シュツットガルトバレエ団の「じゃじゃ馬馴らし」を見てきました
バレエでここまで大笑いをさせてもらったのは久しぶりじゃないかと思う程、大笑いさせられたり、斬新に思えた
振付や演出がてんこもりのこの作品が、1969年に創られたものだということに今も感動させられています
バレエを見る前に原作を読み直しておいたのですが、多少の改変はあるものの、舞台からは踊りを通じ、
間違いなく今なら(私が読んだのは小田島さん翻訳)使えないようなちょっと危ない言葉が飛び交う、
とんでもない台詞が舞台からバンバンと飛んでくるような踊りと演出には、新鮮な感動と、そして心から
リラックスして大笑いしながらも、なんだか考えさせられる面もあるのも魅力的な作品でした
☆西宮公演の主なキャスト☆
ペトルーチオ:ジェイソン・レイリー
キャタリーナ:カーチャ・ヴュンシュ
ビアンカ:ヒョ・ジュン・カン
ルーセンショー:ウィリアム・ムーア
グレミオ:ブレンド・パロリン
ホーテンショー:ダミアーノ・ペッテネッラ
ストーリーは、ほとんどシェークスピアの書いたものと同じです。
バプティスタ家には2人の姉妹がいますが、姉のキャタリーナはとんでもないじゃじゃ馬娘。
女性とは思えぬ暴れん坊で、せっかくの美人なのに誰も求婚したいとは思えないとんでも娘。
それにひきかえ、妹のビアンカは美しくておとなしやかな、妻にするには理想的な娘なので、
3人もの求婚者がなんとかして彼女と結婚しようと苦戦します。
というのも彼女達の父が年長のキャタリーナが先に結婚しないとビアンカの結婚を許さないからです。
その上、ビアンカに求婚しようとやってきた3人は、キャタリーナに蹴り上げられたり、殴られたり、
彼らをののしる台詞が聞こえてくるような迫力で、蹴散らしてしまいますが、このあたりの踊りの迫力は
なかなかのもの。
キャテリーナを演ずるカーチャさんは、気の強そうな美人なのですが、弾けっぷりも素晴らしい
困った3人はお人よしで身包みをはがれてしまったペトルーチオとキャタリーナを結婚させようと画策しますが・・・
不思議な事にペトルーチオは、素直にキャタリーナと結婚する意志を固め、彼女がどんなに暴れても
まるで平気で抵抗する彼女と踊るのです。
最初こそ、暴れたりして思い切り抵抗していた彼女ですが、(あまりの抵抗のあまり、羽交い絞めに合ったりしますが(・・;))
そんなキャテリーナの態度にも平気で踊り続ける彼に対し、なぜかだんだん心を開いたかのように
表情が明るくなり、ついには彼との結婚を決意します
ところが!!
結婚した途端、ペトルーチオは飄々とした様子でキャテリーナのじゃじゃ馬馴らしを始めますが、これって
現代なら問題になりそうな厳しすぎるもの。
おそらく、彼女のどうしようもない強すぎる我を折ってしまおうとしていたのでしょうけれども。
でも、帰宅するのに、雨の中、まともに馬に乗せてもらえないキャテリーナ・・・・・
ここで馬から落ちたり、下から馬に捕まったりのドタバタもスピーディで会場は何度も大笑いに。
(内心、笑える状況ではないのに笑わせてしまうあたり、とても上手いです!!)
その上、疲れて帰宅して、お腹がぺこぺこのキャテリーナに、立派なご馳走が出てきても、
ペトルーチオは、何かと難癖つけて彼女には何も食べさせてくれない・・・・のです

