猫の物語 六 宮中の茶々丸<全編>*:..。o○☆ | たぬきのしっぽ ☆彡

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★チンチラたぬきと
メインクーンきつねの生活日記♡




おはようございます、大mamaです。
昨日の更新はミスだらけで
本当に申し訳ありません。
私の「秘書」のはなmamaが
酔っぱらってしまって・・・・・・。
仕方ないから
今日は頭から入れ直しさせたの。
こんなこと二度とないようにさせないと。
本当に昨日は申し訳ありませんでした。

 


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

庭をぼんやり眺めていたら
雨がぽつぽつ降ってきました。

ああ
こんな日は
宮中のサロンが懐かしい、と
つい口に出してしまいました。

びゅーんと
たっぷり墨をふくんだ筆が
飛んで来きました。
それをさっとよけ、
すまして座布団の上に座る
慣れてしまったら
簡単なことなのでございます。

私は茶々丸と呼ばれている
茶色い耳の三毛猫です。

宮中を追い出されて以来
私の今の飼い主のもも式部様は
かわいそうなことに
「宮中」という言葉を聞くと
頭がおかしくなってしまわれるようです。

普段は
髪の毛を振り乱して
物書きに没頭しておいでなのですが。
お書きになっている小説は
有名になりつつあるらしいのですが、
もも式部様が
喜ばれている様子は
まったくございません。

もも式部様は今でも
中宮の新子様が
ご心配なのではないかと思います。

中宮というのは
帝の妻たちのことを言います。
新子様は今をときめく豪族
郷原道長の娘で
九条帝の中宮になられたのは
14歳のときでした。

当時宮中のサロンでは
女官たちが
歌詠みや日記などで
文才を競っておりました。

一番有名な女官が
水少納言という女官で
私のもとの飼い主でした。

でも
水少納言様は
私が言うのもなんですが
ナカミはただのミーハーで
ちょっと面白いだけの
お姉ちゃんだったのですが
当時は彼女の作品が
まるで流行の最先端であるかのように
はやしたてられていて
ご本人はとっても可哀相なところが
あったように思います。

水少納言は
中宮の玉子様の女官でした。
玉子様は道長様の
とっても仲が悪いお兄様の
道明様の娘で
道長様が新子様を
九条帝の中宮にされたのも
道明様が
将来
天皇の外戚として
力をふるうとしたら
面白くない我慢できない
というライバル心から
始まったものらしかったです。

そんなわけで
道長様は
私の飼い主であった
水少納言を上回る
「文才」のある若い娘を
必死で探し回ったいたところ
『3歳にして14歳の兄の
漢詩の試験のカンニングを
手伝った』という
もも式部様の評判を聞きつけ
道長様自ら
もも式部様のお父上に
直談判をし
中宮新子様の女官にした、と
いうわけです。

宮中サロンでの生活は
あっと言う間に過ぎましたが
思い出は風化することはございません。

 


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できたぞ、できた、と
私は叫びました。
しかも
なかなか良いできだと
思いました。

「きみがため
春の野に出でて
鼻をつまむ
わが衣手に
ハエとまりけり」と

私、茶々丸は
いつも水少納言様のために
歌や随筆の創作を
しておりました。

水少納言様は
猫語がわかるので
私の言ったことを
紙に筆で書きとめ
宮中サロンで
自分の作品として
発表なさっていたのです。

これでつぎの歌会も
水少納言様の優勝さ、
水少納言様は
今度はご褒美に
何をくださるだろう、と
ひとり笑いをしていると
目の前を
一匹の白い猫が
ピュッと走り去りました。

あれ?
宮中に白い猫なんて
いたっけ?
私は思わず中庭に出ました。

九条帝の屋敷には
広い庭園があって
大きな池の中で
ふとった鯉がたくさん泳いでいました。

白い猫の姿は
茂みの陰にも見当たりませんでした。

すると
水音がして
鯉が水の上をはねました。
ふと見ると
さっきの白い猫が
池の鯉を
捕まえようとしているようです。

どこの猫か知らないけど
ここの魚は取っちゃいけないんだよ
もし魚を取っているところを
見つかったら
あなたの飼い主が
ひどい目にあうよ、と
私は白い猫に言いいました。

