
おそらく本物を観る事はないだろう・・・と思っていた『貴婦人と一角獣展』が大阪にも来てくれるのを知って以来、
とても楽しみにしていましたが、無事に平日に行く事が出来ました。
公式サイトです。東京での開催はもう終わっていますが・・・・
↓
http://www.lady-unicorn.jp/index.html
先に東京展をご覧になってた方から感想を教えてもらえていましたが、実際にこの15世紀に創られた、
驚くような精密で美しいタピスリーは想像していたよりも大きく、その6枚に囲まれているのは壮観でした・・・・・

音声ガイドをお借りして、細かな部分の意味を教えてもらえたり、映像でこのタピスリーについての紹介を見て、
一人だけでは見落としそうな動物達や植物などを教えてもらい(また、それらが持つ意味なども含め)
この時代の雰囲気を味わっった後、もう一度この6枚のタピスリーを眺めに戻りましたが、ラッキーな事に
平日だったせいか、人も少なくなっていたので、気に入ったタピスリーの前でじっくりと眺める事が
出来たので、この6枚の大きなタピスリーに囲まれ・・・・そうしてると、不思議な感覚に陥るような気がしました

人間の五感を表現しているという5枚、そして第六感を表現してると考えられてる謎もある6枚目。
『触覚』
『味覚』

『視覚』
『聴覚』
『嗅覚』

この6枚はセットとして考えられています。
貴婦人や貴婦人に使える侍女、ユニコーン、ライオンや沢山の動物たちのそれぞれのテーマに沿った様子、
そしてバックに描かれている花々の種類の多さにも驚かされました
このバックの花々は、千花文様(ミルフルール)と呼ばれるもので、この当時に流行したものだそうですが、
この展覧会では同じようにこの千花分様を使った他のテーマのタピスリーや古代からユニコーンが実在していた!と、
いかに信じられていたかを示すような品々も展示されていましたが、いずれも時代の空気を感じさせてくれる
独特の魅力がありましたが、やはり一通りの展示品を回り終え、この6枚のタピスリーの中に戻り、
自分が特に心惹かれる貴婦人の前に立つと、なんだか不思議な気持ちにさせられます
この美術展には、とても気心がわかりあえる方と3人で行きました。
基本、私は好きな絵画の前で、好きなだけ見つめたいので、美術展には、互いにそれを理解できる人か、
もしくは一人で行くのが好きなのですが、今回も最後にゆっくりと気に入ったタピスリーを見つめる時間が
特に心に残りました
実は、思ってた以上にタピスリーによって貴婦人は、衣裳も髪型も雰囲気も、そして何より顔や表情が違ってました。
私は、この日は特に『味覚』に一番心惹かれましたが、これは別のタイミングで行くと、また変わるのかも
しれません。
『聴覚』も好きでしたし、ユニコーンが貴婦人に甘える様子が可愛い『視覚』も和やかな気持ちになるのですが、
ただ残念ながら『視覚』は視覚なのに、時間の劣化のせいか貴婦人の表情がいま一つなのが残念で。
でも視覚がテーマであるのに貴婦人が綺麗でないのはなぜか?鏡で観るのは自分ではなく、ユニコーンを
映してるのはなぜか??やはり疑問が残りますが、おかしな事にそういう疑問が心地よくも感じるのです
また、ユニコーンに自分の顔を見せている貴婦人を見てるとなんだか自分の心を映されてるような気がしてきたりも。
想像の羽根が豊かに伸ばせるような楽しい時間でした
五感に訴えるタピスリーだ!と感じるのは、なんとなく、この6枚のどれを好き?で、どこかその人の
心理状態や、求めてるものが浮かび上がるような気がしたりするからかもしれません。
このタピスリーの中で、好きなものを見つめてるうちに自分の心がどうしてこのタピスリーを選ぶのだろうか?と、
自分に問いかけているのに気づいたり、このタピスリーが創られた理由が、実は嫁入り道具ではなく、
結婚後に花嫁の気持ちで依頼されたものでは?なんて考えたりする自分がいたりもして・・・・・
不思議な時間でした
このタピスリーには色々と仮説があるようですが、なんだかこのまま謎が残ったままの方がいいような気すら
してくるのです。
そんな不思議な魅力に溢れたタピスリー、そして人間の五感、そして無意識に求めるものを指し示すような
貴婦人には、私はどこの誰というよりも、このままでいて欲しいような気がしました
また、埋もれていたこの宝物を有名にした作家、ジョルジュ・サンドはこのタピスリーが飾られてた
お城によく泊まり、「ジャンヌ」という作品を書き上げ、それがきっかけでこのタピスリーは有名になったそうです。
- ジャンヌ―無垢の魂をもつ野の少女 (ジョルジュ・サンドセレクション 5)/藤原書店

- ¥3,780
- Amazon.co.jp
子供の頃、サンドの作品は数少ないながらも、何度も読み返す程に大好きでした。
『愛の妖精』は有名なのでご存知の方も多いと思いますが、『母のおもかげ』という子供向けの不思議な
絵画のミューズのような存在が、孤独で画家の才能のある少女を導く作品が特に大好きでした。
幸い、このタピスリー展のおかげで、サンドシリーズをamazonで見つけ、その作品に私が好きだっった作品の
原作があるのを知り、原題が『ピクトルデュの館』だともわかり、このサンドセレクションを購入して読みましたが、
やはり彼女の作品を好きだという気持ちは、子供の頃と同じく変わりませんでした。
ショパンとの恋、詩人ミュッセとの恋、そして彼女とショパンの絵を描いた後で、2人の姿を切ってしまった
画家のドラクロワとの関係も謎とされていて、大人になってからは、サンドのイメージは少し変わりましたが、
彼女が描いたものを読みなおしたりすると、彼らのような何かを生み出す苦悩を背負う男性達が、
このような作品の価値を見出したり、ミューズの存在を感じさせてくれる、彼女のような女性に心惹かれるのも
なんだか理解できるようにも思えてくるのです。
そしてこのタピスリーを有名にしてくれた事に対しても、そっと彼女にお礼を言いたくなりました。
このタピスリーシリーズをリアルに観る事で、「自分の持つ五感を活用し、そして、第六感を考えなさい・・・・」と
優しくささやいてくれるような貴婦人に出会え、子供時代に好きだった作家サンドの魅力にも再び出会えた事も、
共に私には貴重なひとときでした
面白かったのは、帰りに見かけたこのタピスリーの中にユニコーンになって入れるセットです。
これは中に人が入れるようになってるのですが、そばにはユニコーン変身セットも用意されていました(笑)
これをかぶって中で記念撮影できるので、楽しげに角をつけて撮影されてる方もいましたが・・・・・
私達は・・・・・・遠慮しておきました。
せっかくの機会なのでやっても良かったような気もしますが(!!)やはりホンモノのユニコーンや
このタピスリーの中には軽々しく入ってはいけないような、そんな気持ちもあって。
いつかはこの貴婦人が誰なのかははっきりする日が来るかもしれませんが、私には今のまま、彼女には
どこかミステリアスな存在で大きなタピスリーの中から私の中の感性を刺激してくれる不思議な貴婦人のままで
いて欲しいような、そんな余韻が今も残っています
関西在住や大阪にいらっしゃる予定のある方でご興味がある方は、このタピスリーがフランスから
海外に貸し出されたのは、1974年以来の2度目の凄いチャンスでもありますので、ご覧になる事を
お勧めします





