選ぶべき道を、3人は直感的に知っていた。

そう、黄色に進むルナ、青へ進むアクア、白に進むエトワーユ。

しばらく進むと扉が現れた。


扉には、とても読めそうにない文字が掘ってある。

押しても開かず、途方に暮れた。アクア以外は。

幸いなことに、3人はまだ、なんとか声をはれば届く位置にいた。


アクアは叫んだ。

「これはケチュア語よ!!他に仕掛けも見当たらないし、きっとそのまま読めば開くんだと思うわ!」

「そんなこといっても、読めるわけないでしょう!!」とエトワーユ。

ルナは考え込んでいる。


「大丈夫、私のところには"人魚”と書いてあるから、そっちの扉に書いてあるのはきっと"猫”と"馬”だわ!!私のいうように発音して!きっと、インカの人間かどうかの簡単なテストよ!

アクアは幼いころからあらゆる教育を受けてきている。世界中の言語も、そのうちのひとつだ。話せないまでも、単語くらいはわかった。

3人がそれぞれの単語を叫ぶと、扉はみしりと音を立てた。そして押すと、ゆっくりと開いた。

アクアとエトワーユは喜んだが、ルナは複雑な表情だった。


ルナはマフィアの不正隠し財産を追って、ここまできた。

いったいなんで、奴らの汚いものと、こんな歴史的な―裏の歴史のようだけど―ものが一緒になっているの?

3人はそれぞれの道を進んだ。

そして、みえなくなった。

広がった炎が照らしだしたのは、金銀財宝の奥にそびえ立つ、4つの大きな建築物だった。



黄色のヒカリが指している三日月の形をした何かを持っている、女性のような猫のような建築物 


青色のヒカリが指している人魚の建築物



白くキラキラ輝いている、星形の首輪を付けている馬馬


そして、緑に光っている翼のある何か…


三本の道がそれぞれその建築物につながっている。彼女達は引き込まれるようにそれぞれの道へ歩き、だした


mais ou menos 30



数日後、アクアとルナはナスカにいた。地上絵を見るべく、セスナ‥ではなく、車でパン・アメリカンハイウェイを走っていた。ルナは警察の中でも指折りの名ドライバーなのだ。


ふたりは「木」の絵の近くに車を泊め、見晴台の上にのぼった。そこからナスカを見渡していると、轟音とともに走ってくる一台のバイクが見えた。


エトワーユだ。


3人はここで再び合流した。意気のあがったアクアは、すべての地上絵を 地上で 見てみたいと言い出した。

かなりの時間を要するが、3人はルナの車に乗り込み、ひとつひとつ回りはじめた。なにを探しているわけでもないのに、まるでなにかに突き動かされているかのようなエネルギーだった。


手、コンドル、蜘蛛、ハチドリ、さまざまな絵をみて、最後に宇宙人が描かれているところまで来た。これはほかの絵とは違い、なだらかな丘の斜面に描かれている。車をふもとに泊め、3人は歩いて宇宙人を観察しはじめた。

すると、ルナが一か所をじっと見つめている。ちょうど、宇宙人の心臓あたりだ。(そんなものが人間と同じ場所にあればだが。)突然ルナはどこからかスコップを持ち出してきて、掘りはじめた。

そのあまりの真剣さと突飛さに、ふたりはなにも言えなかった。


どのくらい経っただろうか。ルナの手が止まった。ふたりが近づいてゆくと、そこには大きな穴、そしてその先に階段があったのだ。ルナは何も言わず、ずんずんとその階段を下りてゆく。


こんなことがありえるだろうか。長年世界屈指の観光地であり、毎日何組もの観光客やガイドが、空から地上からこの大地を眺めているというのに、そしておそらくは計り知れない研究がされているであろうこの地に、こんなにもあっさり隠し通路が顔を出すというのは、いったいどういうことなのか。


そんないやでも湧き上がってくる数々の疑問も、ルナを見ているとどうでもいいことのように思えた。

アクアとエトワーユは、おそるおそるルナの後をついていった。


長い階段を下りると、ルナはポケットからマッチを取り出して火をつけ、まるでそうすることがわかっているかのように、石のくぼみに近づけた。とたんに炎がひろがり、その大きな空間を明るく照らしたのだ。