秋は忙しい。
様々な業界の会合や展示会。
いくつか講演等も引き受けてしまった。
社内でいくつも新しいプロジェクトが走っていて、それに月一参加するだけで、時間だけが流れていき、自分でコントロールできている実感がない。
取捨選択すべきかも。
10年くらい前に家族の看病で久留米を離れる事ができず、あらゆる会合や出張をキャンセルして、早朝から会社で仕事して、午前中にできるだけ仕事を終えて、午後からは病院に行く生活を約2年間続けた。
セミナーや展示会にも行けず、出張もしないので入ってくる情報は限られていたが、その一方で病室で多くの本を読むことができ、そこで得られた知見の一部を実践することで経営者としては生まれ変わるくらいの成長を実感できた。
一方で
「移動距離が長い経営者ほどイノベーションを起こせる」
と人気で気鋭の経営学者は仰っている。これにも賛同できる。
海外に行った際にインスピレーションを得て事業を革新された方の話も多々聞いたことがある。読む、聞くと「自分で観る」では大違いであろう。
ただ、かつての私みたいな事情を抱えた方、経営者であっても経済的或いは時間的制約で海外に行く余裕のない方だって大勢おられるはずだ。
今の時代、本だけでなくWEBからも多くを得ることができるので本気になれば地元に居ても情報は集められる。
誰だって、どこに居ても自分を変えることができると思いたいのだ。
サラリーマン時代に営業として大した成功体験もないまま27歳で地元久留米に戻ったが、普通の方の転職と違い、後継者にとっての家業とは通常、ファイナル・デスティネーション(終着駅)を意味する。
もうどこにも逃げ場がないのだ。
それで止む無く、下手なりに必死で努力したら、苦手な営業でも成果が出た。後継者に向けられる周囲の厳しい目、逃げ場のない環境に追い込まれたことで、変わることができたのだと思う。
ナチュラルには営業ができない私だったので、この成果が出るまでの過程で様々な気づきを得て、それを自社の他の営業にも再現させるべく様々な仕組みや制度を入れたのが、当社の今の営業の仕組みの基本となった。長く低成長を継続できているので、それなりに機能してると言って良いだろう。
しかし、そんな環境下にあっても、どうしても成果を出せない人もおられる。
昔と違い、会社は製品の品質も上がり、様々なソリューションの武器もある。幾つものWEB上のコンテンツから常に一定のリードが営業にトスアップされる。それなのに成果が出せないのだ。
かつて、当社のトップセールスだった方は
「丸信で営業できない人はどこに行っても通用しない」
と常々言っていたが、おそらく真実だろう。
ただ上司や職場との相性もあるのだと思う。30歳まで全く成果を残せなかったが、転勤して環境を変えた途端に成果が上がり始め、今や営業拠点長という人もいる。
「彼は全く見込みがないので外してください」
社長になって幾度か営業や工場の部門長から聞かされた言葉。
全く信用していない。多くの場合は教育が不十分なのだ。部門長になる方はナチュラルに仕事ができるようになった方が多い。彼らには所謂、センスがあるのだ。そういう方の頭の中は
「なんで出来ないの?」
だろう。ところが、センスなく、スタートは亀の歩みでも尻上がりに成長していくタイプもおられるのだ。
ここ最近、社員教育の責任者のHさんが新たな取り組みとして、営業成績が振るわない方向けの研修をスタートさせた。
選抜?された営業成績下位のメンバーの一人一人に他部門の営業成績上位者をチューターにつけて、個別指導してもらうというもの。
先日の営業会議で中間報告がなされたが、もうすでに半分くらいのメンバーが成果を出しつつあった。ちょっとした営業のコツを教えたり、日々の行動パターンや時間配分を変えるようにアドバイスしてくれているようだ。これぞ、これまで当社に欠けていた仕組みかもしれない。多忙な中、チューターを引き受けてくれてる営業には心より感謝したい。
30代後半でお世話になった経営大学院で師事した大前研一さんは人間が変わる方法は3つしかない、
1番目は時間配分を変える。
2番目は住む場所を変える。
3番目はつきあう人を変える。
と仰っている。せめて社員さんには1と3の機会を与えていきたい。
鹿児島にて