私が西本さんが振るオケでの音楽を聴きたいと本気で願ったのは、ちょうど一年前に見たTV番組がきっかけでした。
華やかなイメージの西本さんでしたが、ロシアでの修行時代はどんな苦労をされたのかとよく思ったものでした。とはいえ、凱旋帰国後は順調に活躍されてると勝手に思っていたのですが・・・・・
けれども昨年、彼女がヴァチカンで祈りの歌「おらしょ」を指揮されるまでのプロセスを伝えてくれた番組を通じ、彼女が本当に歩んでいた茨の道を知った時、驚きと憤りが同時に湧き上がり、その番組と演奏の感動と同時に、西本さんが私にとって特別な存在になったような気がしています。
その時の番組について書いたブログです。もし番組にご興味があるようならどうぞです。(ただ、その番組を見た直後の色々な思いのまま打ったようで、結構キツイ文章になっていますが^^;)
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http://ameblo.jp/padmacat/entry-11738796562.html
西本さんがヴァチカンで祈りの歌「おらしょ」を指揮されるまでを描いた、そのドキュメンタリー番組を見たことで、私は生で西本さんの指揮で音楽を聴きたいと切望するようになり、それが先日やっと叶いました。
おそらく今年最後のフェスティバルホールですが、今年もたくさんの感激や幸せな時間を過ごせました。
演目
プロコフィエフ:バレエ音楽『ロメオとジュリエット』作品64(ハイライト)
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64
指揮:西本智実
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
バレエを観る事が圧倒的に多いホールですが、この日は入った途端、舞台上には大きいコントラバスやティンパニが並んでるのが目に飛び込んできて、それはそれで豪華な気分になります。
だんだんと楽器を抱えた大阪フィルのメンバーが揃ってきて本番の時間が近づいたのを感じますが、大阪フィルの演奏は、今年の春に神尾真由子さんがヴァイオリン、先日お元気に復帰された井上道義さん指揮での演奏以来ですが、この日は女性が多いような印象を受けました。
登場された西本さんは、映像や写真などで見るようないつもの黒のエレガントな雰囲気のスーツ姿でしたが、細身なのはわかっていましたが、なんとなく長身な方だと勝手に思ってたので、歩いて来られる姿が、オーラがある美しさはイメージ通りでしたが、思っていたより華奢な姿だったのは意外でした。
そして『ロミジュリ』が始まりますが、プロコフィエフの独特のメロディーが、いきなりあの物語の中にひっぱってくれるように思え、私の頭の中では、時に色々なダンサーさんが踊り出したり消えたりしながら・・・・けれども同時に、西本さんのまるで踊ってるかのような指揮姿にも惹きつけられてゆくのです。
バレエを習っていらしたというだけあって、彼女の動きは美しく、そしてどちらかというとメロディーより少しだけ先に振るタイプのように見えました。
文字通り全身で振る彼女の指示は非常に明確で、次はどこが主旋律になるか、音楽が大きくなるか、小さくなるのかも彼女を見てるだけでわかるよう。
それにしても音楽だけで聴くロミジュリは、だんだんと音で紡ぐ物語という気がしてきました。
あの悲劇的な旋律や劇的な音楽は、心の中にまで響いてきて、音を通じて物語がや登場人物達が浮かんでくるのです。特にジュリエットのテーマってこんなにも愛らしくて繊細な様々な響きを持ってるのだ!と感じたのも印象的でした。
どうしても(映像でも)バレエと一緒に耳に入る音楽だけに、目でも音楽としてとらえた時にそのドラマティックさは、あのどうしようもない悲劇と哀しいほどにしっくりします。
けれども、もっと心を持っていかれたのはチャイコフスキーの交響曲5番でした。
正直なところ、やはり管楽器というのは難しいものなのでしょうけれど、こういうメジャーな曲で、やらかしてしまうと、そのミスはどうしても耳に残ってしまいます。
