今朝一番に飛び込んできたとても残念で切ない気持ちにさせられたニュース・・・。
知った時には寂しさだけでなく、驚きがわきあがってきてしまいました。
マイヤ・プリセツカヤは、絶対に絶対にまだまだ長生きされると信じていました。
けれども、闘う気高い白鳥は、5月2日に滞在されていたドイツにて、心臓発作で天に向かって舞って行ってしまいました。89歳でした。


時事ドットコムの記事

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015050300015


日経さんの記事

http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040001_T00C15A5000000/


ロシアのタス通信より

http://tass.ru/kultura/1946714


シルヴィ・ギエムやミハイル・バリシニコフ、ディアナ・ヴィシニョーワ、そしてフィギュアスケート界の帝王であるエフゲニー・プルシェンコもFBやTwitterを通じて、この最期まで羽根を休ませる事がなかった彼女の厳しい舞踊人生に、美しく強く舞い続けたプリセツカヤへの追悼を伝えていらっしゃいます。


今朝は、あちこちからプリセツカヤの素晴らしかった舞いの動画をアップして下さるフォロワーさんも多く、改めて彼女の踊りがいかに素晴らしいものであったかを深く感じさせられています。


スターリン時代に父親を処刑され、母親は強制送致されて養子として育ち、ボリショイバレエに入団したものの、厳しい不遇にみまわれたプリセツカヤ。
ロシア人ダンサー達が次々と亡命し、海外で活躍してゆく中でもロシアを離れず、ひたすらに踊り続けた自らを『闘う白鳥』と例えていらしたのは、あまりに彼女らしくも思えます。


闘う白鳥―マイヤ・プリセツカヤ自伝/文藝春秋
¥3,879
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マイヤ・プリセツカヤのブラックスワンです。動画主様、お借り致します。

https://www.youtube.com/watch?v=FE8mkVxH7P4



けれどもプリセツカヤの凄さは、古典を驚くような技術で踊られた事だけでなく、彼女自らも振付されたり、モーリス・ベジャールやローラン・プティの名作を踊られたり、年齢を重ねて自由になればなるほどに、その活躍の場を広げていかれたことのようにも思えます。




できる事ならば生で見てみたかったジョルジュ・ドンとマイヤ・プリセツカヤ!!!


初めてベジャールの『ボレロ』を踊られた時には、振付を覚える事が出来なかった為、プリセツカヤはベジャールが次はどのような振付なのかを出す合図を見ながら踊られた!!というエピソードを知った時には心から驚いたものでした(次はカニのポーズだよ、いうような合図をベジャールが客席から伝え、彼女はそれを見ながら踊ったそうです!)

個人的には、生でその舞台を見る事がも出来た、実在の舞踊家イザドラ・ダンカンをモデルにしたベジャールの名作『イザドラ』を踊る時のどこか少女に戻ったようなプリセツカヤもとても好きでした。なにものにもとらわれず、自由に地上での踊る事を求めたイザドラのさまざまな心を無心で演じ、舞われたプリセツカヤにはとても魅了されました。

アップ主様、お借り致しますm(__)m

https://www.youtube.com/watch?v=zV8F4IbeAvk&feature=youtu.be



また、プリセツカヤが『カルメン』を踊るにあたり、ハチャトゥリアンやショスタコーヴィチが『カルメン』の曲をバレエ様に編曲する事は、「ビゼーの祟りを受けそうで怖い!!」と断る中で、旦那様のシチェリドンが勇敢にも編曲された、というエピソードを知った時はご夫婦の絆の深さが伝わるような気がしたことも思い出されます。



そしてやはりマイヤ・プリセツカヤの代名詞である『瀕死の白鳥』を初めて見た時の衝撃は、今も忘れられません。
まだ私自身が、生でのプロの本物のバレエの舞台を見始めた頃だったとはいえ、まるでプリセツカヤ本人がトランス状態に入ったような、生命が消える直前まで強く生きようと意志を強く持つ、まさしく闘う気高い美しい白鳥が目の前で羽ばたいてる、その舞いを見た時は、文字通り鳥肌が立つようなショックに似た感動を受けました・・・・



アンナ・パブロワと同じように生命をかけてバレエの美しさ、素晴らしさを世界中に伝え続けた美しく強い白鳥であり続けたプリセツカヤの61歳の時に踊られた『瀕死の白鳥』です。
アップ主様、お借り致します。

https://www.youtube.com/watch?v=Luz5g-doa34


合掌・・・・・