性懲りもなくまた「このまま」シリーズ。。
↓このおはなしの初めは…
。。。。。
A-side
「うん、うん……わかった。
あんまり飲みすぎないでね?
…うん、カズによろしく」
オレはスマホの通話を切って小さくため息をついた。
今日は接待だから夜ご飯はいらないよ、って言う翔ちゃんからの電話。
接待先はカズの会社だから、カズも一緒。
お仕事だから、わかってんだけど……
ひとりでご飯するの淋しいなぁーって……。
ま、こういういわゆる「付き合い」ってのはたまにあるから、そういう時はひとりでご飯してるんだけどね。
でも、それでも慣れない。
やっぱり淋しい。
翔ちゃんはたまに潤さんとも飲みに行く。
オレと知り合う前からよく行ってたらしい。
潤さんとはお仕事じゃないけど、結局はお仕事の話しが多いらしい。
いつか「雅紀も一緒に来るか?」って言われたんだけど、そんなお仕事のお話してるのにジャマしたくなかったし、話の内容もわかんないだろうから遠慮した。
それに、なんでか翔ちゃんはあんまりオレにお酒を飲ませたくないらしいし。
今はまだ昼過ぎだから晩ご飯のお買い物もまだしてなかった。
ひとりだったら買い物行かなくても家にあるものでてきとーに済ませられるかな?
時間が余っちゃったから少し休憩、と。
そう思ってソファに座ってクッションを抱きしめる。
昨夜も翔ちゃん、激しかったから少し眠たい。
翔ちゃんはそれでも朝はいつも元気にお仕事に行く。
『なんで寝るの遅いし、あんなに激しいのにいっつもそんなに元気なの?』って聞いたことがあるんだけど。
『雅紀をめいっぱい充電してんだ、そりゃ元気にもなるだろ!』ってよくわかんないことを言われた。
三日と間を開けないその行為に、最近はやっと恥ずかしさが少しずつ抜けてきたんだけど。
それでも、やっぱり恥ずかしい、んだけど……
それ以上にあの優しい目で見つめられて、「雅紀……」って低い甘い声でささやかれちゃって、あの逞しい体に抱きしめられちゃったら、もう何も考えられなくなっちゃう。
「うふふふふふふふふふ……」
やだなぁ、結局オレも翔ちゃんで満たしてほしいんじゃん。
翔ちゃんでいっぱいにならないとイヤだ。
オレの中が全部翔ちゃんで埋め尽くされちゃえばいいのに。
我ながらちょっと怖いことを考えていると、寝不足からか眠くなってきちゃった。
今日はおおちゃんのパン屋さんもお休みだし、晩御飯のこと考えなくていいし、ちょっと一休み……。
そう思ってクッションを抱きしめながらソファにポスンと横になるとすぐに寝入ってしまった。
。。。。。
ふと、電話の鳴る音で目覚めた。
まだ意識はハッキリしないまま、エプロンのポケットに入れてあるスマホを取り出して通話を押す。
「ふぁい……」
「ぶふっ。なんだよ、まー、寝てたのか?」
「……え?や、あの……」
誰?と思ってスマホを耳元から離して画面を見ると「潤さん」からだった。
「あっ、潤さん、こんにちはっ。
ごめんなさい、ちょっと寝ちゃってた」
「はは、それでか、でももう夕方だぜ?」
「ええっ?あ、ホントだ!わぁ、どうしよ」
オレは壁にかかった時計で時刻を確認すると一瞬慌てたけど、よく考えたら晩御飯の用意は大丈夫なんだった。
「ごっ、ごめんね、潤さん。もう起きたから、大丈夫。どうしたの?」
「うん、翔さんに頼まれてた資料をさ、用意出来たんだけど、俺ちょっと今日早く仕事終わりそうだし、ついでにそっちに持っていこうかと思って。
翔さんに電話したんだけど出ねーからごめんけどまーにかけた」
「あ、そうなの?翔ちゃんは今晩いないんだけど、受け取るだけでいいなら持ってきてもらっていい?」
「あれ?今日いねーの?翔さん」
「うん、カズの会社と接待なんだって」
「じゃあ今日はまーひとりなの?」
「うん。だから晩御飯も手抜きの予定だったからちょっとサボってお昼寝しちゃった」
えへへと笑ってると潤さんがまた話し出した。
「ふーん。……わかった。19時までには持って行けると思う。待ってて」
「はーい。気をつけてね?」
オレはスマホをしまうと部屋を少し片付け始めた。
つづく……
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↓翔さんが雅紀にお酒を飲ませたくない理由は…