親の介護が急に必要になったとき、最初にやるべき3つのこと

はじめに

「突然、親が倒れて入院した」「退院後は介護が必要と言われた」――
そんなとき、心の準備もないままに次々と決断が迫られ、何から手をつければいいのか分からなくなりますよね。

今回は、介護の現場で25年働いてきた私が、そんなときにまずやるべき3つのことをわかりやすくお伝えします。焦る気持ちを少し落ち着かせ、できることから一歩ずつ進めていきましょう。

1. 現在の状況を整理する(医師・病院の説明を聞く)

まずは、親御さんの現在の状態や見通しを正確に把握することが大切です。

  • どんな病気やけがなのか
  • 後遺症はあるのか
  • 今後の生活でどんな支援が必要になりそうか

入院中であれば、退院調整看護師や医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すると、退院後のサポートについて情報を得ることができます。
介護の準備は「医療と連携して動くこと」がとても重要です。

2. 介護保険の申請をする

介護サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受けなければなりません。

申請は、市区町村の介護保険課地域包括支援センターで行えます。入院中の場合は病院でしてくれることもあるので、 相談員さんに相談してください。
申請後には、本人のもとに認定調査員が訪問し、心身の状態を確認します。さらに主治医の意見書も必要になります。

注意点として、認定結果が出るまでには1〜2ヶ月ほどかかるのが一般的です。
そのため、すぐにサービスが必要な場合は、暫定ケアプランという制度を使って介護サービスを始めることが可能です。

3. ケアマネジャーに相談し、支援体制を整える

介護保険の申請と並行して、ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談するのがおすすめです。
ケアマネジャーは、本人や家族の希望に沿って
ケアプラン(介護サービスの計画)を立て、各種手続きのサポートをしてくれます。

ただし、暫定プランを利用する際には注意が必要です。
正式な認定が下りる前に使うサービスは、決定される予定の介護度よりも“軽めの見積もり”で行われるため、サービスの利用はできるだけ最小限に抑えることが望ましいのです。
もし実際に使ったサービスが介護度を超えていた場合、超過分は全額自己負担となってしまうリスクがあります。

たとえば、本当は「要介護2」が出ると思っていても、「要支援1」と認定された場合、使ったサービスが保険の範囲を超えていれば、その差額は自費で支払うことになります。

だからこそ、緊急性がない限りは、必要最小限のサービスで様子を見ながら進めることが大切です。

おわりに

親の介護が必要になると、気持ちも生活も一変し、戸惑うことばかりです。
でも、大丈夫。一歩ずつ、できることから始めていきましょう。

「状況の把握」「介護保険の申請」「ケアマネジャーへの相談」――
この3つをまず押さえることで、先の見通しが少しずつ見えてきます。

そして、何より伝えたいのは、一人で抱え込まないでほしいということ。
わからないこと、不安なことがあれば、地域包括支援センターやケアマネジャー、そして介護の専門職に、遠慮なく頼ってくださいね。