不妊治療 | 熊本ヨガ講師 RYOのYOGA的美人道

熊本ヨガ講師 RYOのYOGA的美人道

熊本ヨガ講師Ryo
【ホットヨガ】
STYLISH YOGA ROOM Padma
【yoga】
SAHAJI

目指していたのはメイクアップアーティスト。
外側を磨くことから内面を磨くことに変わり
女性のため、新しい命のために
指導するヨガの講師となりました。

毎日新聞より

日本の女性が第1子を産む平均年齢はいまや30.6歳。若いうちに子どもを産み育てることが難しくなり、不妊治療を受ける人が増えています。明治大の藤田結子准教授による解説です。

 ◇3人に1人が治療に200万円以上を支出

 現在、赤ちゃんの約4人に1人は35歳以上の母親から産まれています。不安定な雇用やキャリアのために、出産を先延ばしした女性も少なくないでしょう。35歳を過ぎてから運よく、すぐ出産できる人もいますが、妊娠しにくくなる人の割合は増えます。

 不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、20~40代夫婦の6組に1組と言われています。日本産科婦人科学会によれば、2013年に国内で行われた体外受精の件数は約37万件で、10年前の3倍以上に増えました。

 女性の問題と捉えられがちですが、男性側に原因がある場合も少なくありません。世界保健機関(WHO)は、不妊原因が男性のみにある場合が24%、女性のみが41%、男女ともが24%、不明が11%--という調査結果を報告しています。

 不妊治療にはかなりのお金がかかります。NPO法人Fineの13年調査では、不妊治療費に100万円以上を支払った人が、回答者の過半数を占めました。また、回答者の3人に1人は200万円以上を支出していました。なぜ人々は、これほど多くのお金を不妊治療につぎ込むのでしょうか。

 ◇「人工授精」で15万円は序の口

 東京都に住む会社員の松本大輔さんと智子さん夫妻(ともに40代、仮名)は、30代半ばで結婚しました。「子どもは2人欲しいね」と話していましたが、2人とも仕事が忙しく、妊娠・出産についてじっくり話し合う機会がありませんでした。

 あるとき智子さんは、「卵子の老化」を警告するテレビ番組を見ました。不安になり、すぐ不妊治療で有名な病院に電話をかけましたが、予約でいっぱい。初診は1カ月半後です。

 2人で検査を受けた結果、身体的な問題は見つかりませんでした。そこで、まず器具を使って精子を子宮内へ直接注入する「人工授精」から始めました。費用は1カ月3万~5万円で、比較的気軽に受けることができる治療です。

 大輔さんは自分で精子をカップに出して提出する「採精」に戸惑いましたが、夫妻は5回ほど人口授精を試みました。しかし、妊娠はしませんでした。使った金額は15万円程度。ほんの序の口でした。

 ◇30万円かけた努力が水の泡

 智子さんが40歳になる少し前、夫妻は「体外受精」にステップアップしました。「体外受精」は、体の外に採り出した卵子に精子をふりかけ、受精させる治療法で、1回30万~50万円程度かかります。女性が30代前半までなら、状態のよい卵子が数多く採れるので、1回の体外受精で出産する確率は、比較的高い20%程度といわれています。

 しかし、智子さんは加齢のため、薬や注射を使っても卵子を2個しか採れませんでした。そのうえ、大輔さんの精子の運動率も低いことが分かりました。そのため医師から、顕微鏡下で精子1匹を卵子に直接注入する「顕微授精」をすすめられ、実施しました。会計時の請求額は、予想を超える25万円。カードで支払いながら、めまいがしました。

 できた受精卵(胚)を智子さんの子宮に移植し、2人は緊張しつつ妊娠判定日を待ちました。が、結果は陰性。妊娠しないうえに、30万円以上がはかなく消え、智子さんは涙を流しました。

 ◇卵の状態に一喜一憂

 「40代で出産に至る、状態のよい卵子が採れる割合は、10個に1個あるかないか。回数を重ねることが大切、やるかやらないかです」と医師に言われ、松本さん夫妻は体外受精を繰り返します。

 「よいグレードの受精卵になりましたよ」--智子さんは、担当医師や培養士から卵の質をほめられると、「やった!」と気分が高揚します。そして妊娠判定日には「今回もダメだった」とひどく落ち込みます。それでも、もう1回お金をつぎ込めば「当たり」の卵がでて、赤ちゃんという大きなリターンがあるかもしれないと思い、治療をやめられません。

 智子さんは、不妊に効くという高価な漢方薬を購入したり、自分のホルモン数値や卵の成長をブログに記録したりと、ほかの多くの患者と同じように治療にのめり込んでいきました。1カ月およそ30万円を治療につぎ込んでいるうちに、「まるでギャンブルのように、金銭感覚がまひしてきた」といいます。

 2年半で使ったお金は300万円以上。1度妊娠しましたが、流産し、出産には至っていません。40代前半女性の体外受精による出産率は、1回1~8%程度。これ以上お金をつぎ込んでも、子どもを授かる確率は低いのです。

 ◇治療を通して「不妊治療」をより強く求めるように

 明治学院大学の柘植あづみ教授は、「不妊」そのものが身体的苦痛をもたらすのではなく、「文化的・社会的な理由で人々は不妊に苦しむ」と指摘しています。


今の日本社会には、ある程度の年齢になったら結婚し、夫、妻、子ども2人という標準的な家族を持つことが「当然である」という見方があります。この「普通の」モデルから外れると、周囲から疎外されたり、圧力をかけられたりします。人によっては、「不妊」という負の烙印(らくいん)を押され、自己評価の低下や、男や女としてのアイデンティティーに悩まされます。その解決策の一つとして不妊治療を選択するのです。

 さらに、不妊治療は役立つ医療ですが、治療そのものが不妊の苦痛を強めることも指摘されています。治療では、ホルモン数値や精子の数・運動率を繰り返し測ります。患者は、標準値から外れた自分の数値を目の前につきつけられ、自分の身体がいかに「異常」であるかを確認させられます。

 そこで人々はいっそう不妊治療を求めるようになり、多くのお金をつぎ込む、というサイクルに陥るのです。