人間を個人として見るのなら、心と体から成り立っています。

 

瞑想を修養の中に入れている宗教の代表に、仏教とヒンズー教があります。そのような宗教には、霊通する事を目的とした訓練もあると見受けられます。霊通している人は、普通に車の運転とかしていても、霊がウロウロしているのを見たりします。でもそうなってしまったら生活が大変なのは、想像すればわかりますし、そのような人を題材にしたハリウッド映画もあります。

 

でも、なぜ人間には心と体があり、霊と肉があるのでしょうか?原理というものに出会うまで、私はこれも疑問でした。何かの進化の印なのか、創造主によるデザインなのか、自分では解けない事でした。

 

原理では、この人間の、霊と肉から成る、人間一人一人の姿を、「人間を中心とする無形実体世界と有形実体世界」という章で扱い、神様の創造原理の一部として述べています。

 

それによれば、肉身は肉心と肉体から成り、肉心とは「肉体をして生存と繁殖と保護などのための生理的機能を維持できるように導く」ものです。

 

これに対して霊の部分を、原理では霊人体と呼び、「霊人体は人間の肉体の主体として創造されたもので、霊感だけで感得され、神と直通する事」ができるようになっており、この霊人体は生心と霊体という、心と体に相当する部分です。この霊の心(生心)に悟りを与えるものが、真理であり、悟った真理に従い、人間に神様が与えた責任分担を、肉身で果たす事によって、霊が完成することを語っています。

 

人間が心として感じるものは、肉心の作用と霊の心(生心)の作用の両方です。肉心は食欲や性欲などを見ればわかるように、自己保存、自分中心に向かう傾向があります。動物も同じです。これに対して、霊の心(生心)は、自己中心や肉身の本能を諌める働きをするのを、私達は自分の心の中で感じることができます。

 

では、霊の心(生心)が本当に求めているものは何かと言えば、神様の愛を体恤することです。神様の愛は、利他的な、秩序を持った愛です。そのような愛を実践する人間になる事で、永遠の世界において神様と共に住む事を意図されているというのが、原理の教える事であり、この世の人間の生活で大切になるのは、霊の心(生心)を肉心に対して主体として作用させ、個人としてまず、心と体を、神様を中心として一つにする事だ、となります。

 

肉心が求めるのが自己保存や自己満足であるのに対して、霊の心(生心)は、真善義を求めます。最終的に達するべきは、神様の愛を体恤する事ですが、本当に神様の愛を体恤するには、霊的に成熟した男性や女性となり、神様から祝福された結婚をして、神様の御旨に従って、子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛という4つの心情圏を体恤し、神様の権威を三代圏で体恤し、永遠性を体恤するという、家庭次元の霊的生活が必要です。そこに至るのは、個人として霊的に成長することが必要であり、真善義を求めて、神様に侍る生活をするチャレンジが必要です。

 

時代的には、今は、神様が人間の霊的次元を個人の次元から家庭の次元に引き上げようとしている時代です。そのためには、失われたアダム家庭がまず復帰されなければならず、祝福家庭というのは、そのアダム家庭において、カインの失敗を復帰する使命を持った、特別な人達です。

 

一般に、宗教というのは、個人の救済に焦点を当てています。教会に入っていれば救われるという考えも、これまでの宗教の中で唱えられた事でした。どんなに悪いことをしても、日曜に礼拝に行き告白すれば、殺人者も許されるという信仰も、宗教にはあります。統一教会もそうした過去の宗教に影響されました。文鮮明師の教えと違う事を、様々な背景を持った人たちが教会に入り、リーダーになる事によって、変質したと思われます。

 

原理の教えによれば、霊の心(生心)を、真理で教育し、義と善を求め、真の愛の人格者として生活する、人間の責任分担を果たす事が求められており、教会のような組織というのは、そのための補助の役割のはずです。そして、目指すものが、神様を中心とした家庭なのですから、教会ではなく、家庭の協会となるべきだということになります。

 

統一教会の分裂を通して、私はいかに、統一教会が原理が語っている事と外れているのかを、しみじみ考えるようになりました。同時に、人間としていかにあるべきかを、原理がどのように語っているかを見て、文顯進会長と御家庭が実際にどのように生きているかを見て、生き方を変えましたし、子供に対する教育も変えました。

 

統一教会では、祝福が言葉だけのものになってしまっているようです。しかし、祝福はreal(リアル)なものとして意図されている、と文顯進会長は何度も語られます。それは本当だと思います。人間の可能性というのは、今まで考えられていたより、ずっと高く大きなものだと思います。