もうクリスマスなんてとっくに過ぎたけど……しかもこんな年の瀬に誰が読むんだ(笑)
いいのよ、自己満だから(笑)
恋キュー、ちょーヒサビサ。
知らない人、多いかと思うけど実は意外に人気あったり?(え、そんなことない?(汗))
↓恋キュー、知らないお人は……
。。。。。
「翔ちゃん!翔ちゃん!」
すっかり寒くなった12月ももう半ば過ぎ、マサキとふたりで久々に街に出て買い物に、と歩いているとマサキが楽しげに声を上げた。
「ん?どうした?マサキ」
「ねーねー、なんか街中キラッキラしてない?
なんであんなにキレイなの?」
マサキが街のキラキラに負けないくらいのキラッキラした目をそこらじゅうに向けている。
街は例に漏れず、この時期独特の赤、白、緑の色で溢れかえっている。
「あぁ……クリスマスだからだな」
俺としては当然、と思いながら言うけどマサキはそれすらもキョトンとしている。
「くりすます??なぁに、それ!」
「え?マサキ、クリスマス知らないの?」
「うん、知らない!それっておいしいの?唐揚げよりも?」
「イヤ、食べ物じゃねーし。つーかオマエの基準はなんでも唐揚げかよ」
そんな言い方をしながらも、純粋な目でそう聞いてくるマサキがやけにかわいく感じる。
キューピッドのくせにクリスマス知らないとか……まぁ、バレンタインも知らなかったもんな。
「クリスマスっつーのはだなぁ……イエス・キリストの誕生を祝う祭であって、降誕祭ともいうあくまで誕生を祝う日なんだよ。だからホントはイエス・キリストの誕生日じゃないんだよな。
毎年12月25日に祝われるけど、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝うんだ。ただし、キリスト教で最も重要な祭と位置づけられるのはクリスマスではなく、復活祭なんだ……ってわかった?」
「ん?全然。翔ちゃん、それ何語?」
俺が説明してる間、ずっとキョトンとしながら聞いていたマサキが笑いながらそんなことを言う。
あー……ちょっと難しすぎたか。
「まぁ……ようするに、世界中の恋人同士がここぞとばかりにイチャつく日だよ」
「そーなの?じゃあ僕と翔ちゃんもイチャつけちゃったりするの?」
俺はクスッと笑いながら、相変わらず楽しそうにそんなことを言うマサキの腰をそっと引き寄せる。
「そうだよ?イチャつき放題だよ?
だからさ、今度こそ……」
オマエと最後までヤりたい……!
そう願うのは、決して贅沢ではないと思う。
「あ!翔ちゃん!アレは?なになに?」
俺の邪な思惑なんて微塵も感じてないマサキが今度は別の方向を指さす。
「ん?」
マサキが指さす方にはちょっとやそっとじゃてっぺんが見えないくらいにでっかいクリスマスツリー。
無邪気な子供たちがその周りではしゃいでたり、恋人同士が寄り添いながらツリーを見上げている。
「クリスマスツリーだよ。
クリスマスの時期に飾るんだよ」
「えー!僕も飾りたーい!
おウチには飾っちゃダメなの?」
「イヤ……まぁ、さすがにあんなに大きいのは家には置けないけど、小さいツリーくらいなら……」
俺がそういったとたん、一際目を輝かせたマサキがすごい勢いで俺の腕を掴む。
「いでっ、」
「じゃあウチにも飾ろーよ!ねぇ?いいでしょ?翔ちゃぁん」
こんなカワイイ顔して、カワイイオネダリをしてくるマサキを見て誰が断れるのか……。
そんなヤツがいたら見てみたい。
「うん、いいよ。じゃあそれも買って帰ろうな?」
「わーい!翔ちゃん、ありがとー!!」
街中という事も忘れて、マサキはムジャキに俺に飛びついてくる。
そんなマサキを見て、こんな寒空の下でもほっこりとあったかい気持ちになるのだった。
。。。。。
だからってなぁ……。
「マサキ?やっぱりデカくねぇ?このツリー……」
「え?」
今日はいよいよクリスマスイブ。
イブだろうがなんだろうが仕事はあるので、今日もクタクタになって帰ってきて、マサキに出迎えられながらリビングに入ると、この目の前のそびえ立つツリーを見上げる。
あの街に出た日、ツリーを買って帰ろうと約束したのはいいんだけど、どうしても大きいツリーが欲しかったみたいでマサキは珍しく駄々を捏ねた。
