最近、物忘れが酷く、人の名前、モノの名称、会社名などを思い出せないことが頻繁に起こる。
このことは2年前にも書いた。
https://ameblo.jp/package-label/entry-12744978528.html
当時より今の方がスケジュールはびっしりで、タスクも多く、インプットされる情報量が増えてしまい、自分の頭のワーキングメモリのキャパを超えており、どんどん無駄な記憶を消し去らざるをえないのかも、なんて自分を擁護したくなる。
新しい情報は一旦は海馬に置かれ短期記憶されるが、大きな感情の変化と結びついたり、同じ情報が繰り返しインプットされると、これは重要な情報だと判断し、大脳皮質の側頭葉に転送され、長期記憶として定着する。それ以外の情報はどんどん消し去られる運命だ。
生前、認知症を発症していた当時90歳の祖母は最後まで初孫の私はさすがに覚えてくれてて、私の子供の頃のエピソードをいつも繰り返していた。初孫が可愛いという感情が祖母の側頭葉にしっかりと格納されてたのだろう。嬉しくもある。
一方で55歳になった私はいよいよ「老い」を意識せざるを得なくなった。まだ早い、まだ若いですよと仰って頂けるのは同世代以上の方のみで、若い方からはもはや言われない(+_+)
統計上、経営者の年齢と企業業績には明らかな負の相関がある以上、敏感にならざるを得ない。
その為か、つい、こんな本を会社の輪読会の課題書に選んでしまった、、
若い輪読会メンバーには全く興味なかったかもだけど、この本には若い方向けに老害上司のトリセツも示されている。そこだけ読めば良いだろう。そしてこの本は丸信の将来の経営者というより、丸信で40歳以上のすべての管理者に読んで欲しい一冊だ。
と言っても、どうせ奴ら本読まんからなー
もうこのブログで良いよ、
そして、同世代以上の私のブログファン?の皆さんには今年一番お勧めの本かもです。
脳科学の視点から「老害」について考察されていて、解像度が上がります。しかも我々も先輩方から受けた老害被害の経験も多いので、彼らを「他山の石化」して自らを如何に律していくか、何に注意すべきかについて大きな示唆を与えてくれる本だ。
著者で脳内科医の加藤俊徳先生によれば、脳は場所により機能が分かれていて
❶思考系脳番地
思考、意欲、想像力などを司り、物事を考えるときに働く
❷感情系脳番地
喜怒哀楽を感じ、表現する
❸伝達系脳番地
コミュニケーションを通じて意思疎通を行う
❹理解系脳番地
目や耳から入る情報を理解する。物事を推測して理解しようとする際に働く。
❺運動系脳番地
体を動かすこと全般にかかわる。
❻聴覚系脳番地
耳から入る情報を脳に集積させる。
❼視覚系脳番地
目から入る情報を脳に集積させる。
❽記憶系脳番地
物事を覚えたり思い出す際に働く。情報を蓄積させて使いこなす。
これら番地それぞれの衰えや組み合わせによって、老害の症状が異なって現れる。すべを細かく説明する必要はないだろう。概略は以下だ。
そもそも脳は放っておけば怠け者で、知っている情報は心地よく感じるが、知らない情報には不安を感じやすい。
人は加齢により思考系が衰えたら好奇心が乏しくなり、未知のものや新しいものや概念を受け入れづらくなる。
知らない情報をぶつけてくる人間には自己肯定感を削られ、不安を抱くので、敵対する対象になりやすい。
若いうちは様々な状況に対処しようとすると、人は記憶系の海馬を駆使し、短期記憶を行い、それらを思考系や理解系の番地とも連携させながら物事を情報処理する。これに長期記憶で蓄積された経験とも対比させながらより正確な結論を出そうとする。
しかし、加齢により短期記憶や思考系、理解系が衰えるとどうしても長期記憶で培われた判断軸に頼って判断しようとしてしまう。これを過度に若い方に押し付けてしまうことが「老害」の正体だ。
価値観やマナーは時代の流れに応じて変化していくのに、新しい価値観やマナーを受け入れない年寄りは自分の長期記憶だけで形成された古い考え方を過度に若者に押し付けようとするのだ。
先日、地元久留米で東京のコンサルティング会社の複数名と弊社の若手複数名でお食事した際に、相手企業の方に鍋奉行させたり、ドリンクへの気配りがなかった事を注意したのだが、、まさに自分が若い頃から諸先輩方から教育されてきた価値観を社長という立場で部下に押し付けたに過ぎない。
肝心なのは、これが現代の慣習に照らして、どちらがよりマッチしているかの真偽を客観的に判断できるかどうかである。ひょっとすると現代の若い方の間では会食の際にそんな鯱張った考えなどなく、細かなことに拘らずリラックスしてその場を楽しもうというのが現代風マナーかも知れないのだ。(もちろんマナー知らずの無礼者に社会人としての酒席のマナーを教示した可能性もまだ残っている)