ごめんなさい
全然知らなくて
私飼い主と一緒に
今日ここに来たばかりなの、と
白猫は言い
私をじっと見ました。

その目に
心を射抜かれて
私は
返す言葉を失いました。

白い猫は
しらゆき丸とだけ名乗って
去っていきました。

飼い主の名前くらい
聞いておけばよかったと
後で思いました。

 

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部屋に戻ると
水少納言様がいて
イライラした声で
叱りつけられました。

「どこに行ってたの茶々丸
そんなことで
今度の歌会を乗り切れると
思ってるの」

「水少納言様
お歌はもうできております」
私は
先ほどの歌を詠みあげました。

「きみがため
春の野に出でて
鼻をつまむ
わが衣手に
ハエとまりけり」

水少納言様の顔が
怒りで満ちていくのが
わかりました。

「そんな歌で
もも式部に勝てるわけが
ないじゃないの!」

水少納言様は
怒りで
手を震わせながら
叫びました。
今までになかったことです。
それに
もも式部というのも
聞いたことのない名前でした。

「『春の野』と『ハエ』じゃ季語が
あわないじゃないの!」と
季語など
気にしたことが
ついぞなかった水少納言様が
おっしゃいました。

水少納言様は
ハエがお嫌いですが
理由はそれだけじゃなさそうでした。

「もう、いいわ。茶々丸に任せたのが
悪かったのよ。
今回は自分で考えるわ」
水少納言様は
そう言うと
鉢巻をして
小机の前にお座りになりました。
そんなことをしても
3分と持ったことがなかったのですが、
この日は違いました。

「『やれうつな 
ハエが手をする足をする
負けるな
少納言ここにあり』って
どうかしら」

どこかで聞いたような、と
言おうと思いましたが
水少納言様のお気持ちを
傷つけてはいけないと思い
控えました。
「さすが。水少納言様ですね」

「ねえ、本当にそう思う?
本当にほんとう?」
水少納言様のその勢いに
さすがに私も
口ごもってしましいました。

すると
水少納言様は
急に暗い顔をして
話し始めました。

「もも式部が今日
中宮玉子様の女官として
宮中にあがってきたの。

もも式部にだけは
負けたくないのよ」
少納言様は
ため息をつかれました。

 

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「私が
まだ七歳の時のことよ
お父様と一緒に
特別に
宮中に参内したことがあったの。

御簾(みす)ごしに
とても官位の高い方と
お会いして
五言絶句を何かそらんじてごらんと
言う話になって
緊張してガチガチになりながら

春眠 暁を覚えず
処処 啼鳥を聞く
夜来 風雪の声
花落つること 知んぬ 多少ぞ

と有名な絶句を披露したわ
一か所間違いがあったわね
風雨」が「風雪」になってしまったの

それでも
七歳にしては
すごいとほめられたわ
そしてそこに
もも式部もいたの

まだ三歳だったけど
きちんと礼儀正しく座っていたわ
でも 「お姉さま間違えたわね」と
その笑顔が語っていたわ。

そして
御簾の向こうの
官位の高い方が
「式部お前はどう思う?」と
式部に聞いたの。
すると式部はすまして答えたの。
「素晴らしいと思いますわ」
ねえ、茶々丸、
ひどいと思わない?

