいに。

きっと少女に勝負で負けたのだろう。