4月になったというのに、また寒さが戻ってきたり冷たい雨が降ったりして桜の行方は心配にはなりますが、春らしい気持ちになれる、素敵なニュースが入ってきました。

2013年に日本でも公開され話題にもなった、今やローザンヌコンクールとも並ぶ認知度とも言われているバレエコンクール「YAGP ユース・アメリカ・グランプリ」の様子を臨場感溢れる映像で見せてくれたドキュメンタリー映画『ファースト・ポジション』。この映画はまだ少年、少女といった呼び方が似合う子供達がバレエコンクールに挑戦するプロセスを見せてくれるので、その厳しさ、けれど踊りへの子供なりの驚くような強い情熱にも驚かされて夢中になりました。
将来を夢見る若きダンサーを取り巻く環境もさまざまで、そのあたりを飾りなく、ストレートに見せてくれました。

その映画の中で少女ダンサーとして特に印象に残っていたミコ・フォガティさんがバーミンガム・ロイヤル・バレエ団にアーティストとして入団されるという事を発表されました!!



このドキュメンタリー映画が日本で公開された頃には、ヴァルナ国際バレエコンクールを銅賞を取っていらしてて、続いてのローザンヌ国際バレエコンクールにも初挑戦することが話題になっていたミコちゃん。
(初めてのローザンヌ国際バレエコンクールでのミコちゃんは堂々たる踊りでファイナル残り、ベスト・スイス賞にも輝きました)
けれども、なぜかオファーはきっとあちこちからあったはずなのに、ミコちゃんはどこのバレエスクールにもバレエ団にも入らず、今年また再びローザンヌに挑戦され、残念ながら二度目はファイナルに残る事が出来ませんでした。

ミコちゃんのファンになっていたバレエファンの中では、ミコちゃんは今までの経歴からも色々なオファーがあったはずなのに、それを受けずにコンクールを受け続けるので嫌がられたのかも?または、ピアノでも「コンクール屋」という言葉があるように、そういうタイプのダンサーになってしまうのでは?ステージママにも原因があるのでは?等々、危惧や心配や憶測の言葉も飛び交ったりしたようですが、多感な時期に色々なコンクールで活躍してきたことも、きっとミコちゃんがこれから舞台で活躍される強さや原動力になると信じています。

それに彼女の今までの努力と実力が認められたのでしょう。
団員として、アーティストとして(ソロも踊る機会を与えられるコールド?として捉えてよいようですが)BRBに入団です。ミコちゃんご本人もInstagramやFaceBookでその喜びを伝えて下さっています。

バーミンガム・ロイヤル・バレエ団といえばアジア系のダンサーさんが多数活躍されていますし、あの吉田都さんも最初はこのバレエ団から活躍されて、ロイヤルのプリンシパルにもなられました。(ミコちゃんは日本人と英国人のハーフですが)
今年はBRBの来日公演もありますが、そのうちミコちゃんも来日公演で、日本のファンの前でますます成熟した踊りを披露してくれるだろうと、楽しみにしています。




それから、実はミコちゃん以上に、この映画を見た時に私の心に強い印象を残したミケーラ・デブリンスという西アフリカのシエラレオネ出身の少女の半生が映画になるという嬉しいニュースも飛び込んできました。

http://eiga.com/news/20150329/11/



シエラレオネの内戦下で両親を虐殺されて孤児になったミケーラですが、孤児院の中で彼女の心に強い衝撃を与えたのは、ふと目にしたバレエ雑誌の美しい少女の姿でした。
けれど、体に斑点があったミケーラは、孤児院の中でも「悪魔の子」と呼ばれ、なかなか養子にもなれなかったそうですが・・・
そんな彼女の夢を叶えてくれたのは、素晴らしいアメリカ人のご夫婦でした。
ミケーラの夢だったバレエを習わせ、心から彼女を応援し、特に基本が白人に合わせて作られたバレエの衣装の真っ白な部分を彼女が衣装を着た時にもフィットできるようにと、茶色に丁寧に染めていらした様子は今も忘れられません。

幼少時代から続いた悲劇を越えやっと夢を叶えたミケーラですが、それでも大事なコンクールでは怪我の為に激しい痛みに襲われ苦しみますが、その中で見せた彼女の渾身の踊りを目の当たりにした時は映画館で涙することを止められませんでした。
ミケーラは、ABT付属のジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクールへのスカラーを得て、日本でこの映画が公開される頃はアフリカのダンス・シアター・オブ・ハーレムで踊っていらっしゃいましたが、その時にニュースになっていた彼女の踊る喜びに満ちた、躍動感溢れるこの写真は本当に美しくて大好きでした。




現在20歳になられたミケーラは、オランダ国立バレエ団で踊っていらっしゃるそうです。
そして、ミケーラの自伝「Taking Flight: From War Orphan to Star Ballerina」の映画化の知らせは本当に嬉しい。
アメリカMGMで映画化されるそうですが、ぜひとも日本でも公開して頂きたいです!!

素晴らしい映画で好きになった少女達の舞いを思い出しながら、成長した彼女達の踊りに再び巡り合える日が待ち遠しい!そんなことを想像するとワクワクさせられる、春の訪れにふさわしいニュースだと感じています。




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