「その話のどこが問題なんですか?
三歳なのに、
できたむすめじゃないですか?」
私には少納言様の
怒りの意味が
理解できませんでした。



「その
式部のできすぎているところが
問題なのよ。
あそこ間違ってるじゃない、と
その場で言われる方が
どんなに気楽かしれないわ。

そういうのわかってて
その場をごまかしてくれて、
知らん顔して無視する、
つまり二度も
私はバカにされる
それが一番こたえるのよ
少なくとも私にはね」

そこまで聞いて
私も少納言様が
おっしゃっている意味が
少しだけわかるような気が
いたしました。

「さきほどのお歌ですが
『少納言ここにあり』のところを
『式部ここにあり』とかえて
式部様に歓迎の意を表すというのは
どいかがでしょうか?」

そうね。その方がいいわね。
変なライバル心を見せれば
恥をかくだけだし、と
水少納言様はいつになく素直に
茶々丸の意見を取り入れ
式部様が初めて出席された歌会を
無事に乗り越えられました。

いずれにせよ
宮中のサロンの主役は
残念ながら
水少納言様から
もも式部様に
移ってしまいました。

私茶々丸が
女官にちやほやされる時代は去り
しらゆき丸が
女官の人気の的になりました。
しらゆき丸はもも式部様の
飼い猫だったのです。

それを知ったとき
私はしらゆき丸のことは
あきらめよう

私までが
もも式部様のところへ行っては
水少納言様がおかわいそうだと
決意しておりました。

水少納言様は
多少はワガママなところがありますが
ああ見えて
本当は
優しい女性なのです。

 


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九条帝は
水少納言がつかえる
中宮の玉子様との間に
頼近様というお子様がありました。
並み居る中宮のお子様の中でも
最初の男子でいらしたので
次の天子様の第一候補でも
いらっしゃいました。

もも式部様のつかえる中宮新子様は
入内後すぐにご懐妊され
やはり男子をお産みになられました。
九条帝も
お喜びでしたが
中でも新子様のお父様である
道長様がとかくお喜びで、
なんとか次の天皇になれるよう
画策中である、と
いうような噂が宮中に
飛び交いました。

いずれにせよ
九条帝は
新子様が入内されてから
玉子様のお部屋を素通りされる回数が
だんだんと増え
このままでは
風通しがよく眺めのいい
今のお部屋から
出て行かなくてはならないな、と
玉子様の周囲の女官たちが
暗黙のうちに覚悟していたころ
事件は起きたのです。

数人の官吏が警備の者どもを連れて
どやどやと部屋に押し入ってきました。

「あなたたち、ここをどこと思って入って来たのです。
中宮玉子様のお部屋ですぞ」と
わが主人水少納言が
玉子様の御簾の前に進み出て申しました。
すると
一番身分の高い官吏が
紙に書かれた文章
を読み上げました。

「中宮玉子様には
中宮新子様殺害の容疑が
濃厚である。
よって
ひっとらえ
取り調べをすることを
許可する」

「そんなこと
玉子様が
なさるわけがあありません。
何かの間違いに
違いありません。
許可と言っても
どなたの許可をとっているのですか、
九条帝は奈良に行幸に行かれ
お屋敷には
いらっしゃらないはずですが」
官吏たちは一瞬ひるみ
その隙に
水少納言と他の女官たちは
官吏たちを部屋から押し出し
部屋を閉じてしまいました。

御簾の奥から
玉子様がか細い声でおっしゃいました。

「水少納言、ありがとう。
でもね、そろそろ
私はここを出て行かねばならないと
思っているのよ
天子様の御心がはなれたら
その時が潮時
覚悟はして入内したの」

ここをお出になるのは
簡単なことでは
ございません。
お部屋替えにしても
私たちの意志でできることでは
ありません。
お疲れになっているのだと
思いますが
軽々しい発言は
今はお控えください。
水少納言が静かに言った。

そこへ宮中サロンへ出かけていた
女官が駆け込んできた。

「大変です。水少納言様、
新子様のお食事に毒が入っていたとかで
まるで玉子様が
私たちをつかって
毒を入れたみたいに
吹聴している人たちがいます」

その場に居合わせた女官たちは
お互いに顔を見合わせた。

こういう時こそ
平然としていなければいけないわ
良いですわね
皆様方。

玉子様、
お歌の会の時間ですから
そろそろ出かけましょう。
何事もなかったように
お振る舞いください。

今回の事件は
おそらく道長様の陰謀だと
思いますが
いずれにしても
玉子様が毒を入れた証拠など
どこにもないのですから。

私茶々丸は
大変驚いていました。
ご主人を守ろうとする
飼い主水少納言様の
変貌ぶりと熱意に感心し、
私も水少納言様に対して
こうありたいと
心から思いました。
 
  

