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「ただいま~」
ニノとの撮影が終わってやっと家に帰って来れた。
ん?お出迎えなし?
靴はあるし、電気点いてるからいてるよな?
そう思ってリビングのドアを開ける。
床にふたりして向かい合ってすわってるんだけど……
ん?えーと……顔、くっついてませんか?
雅紀がショウの頬に手を添えて……キス……してる?
まさか……相手は7歳だぞ?
イヤ、でも相手はアメリカ生まれのサラブレッドだ。
そんなこと朝飯前なんだろうか?
俺はふたりに目が離せないまま、思わず持ってたバッグを落としてしまった。
その音でふたりが気づいて離れた。
「あ、しょーちゃん。おかえりなさぁい。
外、寒かった?」
雅紀は何事もなかったようにいつもの笑顔で俺に駆け寄ってくれたけど……
「あの……今、何してたの?
ふたりで向かい合っちゃって……」
「ん?ああ、ショウくんが目にゴミが入ったって言ったから取ってたんだよ?
なんで?」
雅紀がキョトンとしてる。
「え?
ああ……そう……」
目にゴミって……そんなベタなのに引っかかるとか……
オレ、7歳のガキにアセりすぎだろ……
「しょーちゃん、ご飯食べる?
今日はねぇ、ショウくんと一緒に作ったんだよ!
ねぇー?」
「うん!翔さんのためにふたりで一生懸命作ったんだよねー?
まーくん、丁寧に手取り足取り教えてくれたもんねぇ?」
「そーだねー。ショウくん上手にできてたよねー?」
手取り足取り……
イヤ、だから相手は7歳のガキだから……
何をムキになってんだ、俺……
「あ……でも、先にフロ入らせてもらおうかな……
なんか疲れた……」
「うん!お風呂も湧いてるよ?」
雅紀と入りたい……けど……ムリだな……
「僕は今日もまーくんと一緒に入るんだもんねー?
約束したもんねー?」
「そうだねー?
あとで一緒に入ろうねー?」
「え?……また……?」
コイツがいたら俺は雅紀となんにもできねーじゃん……
いい加減溜まるわ……
「おい!ショウ!」
俺が急に声を上げたから一瞬ビクッとしたけど慌てて平静を装って俺の方に向き合った。
「なぁに?翔さん……」
「明日、俺オフだから観光行くぞ!」
こうなったらソッコー母親探し出して早く追い出してやる!!
「え?大丈夫なの?しょーちゃん……」
「うん…早く連れてってやりたいしな?」
そして早く追い出したいしな?
「うん……わかった。
ありがとうね?翔さん」
そう言って俺にニッコリと笑いかけてくる。
ショウ……
7歳らしくカワイイ顔できんじゃん……
「お、おお……いいよ、別に……」
ショウのその笑顔見てると俺のイジワルな心が少しずつ溶けていく。
「じゃあ、オレたちはしょーちゃんがお風呂入ってる間にご飯の仕上げしとこっかぁ」
「うん!行こー!まーくぅん」
そう言ってショウが雅紀の腰に抱きつく。
あーーー!!!
前言撤回!!
やっぱりかわいくない!!
俺はこぶしを握りしめて、ぶつけようのない怒りに震えていた。
つづく……