いきなり本題に入りますが…
今回の「この1曲」は、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番。
900曲以上あるとされるモーツァルト作品の中でも、一、二を争うほど好きな曲です。
曲の構成は次のとおり。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
Wolfgang Amadeus Mozart:Konzert für Klavier und Orchester Nr.24 c-moll KV491
第1楽章 アレグロ(ハ短調) Allegro (c-moll) 3/4拍子 ソナタ形式
第2楽章 ラルゲット(変ホ長調) Larghetto (Es-Dur) 2/2拍子 ロンド形式
第3楽章 アレグレット(ハ短調) Allegretto (c-moll) 2/2拍子 変奏曲形式
モーツァルトのピアノ協奏曲で短調の曲は、ほかに第20番ニ短調 K.466があるのみ。
K.466が暗い中にも情熱と逞しさがあるのに対し、このK.491はただひたすらに孤独感に貫かれた、まさに孤絶の音楽・・・と勝手に解釈w。変奏曲形式の終楽章がこれほど効果的なのは、モーツァルトでは珍しいかも。
この曲を好んで録音している一人にアンドレ・プレヴィンがおり、私は彼の演奏も好きですが、今回の「この1枚」はこれ ↓ です。
50年以上も前の録音ながら、音の状態はまずまず現役で通用するレベルです。この演奏はYoutubeにアップされていますので、上の画像リンクでどうぞ。
ケンプは、一言でいえば「心情のピアニスト」。
テクニック面で優れた人ではないのかもしれませんが、音楽に心がこもってます。かといって変なルバートをかけたり緩急をつけたり、といったこともしません。
表面的な意味でのアラは容易に見つけられますが、何よりの美点は作品への敬意が感じられること。それはたぶん聴き手への敬意にも繋がるのではないでしょうか。
ピアニストの名演を聴いた、ではなく、本当にいい音楽を聴いた、と感じさせてくれる・・・これはもしかしたら、より高い次元での技術と言えるのかもしれません。
両端楽章のカデンツァを聴けば、ケンプが何を大切にしていたかが分かる気がします。
ライトナー/バンベルク響の演奏も見事。ケンプのピアノにぴったりと寄り添って、こちらも誠実な音楽を聴かせてくれます。モーツァルトのコンチェルトで、こうした演奏は実は意外と少ない気がします。
ケンプ/ライトナーのモーツァルトではほかに8番/27番もあり、こちらはベルリン・フィルとの組み合わせ。
27番K.595がとんでもなく素晴らしく、断然おススメです。