でも、腸詰だけはなんとしても取られたくない一心でスカートの中に隠すキャテリーナ・・・・(爆)
腸詰をスカートの下に突っ込んでしまう・・・こんなヒロイン、普通では見られないでしょうね
会場は、もちろん爆笑です。
そこまでして食べたかった腸詰も取り上げられ、寒さのあまりシンデレラのように暖炉で丸くなるキャテリーナ。
だんだん彼女がかわいそうになりますが、休もうとしても眠らせてくれないペトルーチオと、またしても、
PDDを踊らされるキャテリーナ・・・
でも不思議な事に、そのあたりから、暴れておかしなポーズになったりする2人の踊りが綺麗で
美しいバレエらしい踊りに変化していきます。
虐待にも見える扱いではありますが、キャテリーナの物凄く強い我は、男性不信だったのか?
自己防衛だったのか?生まれつきなのか??それはわかりませんが、だんだん彼女は優しく夫を
愛する素直な妻に変ってゆきます。
それをペトルーチオが理解した時、やっとご馳走も食べさせてもらったキャテリーナはとても幸せそうで
(そして観客もこの場面には、心からほっとさせられました)
そして面白い事にビアンカ(一番若く素敵で踊りもスマートだったルーセンショーと結ばれます)や
他の妻たちは結婚した途端、「夫の言うことなんて聞けないわ!!」とばかりに反抗的になり、彼らが呼んでもまるで無視
キャテリーナが、夫をないがしろにする妻達に対して「ちゃんと言うことを聞きなさい!」と、彼女本来の
強い意志を見せてくれた流れが、個人的には嬉しかったです。
しかも反抗的な妻達を怒るキャテリーナがまたコミカルで、ここでも笑いは続きます
キャテリーナはじゃじゃ馬ではなくなったけど、夫の操り人形になったわけでななく、彼女本来の
強さや信念も失ってはいないのが伝わったのが嬉しかったです。
間違った事に対しては、ちゃんと怒りも表現する彼女は、登場した時の瞳をキラキラ輝かせ、強い心を持つ彼女のまま
ラストでのペトルーチオとの踊りは本当に美しく、衣装やセットを見てるとロミジュリをも彷彿させてくれるような
しっとりぶり。
ペトルーチオも心から妻を大事にしていくことを感じさせてくれる、互いに愛おしそうに踊るPDDは、
とても優しく、会場を魅了してくれました。
2人の踊りの変化が2人の心の変化を現してくれるのは、素晴らしかったです
キャテリーナを踊ったカーチャさん。
登場した時から暴れん坊ダンサーで、出ずっぱりで大変な運動量だったと思いますが、斬新なるパも
上手く見せてくれるので、笑いながら楽しみながら見せてもらえました。
心の変化、結婚を軽蔑してるかのような態度から、だんだんとペトルーチオと愛し合う演技も素晴らしく、
残念ながら晩年の踊りしか見ることが出来なかった「女優バレリーナ」と呼ばれたマリシア・ハイデは、
この役をどんな風に演じ、踊ったのだろうか・・・と、彼女にまで思いを馳せてしまいました。
そしてペトルーチオを踊ったジェイソン・レイリーさん。
登場した時こそ、少々重く見えたものの、こちらも舞台の進行と共に踊りも演技もチャーミングで、
どこかつかみどころがない不思議なキャラを、軽快で時に迫力もある踊りで、男性の魅力をキャテリーナだけでなく、
観客にも伝えてくれました。
颯爽とした高さのあるジャンプや難しいポジションのリフトも軽々とやってのけてくれるのが、これまた心憎い
対してちょっと残念だったのが登場の多い美しくておとなしやかなビアンカを踊ったヒョ・ジュン・カンさん。
容姿はおとなしげで可憐にも見えるのですが、ちょっと踊りが平凡でいまひとつひきつけられない。
ルーセンショーがのびのびと綺麗にパを決めていい踊りをするだけに、組んだ時の彼女のもたつくような動きが
気になったのは残念でした。
他の濃いキャラとの絡みでも、彼らが思いっきり!で笑わせてくれるのに淡白な雰囲気で踊り自体にも
魅了されないので、どうして彼らが彼女に魅了されるのかが伝わってこないのがもったいない・・・と思いましたが、
他のダンサーが濃いので、美しく(ある意味普通に踊る役が少ないので^^;)この役は逆に難しいのかもしれませんが。
それにしてもこの作品・・・・演劇性が高く、しかも喜劇というのは悲劇よりも難しいとも言われますが、
何度も会場中を大笑いさせてくれ、本当に楽しい時間をくれました。
いつもとはまた違うバレエを堪能した満足感と充足感は、しばらく続きました
この作品を創ったジョン・クランコ・・・・・
45歳で亡くなるには早過ぎました。
もっともっと沢山の作品を想像して欲しかったと心から思う振付家ですが、ただ、彼の遺産は間違いなく
受け継がれています。
この舞台を踊りこなしたダンサーさん達もそれをしっかり見せてくれたように感じます。
そして次回のシュツットガルトバレエの来日が今から楽しみな私です。
この動画は、ラストの方のシーンですが、ペトルーチオの素晴らしいマネージュはこの映像のままでした。
動画主様、お借りします<m(__)m>

