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A-side
「雅紀ぃー。コレはどこに置くの?」
しょーちゃんが重そうにダンボール箱を抱えてリビングに入ってくる。
「あ!それはね、オレのキッチンセットだからこっち持ってきてー」
「はいはい」
しょーちゃんが、オレがいるキッチンにダンボール箱を運んでくれてひとつひとつ丁寧に出していってくれる。
今日は引越しの日だからふたりとも比較的早く仕事を終わらせてもらった。
帰ってくると、お互いの家からすでに荷物は全部運び込んでもらっていて、新居はダンボールハウスと化していた。
ひとつずつ梱包を解くたびに嬉しさが込み上げてくる。
「コレで雅紀んちでいっぱい手料理食べさせてもらったよなぁ。それを今度はココで食べられるなんて……俺ってなんて幸せものなんだ!!」
お鍋を握りしめながらなんだか打ち震えてるけど……
「そんな、ご飯くらいで幸せ感じなくても……」
オレが少し呆れ気味にそう言うとキッと顔を向けてきた。
「何言ってんだ!オマエの手料理食べるだけでどれだけ俺が幸せになるか……わかってんのか!!」
「な、なんでそんなに怒られてんの?オレ……」
「オマエの手料理は俺だけじゃなく、誰をも幸せにできるんだ!ホントは独り占めしてほかのヤツらなんかには食わせたくねーんだぞ?」
もうなんなら泣きそうになってるけど……
「あ、ありがとね……そこまで言ってくれると嬉しー」
「ふふ、俺も嬉しー」
ふたりで見つめあって、自然に顔が近づく。
もう少しで唇が触れようとした時に、ふと視線を感じてふたりして横を向いた。
「……あ、もう少しだったのになー」
「おっ、おおちゃん!」
おおちゃんが対面キッチンの向こうからじーっとオレたちを眺めていた。
「智くん!見せもんじゃねーんだよ!早く向こう片付けてきてよ!」
「んなかてーこと言うなよ、翔くん。
別に減るもんじゃねーし」
「減るんだよ!」
「…ちっ、せっかく手伝いに来てやったのにさー」
おおちゃんがブツブツと言いながら玄関先にダンボール箱を取りに行ってくれる。
「頼んでねーって!」
しょーちゃんはおおちゃんの背中に悪態をついてるけど…ゴメンね?おおちゃん……
それと入れ替わりにニノが白い目を向けながら入ってきた。
「なんだかおじさんがブツクサ言ってますけどー?
せっかくいいもんがみれそうだったのにーって。
なにやってたの?おふたりさん」
「いっ、いやっ!なんでもないよー、ニノッ」
「そーだよ!つーかニノも呼んでねーのになんで来てんだよ!」
もうしょーちゃんはジャマされたからか、見境なく怒りをぶつけちゃってる。
「まぁまぁ、落ち着いてよ、しょーちゃん。
せっかくみんな仕事終わりに来てくれたんだからさー」
「そうですよ。いっそがしいワタシたちがわざわざ!手伝いに来てやってんですよ?もっと感謝してほしいですね」
「だから頼んでねーって!!」
「しょーちゃん、そんな言い方しないの」
オレが一生懸命しょーちゃんをなだめてると今度は潤くんがキッチンに入ってきた。
「まー、キッチン片付いた?」
「あ、うん。さっきしょーちゃんが持ってきてくれたダンボール箱の中身が最後だったから」
「じゃあ引越し祝いになんかメシ作ってやるよ」
潤くんがそう言ってフライパンを手に取る。
その瞬間しょーちゃんが慌てて潤くんからフライパンを取り上げた。
「だぁーーーっ!!なんで俺たちの新居のキッチンで一番初めにオマエが料理作んだよ!」
「えー、翔さんてばそんなとここだわるの?
ちっせーな」
「そこはこだわるだろ!新居だぞ!
俺と!雅紀の!新居だぞ!」
「しょーちゃん!もういいじゃん!
じゃあ潤くん、一緒に作ろ?」
「お、そうだな。じゃあふたりで仲良く料理すっか」
そう言ってナゼかオレの腰を抱く潤くん。
「ぐあぁぁぁぁぁーーーーっ!
松潤!その手を離せ、コラァーーー!!!
つーかなんでオマエと雅紀が仲良く料理なんだよ!