いくらなんでも街に飾ってあったサイズはムリだと言い聞かせ、家に飾れる限界の大きさのツリーを買わされた。
飾れる、けど……
ネクタイをゆるめながらツリーを見上げる。
優に俺の身長を越す勢いのツリーがデカいツラしてリビングに鎮座している。
「大きくないよ!アレより全然小さいじゃん!」
「イヤ、だから、アレは街に飾ってたものであって……」
「……ダメなの?」
俺より身長が高いくせになんでそんな上目遣いで俺を見上げられるのか……
ウチの七不思議だけど、そんな目で見られてダメなんて絶対言えない。
「ダメ……じゃ、ない……」
「ホント?やっぱり翔ちゃんて優しー!」
潤んだ目が一転、嬉しそうに細められてそのまま俺に抱きついてくる。
そんなマサキを抱き締め返して後頭部を支えると 唇を 塞ぐ。
「んん……」
「マサ、キ……」
少しだけ堪能するつもりだったけど、一旦合わせるとなかなか離すことができない。
キスはどんどん 深くなる。
「しょ……、」
「ん……」
唇を 合わせたまま 腰の辺りから手を入れて 背中に 手のひらを 滑らせる。
「ふ、ぅ……!」
マサキが 腰を よじって 逃げるけど離さない。
「ダメ、だって……翔ちゃん、ごはん、っ」
「後でいい……今はマサキ 食べたい……」
「でも……せっかくごちそう作ったのに、冷めちゃう……
ね?先に、食べよ……?」
少し悲しそうにそんなことを言われてしまうと、せっかく作ってくれたのに申し訳ないな、と思って服の中から手を出す。
「翔ちゃん……続きは、またあとで、ね?」
俺の首に両手を回したまま潤んだ目でそう言われると、またガマンが効かなくなりそうだったけど必死に理性を総動員して思い止まる。
「しゃーねぇな。じゃ、マサキ。ご飯にしよっか」
「うんっ」
「やっと終わったか」
急に別の声がして、ふたりしてビクッと体を揺らす。
声のした方を見ると呆れた顔をして立ってるジュン。
「……おまっ、またいきなり出てくる!
来るなら来るって言えよな!」
「出てくる前に宣言しろってか?
そりゃムリだわ」
「ジュン!久しぶりだねぇ。どうしたの?」
ふたりの甘い時間をジャマされて怒る俺をよそに、マサキは嬉しそうな表情でジュンの元へ駆け寄る。
「マー、元気だったか?」
「うん!」
元気よく返事をするマサキの頭を優しくなでるジュン。
「で?なにしに来たんだよ!」
そんなふたりの様子に少しおもしろくなくなった俺はジュンにキツイ口調で聞く。
「なにしに、って……マーにおめでとうって言いに来たんだよ?」
「おめでとう?……マサキ、なんかあんのか?今日……」
ジュンの言葉に不思議に思ってマサキを見るけど、マサキもわけがわかってないみたいでキョトンとしている。
「今日、クリスマスイブはマーがキューピッドとして生まれ落ちた日だからな」
「え?そうなのか?マサキ?」
「…………そうなの?僕、今日生まれたの?」
「そうだよ。だから、おめでとうって言いに来たんだよ」
「え?マサキ、自分の誕生日知んねーの?」
「うん……知らなかった……」
マサキは自分のことながらボーゼンとしていた。
「今まで天上界では誕生日なんて祝わないからマーが自分の誕生日を初めて知ったのもしょうがないんだけど」
でも、せっかく人間界に来てるんだから、人間の風習に習って祝ってやろうかとね、とジュンは慈しむような眼差しでマサキを見る。
「そっかぁ……僕、今日生まれたんだぁ。全然知らなかったぁ」
「じゃあ今日はクリスマスだけじゃなくてマサキのバースデーも兼ねてお祝いするか」
俺がそういうとマサキは「おいわいー!」とはしゃぎ出した。
その姿にまた顔がニヤけるのが止まらなかったけどふと気づいて動きが止まる。
「……おい、もしかして、ジュンも……一緒?」
マサキと並んで、料理が並んだダイニングテーブルに向かうジュンに問いかけた。
「当たり前じゃん。マーの誕生を祝いに来たのに」
「あー、ですよねー……」
って、せっかくふたりっきりの聖なる夜がっっ!!
今日こそ、今日こそマサキと最後まで、って思ってたのにっ!
「翔ちゃん、どぉしたの?
