10年ぶりに再読してみました。
いやー。
山崎豊子先生。
単行本4巻のなかに詰め込まれた人生。
改めて読んだとはいえ、エピソードはほぼ記憶になくて、とても新鮮な気持ちで読みました。
陸一心の人生を通して、日本と中国二つの国を知る。
こんなにも過酷な描写だったか、と目を背けたくなる描写が散りばめられていて。
妹のあつ子さんのエピソードに関しては、本当に本当にできることはなかったのか⁈と憤りました。
できることならそばにいたかった。
守ってあげたかった。
日本を見せてあげたかった。
悔しくて悲しくてたまらない。
全ては反戦に繋がります。
罪のない子供達、女性達が犠牲になるんだ。
それも想像を絶する残酷な方法で犠牲になるんだ。
絶対に繰り返してはならない。
にしても、中国の歴史は本当に凄い。
文化大革命とは?
中国共産党とは?
大地に根付く思想が違いすぎてね。
中国はなぜ戦後に賠償金を請求しなかったんだろうか。
理解できないけども、そんな中で戦後中国最大の製鉄所を造った人々はすごいです。
考え方が違いすぎて交渉にならないし、押しが強すぎる。こわい。
『中国に行きたい』というと、危ないからやめとけって言われるんだが、確かに危ないかもって今回再読して思ったわ。
あの当時は、もしかしたら家族で日本に帰る未来もあるかも?なんて思ったんだけどね。
再読してはっきりとわかった。
一心は、中国の大地で眠りにつく。
一心は中国で育ったんです。
過酷な運命を背負って、いつも気が抜けなくて。
決して豊かとはいえないあの荒れた大地で、吹き荒れる嵐を真正面から受け、逃げずに前だけを見て、嘘をつかず正直に生きてきた。
中国人になりたいと、自分は中国人なんだと、認められたいと真っ直ぐに生きてきた。
一心には、そういう凄まじい強さがあるんです。
大地に負けない強さがあるんです。
一心も迷いながら歩いていたから自分でも気が付かなかったんだけども、中国の大地に還る道でしかなかったんだね。
正真正銘、立派な中国人なのです。
そんな一心を、深い深い愛で育んだ爸爸。
一心は愛を知っているから、どんな時も決して挫けなかった。
松本の父にかける言葉は到底見つからないけれども。
2人の父の深い愛を知る一心は、更に逞しく成長するのでしょう。
なんてスケール。
一心の歩く道は、これからもきっと険しい。
それでも、また地を這うように、泥を被りながら、ひたむきに生きていくんだ。
うわー。。
すごい作品だ。
こういった作品を世に出せたのは、山崎豊子先生だからでしょうし。
しみじみと読書っていいなぁと思わせていただきました。ありがたい。
そして改めて反戦。
口車に乗せられて煽られて戦争に突き進むなんてことが2度とありませんように。