いずれにしてもアルコールが入ると、聴覚、視覚系の機能も低下し、脳で処理される情報量が落ち、同様に短期記憶や理解系、思考系も麻痺するので、人はどうしても酔うと長期記憶のみに頼り、昔の話、とく自己肯定感を満たしてくれるような過去の武勇伝や自慢話をしてしまうのだ。
同世代の仲間内の酒席ならそれも許容されるだろう。
しかし若い人のいる酒席なら、、、彼らの為に、いっそ行かない方がマシだ。お金だけスポンサードしてあげた方が彼らも嬉しいだろう。
まだ酒席の老害話はご愛敬だ。
こと仕事や経営についての老害となれば看過できない。
脳は加齢とともにサボりたがるもの。
すると必要以上に経験に頼ろうとする。
若い頃は経験が少ないからアンテナを張り巡らせ外界の変化に敏感で、変化にどう対処するか脳に汗かいて考えようとするが、一度、大きな成功体験を得たり、経験により物事に上手く対処できたことが連続すると、どうしても経験だけに頼ろうとしてしまう。
加齢も伴って、徐々に新しい情報を遮断し、起こる状況を自分の中にある経験に無理やりに置き換え判断しようとするのだ。しかも人は成功体験によって、すべての記憶をポジティブに置き換えてしまい、失敗した経験を呼び起こさなくなる。
成功には偶然の要素が大きいが、失敗は科学である。
失敗にこそ、学ぶべきこと、学習して活かすべき示唆が多く潜在していることを肝に銘じなくてならない。
これが高齢の経営者が陥りがちな過去の成功体験に過度に依存し、晩節を汚すパターンであろう。
私とて過去の失敗を指摘されると、闇に葬っておいた苦い体験を想起させられたことに腹を立て、今の結果をみろ!言いたくなる時がある。実は先代と私の間で繰り返された問答だ。成功した経営者は失敗を無かったことにする、と言うか忘れる。案外同じ過ちを繰り返す。
これこそが要注意である。
では加藤先生はどうやったら老害を防げるとアドバイスされているのか?
・意図的に新しいことに取り組む
・知らない情報に積極的に接する
これらに説明は要らないだろう。めんどうだと思い始めたらオワコンだ。
・十分な睡眠(8時間以上)
これがないと脳の機能が低下するらしい。現在の6時間は少ないと。
・自分をほめる習慣
自己肯定感の欠如が老害への第一歩なので、普段から自分で自分をほめ自己肯定感を満たしておく。あまりやったことないが、こっそりやってみるか。
・他人と話す、音読する
・語学学習
ビジネスの経験が豊富な日系カナダ人の方から生きた英語を学ぶ機会を頂いている。これには音読の宿題もあり、一石二鳥だ。続けたい。
・異性を意識する。
・お洒落をする。
ユニクロのスーツばかり着ず、いつも小綺麗におしゃれをして異性や他人を意識し、積極的に会話する。これは前頭葉の退化に良いと脳科学者の和田秀樹先生も著書に書かれていた。80代半ばでも現役で凄腕の経営者だった方からズバリ若さの秘訣を聞いたら「異性だ」と仰っていた。
そして最後に、この本から大事な示唆を得たのでそれを共有して終えたい。
それは、どのみち、人間はいつかは必ず老化し、長期記憶に依存するようになるということだ。80代半ばの凄腕経営者はいつもお洒落でカッコよかったが、やはり、あのカリスマ経営者ですら、いつも同じ話を繰り返しておられたし、長年の成功体験から構成された長期記憶が判断のメインとなっておられた。
であるのであれば、
長期記憶には良い倫理観や考え方、正しい知識を刻んで置かねばならない
ということだ。
繰り返し、各人が信ずる聖書や仏典など長い間読み継がれてきた人として正しい道を説いた本や聖典を読む。私が学んでいるモラロジー道徳教育財団、多くの経営者さんが学ばれる倫理法人会などでも良いだろう。たまに学ぶだけでは海馬止まりで、他の膨大な情報と共に流され消えてしまうだろう。長期記憶として大脳皮質の側頭葉に転送されるまで、繰り返し何度も学び続けるのだ。
もちろん敬愛する松下幸之助翁や稲盛和夫氏の著書でも良いだろう。
そしてビジネスの良書を繰り返し読み、そして実践する。
実践というアウトプットがあればこそ、記憶に残り易いのだ。新書も読みつつ、新しい考え方や手法を取り入れつつも、ビジョナリーカンパニーやドラッカー等ビジネス書の古典も繰り返し読みたい。このブログも貴重なアウトプットの機会になっている。外でもない自分の為なのだ。もしも誰かのお役に立てるのだとしたら望外だ。
朝の私設図書室にて