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玉子様や
水少納言と
歌会の行われる広間に入ると
それまでの
雰囲気が一変しました。

玉子様のお席には
これ見よがしに
縄が置いてあり
水少納言はこれに目をとめると
私の方を振り返って言いました。

良かったわね茶々丸
散歩のヒモが
短くなったと
思っていたら
ここにご親切な方が
用意してくださったわよ。

水少納言様は
縄をとりあげ
何事もなかったかのように
玉子様を座らせると
ご自分の席に
座ろうとなさいました。

ですが
そのお席には
針山が置いてあったのです。

私は
とっさにその針山にとびつき
口にくわえて
ポンとほうりました。

針山は転がって
ある女官の前に留まりました。
その女官が顔色を変えたので
水少納言様を
針の上に座らせようとしたのは
この人だなと思いました。

最近
茶々丸の座布団に
穴があいてしまって
いやいや繕おうと思っていたら
針山がこんなところに
散歩に来てしまったのね、と
水少納言様は言い
物言わぬ女官の目の前の針山を
とりあげてから
席につかれました。

水少納言様の
この行動で
あたりからは失笑がもれ
広間は静けさを取り戻しました。

そしてそこに
中宮新子様が
もも式部や他の女官を従えて
広間に入ってこられたのです。


新子様は
玉子様を見つけると
そのお席の前に
駆け寄ってきて
手をついて
謝罪をなさいました。
式部様達女官は
その後ろに控え
やはり手をついて
いらっしゃいました。

このたびは
私ども不祥事ゆえに
お姉さまにご迷惑をおかけし
大変申し訳ございません。

玉子様は
もういいのよ
済んだことだから。
でも
あなたが私の潔白を
信じてくださって
嬉しいわ、と
おっしゃいました。

あちこちからため息がもれ
大広間は
和やかな雰囲気に包まれました。

ほっとして
私茶々丸は
いつものように裏庭に出かけました。

裏庭には
小さな池のある築山があって
私には絶好のお昼寝エリアだったのです。

その日は背後に気配があり
振り向くと
しらゆき丸が付いてきていました。

茶々丸さんって
私が近づくと逃げちゃうけど
私のことが嫌いなの

結局
その日
私、茶々丸は
しらゆき丸と仲良く
お昼寝をする運びとなりました。
 


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ 

それから数日後
水少納言様が
私におっしゃいました。

私は結局
ただのでしゃばりの女官で
終わるのね。

あの大広間の一件以来
水少納言様の名声は
うなぎのぼりで
さぞや大得意かと思いきや
思いっきりお顔が暗いので
茶々丸も驚いてしまいました。

あの後ね
もも式部が私のことを
とても立派なお振舞いと
ほめてくれたのよ。
でもね
それじゃダメなの。
ほめられるのが玉子様でなくちゃ。

もも式部様のすごいところは
あれだけの才女なのに
まったく出しゃばらず
新子様をたてていらっしゃることよ。
普段は
いろいろ細かく
ご指導なさっているはずよ。
でも表舞台では ほめられるのは
いつも新子様よ。
女官の鏡よね。尊敬しちゃうわ。

水少納言様が
もも式部様のことを
「様」をつけて呼ぶのを
私が初めて聞いたのは
この時です。

茶々丸としては
水少納言様がよくぞここまで
成長されたと
ほめてあげたかったのだが、
飼い猫の分際で
おこがましいと思い
やめてしまいました。
今でも
あの時ほめてあげたかったなと
夜中に思い出し
涙することのある茶々丸です。

 

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部屋替えの命が下ったのは
それから二か月後でした。
私たちは
玉子様と一緒に
西側の棟にあるお部屋に
移ることになりました。
そして
私たちが今いるこの部屋に
新子様が
移ってこられることに
決まりました。

