古裂ハンター:古ジャワ羅紗の珍品をゲット。

昨年の事ですが、陶芸仲間に誘われて、ギャラリーで展示するジャワ羅紗を選んでいました。
展示するものは、良い物と言う基準ではなく、手に入れてヤッタ!と思った物を選びます。
勿論、自己満足ですが、あくまでも趣味の世界~それで十分です。
この布はヤッタ!ヤッタ!とカッタだるいインドネシアビールを呑みながら手を叩いて喜んだ布なんです。
この布はラスムと言う地方の布でかってスマトラに輸出された物なんです。
 
この布を見た瞬間~凄い迫力と思いました。
何よりも色が良い、そして時代もたっぷり有り損傷も少ないです。
左:勉強用のジャワ更紗 右:勉強した結果、手に入れたジャワ更紗
左側が最初頃に買ったジャワ更紗で、これで勉強し、手に入れたのが右の
更紗になります。
 
最初は何もわからずに高いお金を出して買いました。
何故インドネシアで、陶磁器マニアのpadaがジャワ羅紗を集めることになったのか?
答えは簡単、陶磁器を船便で送ると、扱いが悪く割れるからなんです。
何度も涙を流しました。
そこで割れない物は何かと?考えました。
此処はジャワ島~有名なジャワ羅紗収集に転向するか??
布なら送っても割れない!
コリャ良い考えだと、ジャカルタの骨董街を歩いて、良さそうな店を探しま
すとあった!
布が6割程度~あとは雑器で、店主と話すとはっきりしていて真面目そう。
聞けば消防に勤務とかで二足の草鞋を履いているんです。
近所の元消防員とダブって見えました。
 
相手も、此方が熱心なのを見て、良い物は此処には無い~家に来ないかと
言います。
*店には適当な物、良い物は家に置いて、家で取引をすると言うスタイルがインドネシアの特徴です。
家に行きますと、目が覚める様な物が置いていました。
今考えて見ても一級品ばかりですが、値段も飛び切りでした。
勿論~勉強には投資が必要ですので、最初にはっきりと言いました。
古布を適正な値段で売ってほしい!
それが高いとわかった時点で、もう二度と来ない!
そう言いながら、初めは1枚~次に行った時に2枚、そして又2枚と何度か
買いました。
今考えますと、どれも適正な値段、状態が素晴らしく良かったと思います。
*ここで買った布が結局、生きた教科書になったんですね。
家に行き~コーラを飲みながら、一枚一枚見ていきます。
同行者には運転手がいますので心配ないです。
英語ーインドネシア語のチャンポンでの会話になります。
数多くの布のから選んだ一枚が、左側のテガネガラ(3国)と言う布です。
値段的には60万ルピー平均的な値段ですが、これ一枚で当時のデパートガールの月給の4カ月分なんです。
*勿論padaにとってもソコソコの買い物、何もわからない腰巻一枚に、この値段~まともかいなと
思いましたが、最初は投資~勉強代ですね。
後からわかったのは、これは有名な布で、茶はソロもしくはジョッグジャカルタで、青はペカロガンそして赤はラスムと言う所で染められていると言う事です。
*昔から場所によって得意な染がありました。
茶色を染めればソロが一番~藍染はペカロガンと言われています。
赤はラスムの門外不出の色なんです。
三カ国をまわって染め上げた布がカイン テガネガラと呼ばれているんです。
これは二次世界大戦前の布で、インドネシアが独立したのは戦後なんですね。
戦前は沢山の小国がひしめいて、独立性が保たれていました。
つまり統治国のオランダが団結させない為に一般的な交流を禁止していたんです。
この時代に三カ国を回して染めるんですから、凝りに凝った布と言えます。
 
買った以上は本を買ってきて勉強します。
殆どのジャワ羅紗の本は、英語とインドネシア語で書かれていますので、辞書を片手に紐解いていくんです。
努力すればわかりますが、一杯気分で見ていると良い睡眠薬になりました。
布のほぼ中央部分です。
シンプルで大胆、一寸野性的でもあります。
真っ白い布を最初は茶色に染めているんです。
拡大してみますとよくわかりますが、チャップと言うスタンプを使って蝋引きして模様を出しているんです。
(ネットより借用の写真です)
これがチヤップで、これに蝋をつけて裂に押し付けて模様を出しています。
数種類組み合わせて、蝋をしいて防染し茶色の色を出す。
蝋はつけ過ぎても少なすぎてもいかずスタンプの切れめもバッチリ合わせねばならない!凄い技術ですね。
この赤色~ラスムの赤はメラーダラー(血の赤)と言われています。
中國では牛血石とか、鶏血石と言うものが印材としては珍重されますが、このラスムは中国人が多いのが特徴で民族の血が流れているのかもしれません。
 
この色は昔は秘色、秘伝とされていましたが今では、あまりにもインパクトが強すぎて需要がなくなり衰退してしまったとか!
そして今日では出そうと思っても出せない色になってしまい、今では化学染料に変わって深みの無い色になってしまったみたいです。
 
辞書片手にフムフムと、成程~幻の色だったんか!
それだったらラスムのバテックに絞って探し求めてみようかと思いました。
幻と言われると、それに飛びつくマニアの悪い癖が出ました。
 
ラスムの赤はかってスマトラで珍重されたみたいなので、この事が発端になってスマトラ島に足を運ぶきっかけになりました。
布はたんぱく質の成分が無いので赤の色が出せ難いそうです。
そこで染料に牛乳を混ぜたり、色々小細工をして出すそうなんですが、この部分が秘伝中の秘伝で特に中国系の人は団結が強く秘密が保たれました。
 
さて、この布を反対にひっくり返してみますと↓
見ての通り、反対側も同じ様に染まっています。
つまり、表裏とも蝋を置いて防染しドブ漬けしてて、その色に染めるんですね。
表だけで良いのに大変な手間をかけています。
 
元々ジャワ羅紗の生い立ちは、宮廷の女性が趣味として蝋つけを始めた事が出発でした。
商売とは関係が無い為、時間がかかっても問題は無かったんです。
赤&青の部分は手書きですので、裏から透かしてなぞえれば、なんとなく蝋置きは出来そうですが、問題はチヤップの裏側~お分かりですね。
そのままチヤップを押したら大変な事に?
鏡に写したような真反対のチヤップが必要、そしてそれを反対側にピッタリと押さなければなりません(汗)
コリャ相当の熟練がいりそうです。
 
この時は展示の為に7枚~つまりベスト7を厳選しようとしてましたが、これも候補の一枚になりました。