バレエでここまで大笑いをさせてもらったのは久しぶりじゃないかと思う程、大笑いさせられたり、斬新に思えた
振付や演出がてんこもりのこの作品が、1969年に創られたものだということに今も感動させられています

バレエを見る前に原作を読み直しておいたのですが、多少の改変はあるものの、舞台からは踊りを通じ、
間違いなく今なら(私が読んだのは小田島さん翻訳)使えないようなちょっと危ない言葉が飛び交う、
とんでもない台詞が舞台からバンバンと飛んでくるような踊りと演出には、新鮮な感動と、そして心から
リラックスして大笑いしながらも、なんだか考えさせられる面もあるのも魅力的な作品でした

☆西宮公演の主なキャスト☆
ペトルーチオ:ジェイソン・レイリー
キャタリーナ:カーチャ・ヴュンシュ
ビアンカ:ヒョ・ジュン・カン
ルーセンショー:ウィリアム・ムーア
グレミオ:ブレンド・パロリン
ホーテンショー:ダミアーノ・ペッテネッラ
ストーリーは、ほとんどシェークスピアの書いたものと同じです。
バプティスタ家には2人の姉妹がいますが、姉のキャタリーナはとんでもないじゃじゃ馬娘。
女性とは思えぬ暴れん坊で、せっかくの美人なのに誰も求婚したいとは思えないとんでも娘。
それにひきかえ、妹のビアンカは美しくておとなしやかな、妻にするには理想的な娘なので、
3人もの求婚者がなんとかして彼女と結婚しようと苦戦します。
というのも彼女達の父が年長のキャタリーナが先に結婚しないとビアンカの結婚を許さないからです。
その上、ビアンカに求婚しようとやってきた3人は、キャタリーナに蹴り上げられたり、殴られたり、
彼らをののしる台詞が聞こえてくるような迫力で、蹴散らしてしまいますが、このあたりの踊りの迫力は
なかなかのもの。
キャテリーナを演ずるカーチャさんは、気の強そうな美人なのですが、弾けっぷりも素晴らしい

困った3人はお人よしで身包みをはがれてしまったペトルーチオとキャタリーナを結婚させようと画策しますが・・・
不思議な事にペトルーチオは、素直にキャタリーナと結婚する意志を固め、彼女がどんなに暴れても
まるで平気で抵抗する彼女と踊るのです。
最初こそ、暴れたりして思い切り抵抗していた彼女ですが、(あまりの抵抗のあまり、羽交い絞めに合ったりしますが(・・;))
そんなキャテリーナの態度にも平気で踊り続ける彼に対し、なぜかだんだん心を開いたかのように
表情が明るくなり、ついには彼との結婚を決意します

ところが!!
結婚した途端、ペトルーチオは飄々とした様子でキャテリーナのじゃじゃ馬馴らしを始めますが、これって
現代なら問題になりそうな厳しすぎるもの。
おそらく、彼女のどうしようもない強すぎる我を折ってしまおうとしていたのでしょうけれども。
でも、帰宅するのに、雨の中、まともに馬に乗せてもらえないキャテリーナ・・・・・
ここで馬から落ちたり、下から馬に捕まったりのドタバタもスピーディで会場は何度も大笑いに。
(内心、笑える状況ではないのに笑わせてしまうあたり、とても上手いです!!)
その上、疲れて帰宅して、お腹がぺこぺこのキャテリーナに、立派なご馳走が出てきても、
ペトルーチオは、何かと難癖つけて彼女には何も食べさせてくれない・・・・のです


でも、腸詰だけはなんとしても取られたくない一心でスカートの中に隠すキャテリーナ・・・・(爆)
腸詰をスカートの下に突っ込んでしまう・・・こんなヒロイン、普通では見られないでしょうね

会場は、もちろん爆笑です。
そこまでして食べたかった腸詰も取り上げられ、寒さのあまりシンデレラのように暖炉で丸くなるキャテリーナ。
だんだん彼女がかわいそうになりますが、休もうとしても眠らせてくれないペトルーチオと、またしても、
PDDを踊らされるキャテリーナ・・・
でも不思議な事に、そのあたりから、暴れておかしなポーズになったりする2人の踊りが綺麗で
美しいバレエらしい踊りに変化していきます。
虐待にも見える扱いではありますが、キャテリーナの物凄く強い我は、男性不信だったのか?
自己防衛だったのか?生まれつきなのか??それはわかりませんが、だんだん彼女は優しく夫を
愛する素直な妻に変ってゆきます。
それをペトルーチオが理解した時、やっとご馳走も食べさせてもらったキャテリーナはとても幸せそうで