九条帝の
今一番のお気に入りの中宮が
新子さまですから
仕方のないことではありますが
茶々丸は
世の無常を感じておりました。
だから
水少納言様に

「茶々丸は
どうするの?
しらゆき丸が
ここに来るから
ここにいたら?」と
言われた時は
少々驚きました。
そして
「しらゆき丸のお腹の中の子供
あなたの子でしょ」と言われた時は
本当にびっくりいたしました。
私はしらゆき丸が
自分の子をやどしていることを
その時初めて知ったのでした。

心の動揺をおさえ
私の飼い主は
水少納言様ただひとりで
水少納言様がどこへ行こうと
そこについて行きますと
きっぱり言い
その時は
水少納言様も
わかったわと
おっしゃいました。

部屋替えから間もなく
玉子様は
体調を崩され
病気がちに
なりました。

茶々丸は
時々しらゆき丸の様子を見に
もとのお部屋を
のぞくようになりました。
そして
時々二つ部屋の
勢力の差といったものを
見せつけられて
がっくりする
そんなことが
よくありました。

そんなわけで
しらゆき丸が出産してからは
しらゆき丸の方から
こちらの部屋へ
来てもらっていたのですが
それが水少納言様の
お気に召さなかったようでした。

茶々丸が新子様の部屋へ
遊びに行きなさいよ
どうして
しらゆき丸が
ここにいるの?

そのくせ
しらゆき丸の子供に
エサをとっておいてくれる
そんな優しさを
見せてくれることもあった
少納言様でありました。

もう玉子様は
助からないそうなの、と
ある日少納言様は泣いて
いらっしゃいました。

あんなに宮中を
出たがっていらっしゃるのに
それも果たせそうにない
宮中を出たらね
一緒にいろんなところに
遊びに行こうって
玉子様と約束したのに

茶々丸は
何も言えず
水少納言様の
泣き声を聞いておりました。

 


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ 
それから間もなく
玉子様はなくなり
玉子様にお仕えしていた女官はすべて
宮中を出ることとなりました。
もちろん
茶々丸の飼い主
水少納言様も
例外ではございません。

茶々丸も
水少納言様と一緒に
宮中を出るつもりで
しらゆき丸に別れを告げ
女官たちに
もらわれていった子猫たちにも
さようならを言いました。

いざ
宮中を出ようと言う時になって
水少納言様は
私に命じました。
茶々丸
あなたはここに残るの。
頼近様が天子様になるまで
見守るの。
わかったわね。

そして何か言おうとする私の口をふさいで
おっしゃいました。
今までありがとう。
何があっても
しらゆき丸と幸せに暮らすのよ。

そして私を部屋の中に放り込み
水少納言様は
さっさと宮中を後にされたのです。

私は結局
しらゆき丸とともに
もも式部様に飼われることになりました。
もも式部様も水少納言様が宮中を
去られてすぐに
宮中をでることになりました。

中宮の新子様は
ものごとの順序を大切にされ
自分のお子様より
玉子様の遺児頼近様を
次の天子様にと主張されました。
そのことが
実家の父親道長様の逆鱗にふれ
新子様がそのような主張をされるのは
もも式部のせいだと
いうことになったのです。

新子様は
とても悲しまれましたが
お父上に
さからうことはできませんでした。

そしてもも式部様と一緒に
茶々丸としらゆき丸は
宮中を出ました。

もも式部様は
仕事を首になったわけですから
貧乏です。
でも、
あばら家での暮らしは
ことのほか楽しいです。
ご自分の生活費と
私たちにエサ代を稼ぐために
もも式部は毎日物語を書いていて
時々イライラして
私たちのところまで
筆が飛んできますが
全然平気です。

春は桜の木のまわりを駆けめぐり
夏は小川で魚をとる
そんな生活の方が
茶々丸としらゆき丸には
似合っています。
今は12匹の子供がいますから
子育ても大変です。

ただひとつだけの不満は
水少納言様に会えないこと。
一体どこでどうして
いらっしゃるのでしょうか。





長い文を読んでいただき
ありがとうございます(≧▽≦) ☆




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