フツーは妻とダンナが仲良く料理作るんだろ!」
「…じゃあ翔さん、なに作るの?」
潤くんがニヤニヤしながらそう言うのに対して、しょーちゃんはグッと黙りこんでしまった。
「翔さん、得意料理麦茶だからあっちで麦茶沸かしといてよ」
もー、潤くんもそんなにしょーちゃんからかって遊ばなくても……。
「しょーちゃんそんなに怒んないで、ね?」
オレがしょーちゃんの機嫌を取るように甘えた声を出してやるととたんに顔が砕けた。
「んもぉ、しょうがないなぁ……」
「ふふ、しょーちゃん好きー」
「俺も好き。雅紀ぃ♡」
「しょーちゃん♡」
「ベタベタイチャイチャしてないで早く手ぇ動かしなさいよ」
ふと見るとまたニノがじーっとオレたちを見てた。
「あ、ご、ゴメン、ニノ……」
オレは慌てて片付けを再開した。
「ホントにねー……」
「ん?なに?ニノ」
「いやぁ、今回はアイツに出し抜かれたなぁと思って……」
「アイツ?」
「ワタシと同じ誕生日の抜け目のないアイツですよ!っとに……」
「ああ……。くふふ。6月17日に生まれたヤツはオレのお世話をする運命なんだよね」
「なんだよ、それ……」
ニノは呆れた口調でそう言うとクスッと口角を上げた。
やっぱり、ニノはオレに甘い。
もちろん、アイツも。
今回は、ふたりのおかげ、だよね。
「ありがとうね、ニノ」
「えー?ワタシはなにもしてませんよー。
実際に動いてたのはアイツでしょ?」
「そうだけど……ニノはオレのそばにいてくれるだけで助けになるから」
「ふふ。じゃあ、翔さんとの結婚やめてワタシと住むぅー?」
「アハハ!いいねぇ、それ!」
オレたちが笑いあってると慌てた様子のしょーちゃんが割り込んできた。
「イヤイヤイヤイヤ!何言ってんの?ふたりとも!」
「あれ?しょーちゃんいたの?」
「いたのって……なぁ、雅紀ぃ、今の、本気じゃないよね?」
「んふふ~、さぁ、どうでしょぉ~」
「雅紀ぃ~!」
しょーちゃんが本気で泣きそうになってきたのでこの辺にしといてあげよう。
「ココって……俺と雅紀のふたりだけの新居だったよな…?」
まだ不安が拭えないのかしょーちゃんがそんなことをつぶやく。
「そうだよ?オレとー、しょーちゃんの甘ぁいおうちだよ?」
「まっ、雅紀ぃ~!」
しょーちゃんがガバッと抱きしめてくるのでオレもしょーちゃんの背中に両手を回した。
「またイチャイチャしてないで早く片付けしちゃいなさいよ!」
「そうだね、しょーちゃん行こ」
さすがにオレたちの寝室になる部屋には誰も入らないので、移動してオレとしょーちゃんで片付け始める。
「っとに、アイツらは手伝いに来たのかジャマしに来たのか……」
「そんなこと言ってしょーちゃんも嬉しいくせにぃ」
そう言ってやるとしょーちゃんは少し恥ずかしそうに頬をポリポリと指でかく。
「なぁ、雅紀……」
「んー?」
「さっきの、本気じゃないよな?」
「さっきの?」
「俺との結婚やめてニノと、って……」
半ば本気の目をしてそう言うしょーちゃんにちょっと驚いた。
「……そんなの本気にしてたの?」
「だってさぁ、やっぱり雅紀とニノは長い付き合いだし……」
そんなことを言うしょーちゃんにオレは向き合って首に両手を回す。
「誓ったでしょ。オレと、しょーちゃんは…二度と離れない。一生一緒にいるんだって」
「雅紀……」
「言葉だけじゃ足りないならこーだっ」
言いながらしょーちゃんの唇にチュッとキスをする。
「こんなのするのはしょーちゃんだけなんだからね?わかった?」
「……うん、わかった。
雅紀、もっかい……」
「うん……」
今度はしっかりと唇が重なる。
しょーちゃんの、オレの腰を抱き寄せる力が強まる。
「ん……ダメ、だよ……こんな……」
「も、ちょっと……」
ダメだと拒みながらも、しょーちゃんとキスするのはやっぱり好きだからオレも抵抗することなくしょーちゃんを口内に迎える。
「んん……しょ、ちゃ……」
「雅紀……愛してるから……ずっと、一緒……」
「ん……一緒……」
ドンドンドンドン!!
「相葉さーん!翔さーん!まだ片付けしてんのー?とりあえずカンパイするよー?」
ニノがドアを激しく叩く。
「またジャマしやがって……」
「ふふ、いいじゃない。オレたちは時間はたっぷりあるんだから。さ、行こ」
オレはまだ不満げなしょーちゃんの手を引いて寝室をあとにする。
「もー、遅いよ。おふたりさん!
どうせ片付けもしないでイチャイチャベタベタしてたんでしょ!」
そう言われて図星だったからか、オレもしょーちゃんも何も言えない。
「つーかなにがカンパイだよ!手伝い終わったんならさっさと帰れよ!」
しょーちゃんが、グラスとシャンパンを用意する3人に向かって怒鳴った。
「固いこと言うなよ!翔さん!」
「自分だけ相葉さん独り占めしようとしたってそうは行きませんからね!」
「相葉ちゃぁ~ん、おいらにもメシ作ってー♡」
怒るしょーちゃんにもめげずにそんなことを言ってくる3人にオレの頬は緩む。
「はぁ~い。ちょっとまってねー」
「コラ!雅紀は俺のためだけにメシ作ればいいんだよ!」
キッチンに向かうオレを慌てて止めて抱き寄せる。
「翔さんのケチ……」
「器が小さいんですよね……」
「相葉ちゃんのごはん~……」
「うるせー!コイツは俺だけのもんだ!」
そう言ってオレをギューって抱きしめてくれる。
「あははは!楽しーねー!!」
オレはそう叫びながらしょーちゃんを抱きしめ返した。
おしまい
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オマケにつづく……