(そして観客もこの場面には、心からほっとさせられました)
そして面白い事にビアンカ(一番若く素敵で踊りもスマートだったルーセンショーと結ばれます)や
他の妻たちは結婚した途端、「夫の言うことなんて聞けないわ!!」とばかりに反抗的になり、彼らが呼んでもまるで無視

キャテリーナが、夫をないがしろにする妻達に対して「ちゃんと言うことを聞きなさい!」と、彼女本来の
強い意志を見せてくれた流れが、個人的には嬉しかったです。
しかも反抗的な妻達を怒るキャテリーナがまたコミカルで、ここでも笑いは続きます

キャテリーナはじゃじゃ馬ではなくなったけど、夫の操り人形になったわけでななく、彼女本来の
強さや信念も失ってはいないのが伝わったのが嬉しかったです。
間違った事に対しては、ちゃんと怒りも表現する彼女は、登場した時の瞳をキラキラ輝かせ、強い心を持つ彼女のまま

ラストでのペトルーチオとの踊りは本当に美しく、衣装やセットを見てるとロミジュリをも彷彿させてくれるような
しっとりぶり。
ペトルーチオも心から妻を大事にしていくことを感じさせてくれる、互いに愛おしそうに踊るPDDは、
とても優しく、会場を魅了してくれました。
2人の踊りの変化が2人の心の変化を現してくれるのは、素晴らしかったです

キャテリーナを踊ったカーチャさん。
登場した時から暴れん坊ダンサーで、出ずっぱりで大変な運動量だったと思いますが、斬新なるパも
上手く見せてくれるので、笑いながら楽しみながら見せてもらえました。
心の変化、結婚を軽蔑してるかのような態度から、だんだんとペトルーチオと愛し合う演技も素晴らしく、
残念ながら晩年の踊りしか見ることが出来なかった「女優バレリーナ」と呼ばれたマリシア・ハイデは、
この役をどんな風に演じ、踊ったのだろうか・・・と、彼女にまで思いを馳せてしまいました。
そしてペトルーチオを踊ったジェイソン・レイリーさん。
登場した時こそ、少々重く見えたものの、こちらも舞台の進行と共に踊りも演技もチャーミングで、
どこかつかみどころがない不思議なキャラを、軽快で時に迫力もある踊りで、男性の魅力をキャテリーナだけでなく、
観客にも伝えてくれました。
颯爽とした高さのあるジャンプや難しいポジションのリフトも軽々とやってのけてくれるのが、これまた心憎い

対してちょっと残念だったのが登場の多い美しくておとなしやかなビアンカを踊ったヒョ・ジュン・カンさん。
容姿はおとなしげで可憐にも見えるのですが、ちょっと踊りが平凡でいまひとつひきつけられない。
ルーセンショーがのびのびと綺麗にパを決めていい踊りをするだけに、組んだ時の彼女のもたつくような動きが
気になったのは残念でした。
他の濃いキャラとの絡みでも、彼らが思いっきり!で笑わせてくれるのに淡白な雰囲気で踊り自体にも
魅了されないので、どうして彼らが彼女に魅了されるのかが伝わってこないのがもったいない・・・と思いましたが、
他のダンサーが濃いので、美しく(ある意味普通に踊る役が少ないので^^;)この役は逆に難しいのかもしれませんが。
それにしてもこの作品・・・・演劇性が高く、しかも喜劇というのは悲劇よりも難しいとも言われますが、
何度も会場中を大笑いさせてくれ、本当に楽しい時間をくれました。
いつもとはまた違うバレエを堪能した満足感と充足感は、しばらく続きました

この作品を創ったジョン・クランコ・・・・・
45歳で亡くなるには早過ぎました。
もっともっと沢山の作品を想像して欲しかったと心から思う振付家ですが、ただ、彼の遺産は間違いなく
受け継がれています。
この舞台を踊りこなしたダンサーさん達もそれをしっかり見せてくれたように感じます。
そして次回のシュツットガルトバレエの来日が今から楽しみな私です。
この動画は、ラストの方のシーンですが、ペトルーチオの素晴らしいマネージュはこの映像のままでした。
動画主様、お借りします<m(__)m>


