「閉鎖病棟 それぞれの朝」を観てきました。
帚木蓬生による同名の小説の映画化作品。
長野県のとある精神病院。死刑執行が失敗して精神病院をたらい回しされて流れ着き焼きものを制作する毎日の秀丸(笑福亭鶴瓶)、幻聴に苛まれて暴れて、妹夫婦により病院に入れられたチュー(綾野剛)、義父のDVが原因で入院した女子高生の由紀(小松菜奈)らが、寄り
添ひ心を通はせる。
「事情のない者は一人もない」入院患者が集まる病院。その中で起きた衝撃的な事件とその後の展開。それぞれの「朝」はまさに「夜明け」。病院の外に自分の居場所を見つけ、生きる希望を見つけるまで集ふ「場」としての病棟。そして看護師長の井波(小林聡美)が不安を抱へながら退院するチューに呼び掛ける「いつでも帰つてきていいからね」といふ言葉の意味と患者に与へる安心感…。
それでも。この精神病院、「閉鎖病棟」つて言つていいのだらうか?
・外来者も入れるエリアでも患者は自由に行動できる。
・患者の意志に関わらず面会者があれば面会させる。
・義父の指示で退院を許可する。
・比較的自由に外出が許可されるやうに見える。
・外来患者がいきなり屋上にエレベーターで行き、飛び降りることが
できる。
「開放処遇」にかなり近いやうに感じたのだけど。
そもそもがフィクションなのだらうし、目くじらを立てるべきものでもないのだらうが。15年ちよい前に1ヵ月ほどだけど「閉鎖病棟」で過ごしたことがあるのでどうにもこんな「雑音」が気になつてしまふ。
平山秀幸監督。