優良企業の見学を自社の経営にどう活かすか?TTP(徹底的にパクる) | 株式会社 丸信 社長のブログ

株式会社 丸信 社長のブログ

株式会社丸信 代表取締役 平木洋二のブログ
包装資材販売、シール・ラベルの印刷、紙器印刷加工業を営む株式会社丸信の社長のブログです。

「印刷業」から「顧客課題解決業」へ。地方優良企業の挑戦に学ぶ、自社の未来

先日、ある地方の優良印刷会社に訪問し、会社見学および代表の講演を拝聴する機会に恵まれた。印刷業を母体としながら、現在、大きな業態変革を遂げ、高成長と高収益化を実現されている企業だ。このような機会はとても貴重だ。滅多にない。

その成長の原動力となっているのが「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」事業。これは、長年取引のある大手インフラ系企業の業務プロセスそのものを、顧客データベース管理から請求書の印刷、発送、コールセンター業務までを一括して請け負うというものだ。

 他にもBPOに取り組んでる優良印刷業は私が知ってる範囲だけでも数社あり、今やこれらの成功事例に触発され挑戦している企業も多いだろう。

「印刷需要の減少」は印刷業界が共通して直面する、避けては通れない課題だ。まさに業界の一丁目一番地の問題。この構造的な課題に対し、同社はどのように向き合い、乗り越えようとしているのか。その取り組みは、示唆に富むものだ。

 課題を「機会」に転換する事業戦略

同社もまた、印刷ニーズの減少という大きな変化に直面してたはずだ。従来の印刷業は、クライアントから依頼されたチラシやDM等の販促物を「印刷」し「納品」することが主な業務だ。しかし、クライアントの事業全体を見渡せば、その前後にはWebサイトの制作・運用、顧客データの管理、封入や発送業務、コールセンター業務など、多岐にわたる業務が存在する。クライアントは、これら一連の業務の一部として「印刷」を発注していたに過ぎない。

ここで同社は、発想を大きく転換する。

「印刷という工程が縮小していくならば、その周辺業務まで我々が担えないだろうか?」

いや、顧客からの要請に応えるうちにこのような業態に行きついた可能性も高い。

これは、単に仕事の範囲を広げるという話ではない。クライアントの事業課題そのものに深く踏み込み、印刷業で培った情報管理能力や緻密な工程管理といった強みを活かして、業務プロセス全体の最適化を提案する。まさに、クライアントの「困りごと」に真摯に向き合ったからこそ生まれた、新しい事業の形なのだ。

 

かつて30代の頃に師事したマーケティングの大家、高橋憲行先生との問答の中で、丸信の納入する「包装資材」「印刷物」がお客様の業務プロセスの中でどのように動いているのか、発注、納品(受け入れ)、使用、破棄などのプロセスでお客様が課題に感じている所はないのか?ご不便をお掛けしてないか?そこにこそビジネスのヒントがあるよとご指導を頂いた。これは数ある先生からの学びの中でも強烈な印象と記憶を残しており、これが「お客様現場研修」を当社の営業職に義務付けることにつながった。

優良企業から本当に学ぶべきこと

さて、この先進的な事例を前に、「素晴らしい取り組みだが、我々がそのまま真似をすることは難しい」と感じる方も多いだろう。確かにその通りだ。この企業の成功は、特定のクライアントとの長年の信頼関係、地域特性、そして経営者の卓越したリーダーシップといった、様々な要因が複合的に絡み合った結果であり表面的な模倣が、成功に繋がらないことは自明だ。

 

さはさりながらも、、正直に告白すれば、私は過去の優良企業の見学からTTP(徹底的にパクる)してきた。

カメラマンを採用し、豪華な撮影スタジオを作ったり、動画スタッフを配置したのは、地元を代表する印刷会社さんの見学後のすぐ後だし、食品検査センターを創設すると決断したのは三重県を代表する包装資材の企業を見学した帰りの新幹線の中だ。

 

同じタイミングで、これら優良企業を見学した企業は沢山あったが、行動したのは私だけだろう。どうせ資金に余裕があるからでしょと思われただろうか?(うちは借金だらけです)

結論、どちらも小さく始めたのだ。最初から大きな投資はしていない。最低限の採用と最低限の投資からスタートして、手応えを感じてから大きな投資を行い、今やいずれも弊社の強力な武器になった。失敗も数多くしてきたが、それでも、小さくはじめの一歩進める方が大事だと思う。

 

しかし、重要な点は表面だけを単に真似たのではないということ。自分の思い描く理想の自社の姿が元々あった所に「他社の見学」がトリガーとなってインスパイアされたのだ。

実際、今回の見学で分かり易く、即座にTTPできる点は見つからなかった。目指している理想像が違うからだ。

 

では、優良企業の見学や事例から何を学ぶべきだろうか?

 

それは、「自社の足元を、もう一度深く見つめ直すこと」に尽きる。どの企業にも、長年お付き合いをさせていただいている大切なお客様がいらっしゃって、そのお客様は、今、どのような課題を抱えているのか。私たちが日々お納めしている包装資材や印刷物だけでなく、その先にあるお客様のビジネス価値向上に対し、私たちはもっと貢献できることはないのか。

 

この東北の企業様が、長年の取引先の「困りごと」に深く寄り添ったように。私たちもまた、お客様一社一社の細かな要望や、まだ言語化されていない潜在的な課題に真摯に耳を傾ける。そして、自社が持つ歴史、顧客基盤、独自の技術やノウハウといった強みを掛け合わせ、「自社だからこそ提供できる独自の価値」を創造し、提案していく。場合によっては足りない要素を採用や投資によって補い、より高次のお悩みにお応えできるように少しづつ進化させていく。

その地道な営みの積み重ねの中にしか、各社各様の独自の戦略は生まれてこないと思う。

 

朝の私設図書館にて