ふたりの記念日 vol.3 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

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赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。



。。。。。


「あれ?どうしたんですか?櫻井さん」

「……えっ?……ええっ!?」

「イヤ、なんだか顔が真っ赤ですけど……
熱でもあります?」


営業部のフロアに戻ると、入ったとたん入口近くのデスクに座る後輩にそう言われてアセった。


さっき、偶然耳にしたやり取りを思い出してますます顔が赤く、熱くなるのがわかった。


営業部に続く通路の途中に自販機やベンチが置いてあるちょっと奥まったスペースがあって、ちょうどその横を通り過ぎようとした時にその中から声がした。


ん?誰かいるのか?

まぁ社内だし、誰がいてても不思議ではないんだけど。

そう思って気に止めることなく横を通り過ぎようとした。



「ねぇ、ニノォ。どうしたらいいと思うー?」


そんな声が聞こえてきた。


……え?今の声……


「なんで俺に聞くのよ、相葉さん」


やっぱり雅紀!?

一緒にいるのは…雅紀の同期の二宮とか言うやつ……。
確か経理部にいるヤツだったよな……。

そう言えば、同期と言うだけあってこのふたりは特別仲がいいらしいことを耳にしたことがある。


ふたりで何話してんだ……?


俺は悪い事だと思いながらも物陰に隠れてふたりを盗み見た。


「だって、オレだけじゃわかんないもん!」


「もん!」って……俺以外にそんなかわいい顔を向けないで欲しい。


「ねぇ、ニノも一緒に考えてよー!」

「んー?櫻井さんだろー?俺に聞いてもわかんないし……」


え?俺……?

なんで俺の名前が出てくんの?


「オレひとりじゃどうしていいかわかんないもん!翔さんの誕生日!サプライズすんの!」

「でもどうせ相葉さんが祝ってくれるってわかってんじゃないの?サプライズもなにもないでしょ」

二宮が呆れた様子で雅紀を見ると、ナゼかドヤ顔してる雅紀。


「ふっふーん。俺が翔さんの誕生日知ってるってこと、翔さん知らないもんねー。
この前女子社員がね、噂してんの聞いちゃったの!それじゃもうすぐじゃん?もうオレめっちゃアセってんのよ!」

「あ、そう……」

「だから!オレの時、翔さん、すっごいステキなサプライズいっぱいしてくれたから、今度はオレがサプライズしてあげんの!」

「サプライズって、どんな?」

「それをニノも一緒に考えてって言ってんじゃん!」

「えええ……なんで俺がぁ?」

「いいじゃん!ニノ友達だろ?」

「櫻井さんの誕生日、俺関係ないし……」

「そんなこと言わないで!
んー、なにしてあげよっかなぁ……」


雅紀は考え込むポーズを取ってうーんとうなってる。


雅紀、俺の誕生日知ってたんだ。

雅紀の誕生日と一ヶ月ほどしか空いてないけど、だからって自分から教えるのもなんだか催促してるみたいだったからなんとなく言えずにいた。


サプライズ返ししてくれんのか……。

って、俺のサプライズは最後の最後で失敗したけど。


でもこれは、このまま立ち聞きしてていいものなんだろうか?

立ち聞きはよくないけど、でも気になるしな……。


そう思ってまた耳をそばだてる。



「アナタをあげたらいいじゃない」

「…………はぁ!?」


はぁ!?
何言ってんだ、二宮くん!

イヤ、それはそれで嬉しいけども!!


「アナタが一番のプレゼントなんじゃないの?」

「でも…オレの誕生日にも……」

「え?1回しかダメなの?」

「イヤ、そういう訳じゃないけどぉ」

「じゃあいいじゃない。
今度は相葉さんがセッティングして、スマートに誘ってみたら?」

「スマート、ねぇ……
あっ、じゃあ、じゃあ、晩御飯も一流のレストランとかの方がいいのかなぁ?
いつも行く居酒屋とかじゃダメだよねぇ?」

「まぁ、それはお好きにすれば?
いつもの方が落ち着くんじゃない?
変にシャレたとこ行ってもアナタ慣れてないから失敗すんじゃない?」

「でもっ!でもっ!翔さんオレの誕生日の時はすっごいとこ予約して連れてってくれたんだよ?
翔さんの時はいつもの居酒屋って、手ぇ抜いてるって思われない?」

「相葉さんがそう思うならオシャレなとこ予約したらいいじゃん」

「でもオレ、オシャレなレストランなんか知らないし~~~!」

「知るか!そんなとこまで!」

「あ~ん、ニノォ~」

「どうしてほしいんだよ!」

「だって……」

「あ?なに?」

「翔さんに、喜んで欲しいんだもん……
オレ、自分の誕生日の時にあんなにしてもらったのに……なにも返せてないし……」

「相葉さん……」

「オレね、翔さんのこと大好きなの。
すごくすごくすごーく大好きなの。
だからね、翔さんのためになにかしてあげたいの」

「……結局はノロケかよ……
はいはい、ごちそうさまでした」

「ニノってばまたそんな言い方するー!」



……俺は営業部のフロアへと小走りに戻っていた。

アレ以上聞いていられない。

そんなことをしたら、雅紀の前に姿を現してしまう。

今のは聞かなかったことにしよう!

当日、サプライズとやらをしかけてきてくれる雅紀を楽しみに待ってよう。

そう思って自分の席に着くが……

どうにもニヤけてしまって仕事にならない。

ノートパソコンの画面に顔を隠すように仕事をするけど……集中できない。


雅紀は二宮と話した後にそのまま営業先に行ったみたいで、結局その日俺たちは会うことはなかつた。


つづく……