早くみんなでご飯たべよ?」
マサキが俺を振り返ってカワイイ顔を向けてくる。
……ま、しゃーねぇ!
マサキをいただくのはジュンが帰ってからゆっくりと、な!
気を取り直して俺もテーブルに向かうと、インターホンが鳴った。
「あれ?誰だろね?」
マサキがインターホンの方に歩いていく。
まさか……イヤ、そんなこと……でも……
「はぁ~い!…………あ!ニノとおおちゃぁん!」
やっぱり…………。
マサキの嬉しそうな声とは裏腹に俺はどんよりと沈んでしまった。
「おじゃましまーす!
おふたりさん、メリークリスマスー!」
珍しくやけにテンションの高いニノが智くんと共にリビングに入ってきた。
「オマエらなにしに来たんだよ!」
「なにしに、って一緒にクリスマスしようかと思って」
「オマエらはオマエらで家で仲良くイチャついてたらいいじゃねーか!ジャマすんなよ!」
「えー。俺たちはいつでもイチャつけるもーん。
どうせ翔やんヘタレだからマーくんに手ぇ出せないでしょ?だからいっそ、みんなで大騒ぎしようかと思って!」
ひとり憤慨してる俺にニノは飄々と言ってのけた。
「あ、ジュンも来てたんだ」
「おう。今日はマーの誕生日だからな」
「え?マーくんの誕生日?」
ニノと智くんがふたりして目を丸くする。
「そーなの!今日、僕の生まれた日なんだって!
おいわいなんだって!」
「そっかぁ。めでてーなぁ。じゃあクリスマスもマーくんの誕生日も祝っちゃおー!」
珍しく智くんも楽しそうに声を上げる。
「わーい!みんなでおいわいー!」
「……おい、マサキ……」
俺は慌てて止めようとするけど、マサキがあまりにも楽しそうにしてるのでそれ以上反対するのはやめた。
俺とマサキも、これからいくらだって時間はあるんだ。
ずっと、ずっと一緒なんだ。
「翔ちゃん!早くー!みんなでカンパイするよー!」
「おう。すぐ行くよ」
みんなが集まって、最高潮にテンションが上がってしまったマサキをニノが押さえつけてるのを笑いながら、俺はマサキたちの元へとゆっくり歩いていった。
。。。。。
《オマケ》
「ん……」
寒さで身震いして体を縮こめる。
はだけてた掛け布団を肩までかぶりなおす。
目が覚めてきて段々と状況を確認する。
あ……クリスマスとマサキのバースデーを祝うっつってみんなでどんちゃん騒ぎになって……
ひとり酔いつぶれ、ふたり酔いつぶれ……でみんな寝ちまったのか……。
もちろん、マサキは飲ませてないけど……
薄暗がりの中、みんながリビングに点々と寝転んでるのがなんとなく見える。
マサキは……?
そう思ったとたん、背後に感じる人の気配。
肩越しにチラッと目をやるとマサキが俺の腰に手を回して眠ってる。
すぐ近くにいたと言う安心感。
「しょ……」
寝言なのかマサキが俺の名前を呼ぶ。
マサキを起こさないようにそーっと体の向きを変えてマサキに向き合う。
口を少し開けて気持ちよさそうに眠ってる。
いつもなら寝込みを 襲う、なんてことはしないのに。
まだ俺も酔いが残ってたんだろう。
そのあどけない寝顔 の唇に 噛み付く。
「んっ……ふぁ……」
「マサ、キ……」
マサキの腰に手を回しながら 口 内を 味わい尽くす。
やべー、止まんねー……
そう思って 唇を 重ねたまま 体を起こしてマサキに覆いかぶさろうとした時、逆にマサキが体を起こしてきた。
「んっ……、?」
「翔……」
マサキに体重をかけられながら、気づけば逆に俺の口内をマサキに責められている。
「んぐ、っ……あ……」
「翔……」
慣れた薄暗がりの中、ジッとマサキの顔を見ると……
「あ……あぁ……」
「翔……やっと……オレに食われる気になった……?」
黒髪の、黒い瞳のマサキがニヤッと笑って俺にますます体重をかけてきた。
「や……や……」
「翔~ぉ♪」
「イッ、イヤアアアアアアアアアアア!!!!!」
俺の断末魔が暗いリビングに響き渡った。
おしまい
♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*
恋キュー知らない人はごめんなさい。
でもやっぱり私は、キューピッドマサキはもちろん、ここのみんなが大好きだ♡