特にホルンは少々残念感は否めない部分がありましたが・・・・
けれどもそのミスを吹っ飛ばすように、次のすごいメロディーは追いかけてくる。
あのチャイコフスキーの魂がこもった骨太で、けれど時に美しく、悲しげにも聞こえるメロディーは、聴くものの体の芯まで響き渡るように迫ってきます。
西本さんはまるで「もっと!もっと!音をちょうだい!!」とでも叫んでるかのように、全身でご自身の求める音をオケからひき出さんばかりに指示されてるようにも見えました。
実際、横顔になられた時、歌っていらしたのか何かを指示されたのかはわかりませんが、何かを語っていらしたのはハッキリと見えました。
その思いに応えるかのように、多少荒削りな音ながらも迫力ある厚みのある音がホール中に響き渡る。
その荒削りさが勢いに変わるように思えるのも小気味いい。
あのチャイコフスキーの5番の繰り返される印象的な主旋律がぐんぐんと観客の心もエキサイトさせてくるのですが、私の斜め前の男性はもう我慢が出来なかったようで、どんどんと音楽に合わせ体を動かしたい気持ちを堪えてるのが伝わってきたのですが、ついにラストの盛り上がりでは腕が上がり一緒に指揮をされていましたが、本来なら迷惑になるはずのその動きが、なんだか気持ちが理解できるような気がして、好印象に見えたのは、彼が心からこの音楽に感激したのが不思議な程、肌で伝わってきたからなのだと思えました。
そんなにも観客を一つにされるような指揮をされた西本さんも大阪フィルにも惜しみない大きな拍手が続きます。
西本さんは、丁寧にオケのメンバーをねぎらわれ、ことに奥で活躍されていらした打楽器のメンバーを目立たせるように、マレットでティンパニを叩く真似をされたりして、奥のメンバーを紹介されました。
そして続く拍手の中で、再び指揮台に乗られたので、アンコール!!とわかります。
アンコール曲は、『白鳥の湖』からスペインの踊りでした。
先日のボリショイ・バレエの感動がよみがえる嬉しいアンコール曲ですが、なんと豪華なスペインの踊りだったことでしょうか。
再びの大きな拍手の中、西本さんは深々とお辞儀をされて去っていかれましたが、終演後に楽屋口に行ってみると出てこられた西本さんは、笑顔で握手して下さり、サインもして下さいました。
本当は、ヴァチカンの名誉賞受賞おめでとうございます!(アジア人では初だそうです)と言いたかったのに、なぜか西本さんの笑顔を見てると、ただ、お礼しか言えませんでした。
けれども、次はぜひとも西本さんが芸術監督をされていらっしゃるイルミナートフィルでの演奏を聴いてみたいと思っています。
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http://illuminartphil.com/
そして、その時は西本さんの本を持って行こうと思っています。
- 指揮者・西本智実 静かなる革命/垣花 理恵子

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それに今日、西本さんのオフィシャルブログ「智さんの小部屋」を見てみると、嬉しいことに早速、フェスティバルホールでの指揮でのブログが更新されていました。
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http://tomomiroom.exblog.jp/
ブログによると、この日がこのホールが改装されてからの初めての指揮だったことがわかり、なんとなく嬉しくなりましたが、同時にこのホールは指揮者にとってはなんとも大変なホールなのだともわかりました。ロシアを始め、世界中のあちこちのホールで振っていらっしゃる西本さんが、楽屋から指揮台までの導線が一番距離が長い!と書かれていました・・・・>フェスティバルホール^^;
指揮者さんにすると疲れるホールかもしれませんが、ぜひまた来て下さいね。
響きのいいシンフォニーホールでもよいですし、来年もまたお元気な西本さんの指揮で、体の芯にまでズドンと響き渡る音楽を、でも繊細でリリカルな優しさで包まれるような、そんな素晴らしい音楽を聴かせてもらえる日を楽しみにしています



