
一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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また悲しい事故が起きてしまいました。
名古屋市の男児転落事故。
ニュースでは窓の近くに子供が登れるような家具などを置かないように!と注意喚起していますが、この問題の本質はそこではありません。
子供は自分で椅子や踏み台になるものを運んできて登りますし、常に予測不可能な行動をします。
よってそれだけでは対策は不十分なのです。
ニュース映像を見て分かるように今回注目すべき点は窓の手すりですよね。
明らかに手すりの本数が少なく、約30cmの開口があります。
これでは子供はおろか大人ですら転落の可能性が高まります。
建築基準法ではバルコニーなどに設ける転落防止用の手すりの開口は、11cm以下しなければならないという規定があります。
この開口幅であれば幼児の頭も通らず安全なのですが、おそらく今回のような部屋の窓に設ける手すりにはこの規定が適用されません。
(条例を定めている自治体もあるかもしれませんが)
こんな危険な手すりや窓も建築基準法的には合法なのです。
以前リノベーション行ったこちらのお家も、2階の大きな窓には手すりを設置しました。
小さなお子さんもおりますし、いくらも法的には不要な手すりであっても普通に考えたら必要ですよね。
他にも2階にそもそも大きな窓を設けない、という根本的な対策もあります。
例えばこのような縦すべり出し窓は、10㎝程度までしか開かないようにロックをかけることが可能です。
子供にとっては引き違い窓よりも操作が難しく、ロックを外すのも困難だと思います。
引き違い窓であってもこのような補助錠を使えば、取り付け位置によって一定の開口幅以上窓が開かないように出来そうですね。
政府の広報ページでは実際に起きた転落事故例がいくつか紹介されています。
これからの季節は窓を開けて過ごすことも多くなりますが、それと同時に転落事故も増えてきます。
小さなお子さんがおられるご家庭は特に注意してくださいね。