子猫の冒険☆彡 | たぬきのしっぽ ☆彡

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★チンチラたぬきと
メインクーンきつねの生活日記♡

 


<オウチ>

どうしよう?
テーブルから落ちて
割れてしまった花瓶のまわりを
歩きながら
子猫のミイはただ泣くだけだった

水がこぼれて
床がびしょびしょになり
花もあちこちに
散らばってしまった

ミイは親猫とはぐれて
踏切近くの線路の上を歩いていて
今の飼い主に拾われた。
それから今日で十日目。
飼い主はいつも優しい。
ミイはこのオウチに来てから
まだ叱られたことがない。

でも、タロがイタズラをすると
飼い主は大きな声で怒り
デコピンをする。
デコピンはとても痛そうだ。


 
昨冬のたぬき



タロがやって来た。
「あ~、やっちゃったね」
「ワタシ怒られるかしら?」
「そりゃ、もちろん」
「ど~しよう」
「ど~ってことないさ
ガマンして
説教をきいてりゃ
すぐおわるぜ」

「あのね
デコピンって
痛いの?」
「え?」

タロはミイのおびえた顔を見て
ニヤリと笑った。
「そりゃね、痛いよ。
目玉が飛び出るくらい」

え、そんなに、と小さく叫び
ミイはうつむいてしまった。
「そんなに心配することないさ。
少々痛くても
すぐに済むから」
タロはそう言って慰めた。
「それとも
オレとここから
脱走してみるかい?」

え?と
ミイは目を見張った。

「脱走って、ここから出て
どこに行くの?」

「行く当てなんか
ないのさ
でも、ごらん、
窓の外には
自由な世界が広がっている」

「自由ってなに?」

「そうさね
何をしても
コラ!とか
ダメ!とか
言われないことかなあ」

「それって
ステキ」

その時、玄関のドアが開いて
飼い主が帰って来た。

「ただいまあ~
タロ、ミイ、いいコにしてた?」



 

今年1月のきつね


来るならついて来いよ、と
タロが部屋のドアを押し開いて
飛び出し、
まだ開いている玄関のドアから
ピュッと飛び出した。

キャア、と
飼い主が叫び声をあげた。
タロ、ミイ、どこへ行くの?

二匹はわき目もふらず道路に飛び出し
駆け出して行った。


 


*☆*:;;;:*☆*:;;;:

<草原>



 


午後の日差しが降り注ぐなかで
丈の高い草が風に揺れて
波を打っている。

二匹の猫たちは
思いっきり走り回っていた。
これが自由?
なんていい気持ち
二匹は生まれて初めて
流れる水を飲んだ。
その美味しいこと!

その時、きれいな蝶が飛んできた
わあ、と叫んで
ミイは蝶を追いかけた。

危ないぞ
足元に気をつけろ、と
後ろからタロが怒鳴ったが
ミイの耳には入らなかった。
そして
気づいたら
沼に片足をとられて
動けなくなっていることに
気づいた

どうしても
足が抜けないと
思った時
タロが来て
耳やしっぽを引っ張って
協力してくれたが
なかなか足が抜けない



 

もうダメだと思って
ふっと力を抜き
最後に全力で引っ張ったら
拍子抜けするくらい
スルッと
抜けた

夕暮れ時になっていた
空がオレンジ色に輝いている

「ねえ、タロ
自由って大変なコトだね」

「ああ、
オレも今そう思った」

「次にどこに行くの?」と
ミイがタロの方を振り向いた時
大きな犬がこっちを見て
吠えかかってきた。

ミイはしっぽを巻いて
耳を平らにし
一目散に逃げ出した。

タロは
毛を逆立て
敵を威嚇するポーズをとってから
やはり一目散に
逃げ出した。


 

*☆*:;;;:*☆*:;;;:

<オウチ>



 

飼い主は足が不自由だった。
それでも庭中を杖をついて歩きながら
二匹の猫を探したが
まったく姿が見えない。
二匹ともまだ子猫だ。
帰ってくるといいけど。
飼い主はまた心配になった。

庭先で音がしたような気がした。
あわてて飛び出そうとして
倒れそうになった。
玄関のドアを開ける、と
勢いよく二匹の猫が飛び込んできた。

「タロ、ミイ、
よく帰って来たわね」
二匹は飼い主の前で
イタズラの見つかった子供のように
頭を下げている。
その耳は二匹ともこれ以上ないほど
平らになっている。

「いいのよ。
今日のことは
でも
これからは
私を置いて飛び出さないでね」

タロもミイも
わかったと言うように
飼い主を見上げた。
飼い主は二匹を抱き上げ
頬ずりをした。
タロがせっせと
舌なめずりをしてみせる。

「あら、エサね、はいはい」

嬉しそうに
エサを取りに行く
飼い主の背中を見て
二匹は満足そうに
しっぽを高く上げた。



 
 


 
  










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