土曜の午後の愉しみといえば地元に帰ってみんなでバイクを乗り回すことだった
なので授業が終れば急いで帰り支度をして学校とはおさらば
私は一旦家に帰って自転車からバイクに乗り換えて
高田は木島の家に自転車を預けて木島のバイクに相乗り
といってもデカい高田がハンドル握り チビの木島は後ろのシートに回されるという
2人は地元中学のクラスメイトで家も近くてアクセスするのにも容易だった
その日もそうして木島の家に合流した
劣等生ということもあって学校から離れれば離れるほど気持ちも楽になってくる
もう校舎の形さえ思いつかないくらいに 校則やしがらみから解放されていていて
土曜の午後ということもあり これからが一番楽しいひとときでもある
天気もいいし 心まで晴れやかになってきた
まずは一緒に昼飯を食べようか
2台のバイクは東小学校前のいつもの文具店へ向かう
その店は文具やお菓子の他に軽食としておでんや焼きそばもやっていた
何よりも高田のイチオシで小学生からの常連という どうも年季の入ったことで
客はほとんどが小中学生で 子供相手とあって料金も安くてリーズナブルで
カネ無し高校生の懐にも優しかった
つくってくれるのはおばあちゃんか若奥さん
定番メニューは焼きそばで 小遣いに余裕があるときは おでんも追加した
辛子を付け過ぎて鼻がツーンとなって涙目になりながら食べたこともあった
常連の高田様は焼きそばに紅しょうがをたくさんのせて食べるのが好きで
よくおばあちゃんに しょうがだけ大盛りぃ!なんて無理言って困らせていた
3人して店の中でいろいろしゃべりながら食べる焼きそば格別な味がした
それは学校でも家庭でも味わえないないものがあったからだと思う
さて昼飯を食べた後は腹ごなしのツーリングである
といっても町中をぶらりと走り回るだけだが これも定番といえば定番だった
デカの高田が運転し チビの木島が後ろにという様ははまるで親子のようだった
その後ろから私も付いていくのだが やつは一体どこへ向かうのだろうか
さっぱり分からないが気まぐれな高田の後を追うのはしんどかった
東西に走る県道を横切ると住宅地に入る道がある
そこを抜けてちょっと脇に入ると杉林があり そこから細い一本道に入る
林の中は薄暗くてひんやりしていて何か薄気味悪いような感じがした
ほとんど陽の射さない道は湿り気を帯びていてタイヤがスリップしそうになるし
ましてや木の根っこのやつが所々道にむき出しになっているもので
ゆっくり走らないとハンドルをとられて本当に危ない
まるでけものみちのようでもあった
さらにその細い道を進んでいくと道の端には小さな墓地があった
それほど立派な墓石ではなく 無縁仏のような小さくて古めかしいものが
道沿いにずらりと並んでいて 高さ5mくらいの杉林の中にひっそり佇んでいた
こんなところにも人がくるんだろうか そこだけ時の流れが止まっているようだった
しばらく走ると狭い道は林を抜けて いきなり目の前がぱっと明るくなってきた
そこは陽に照らされて目も眩むほどに光っている水田が一面に広がっていて
すでに田植えも終わったようで田んぼに人の姿はなかった
そして左手には高い土手があり その向こうには広瀬川が流れていて
土曜の昼下がりとあって日差しも強くて土手を散歩するような人もいなかった
ただずーっと向こうに平和橋があり その坂道だけは自転車や車が往来していた
林を抜けると道は下り坂になっていて田んぼの中を農道が一直線に走っていた
しかし道幅1mほどで端のほうは土も柔らかく二輪では真ん中を走るのがやっと
その真ん中もデコボコしていてハンドルを取られそうになって走りにくい
しかし高田のやつは一人面白がっていた そういうやつ
わざとノッキングを起こしそうなくらいのスピードでゆっくり走るので
こっちはハンドル操作とアクセルを合わせるのにてんてこ舞い
前方よりも自分のバイクの前輪のよたよたした動きに気をとられてしまい
まるでサーカスの玉乗りピエロのようによろけながら進んでいくしかなかった
このまま真っすぐ進んでいけば平和橋のたもとの道に辿り着く
木島は高田の腰に掴まってよろけながらふらふら走るバイクに面白がっている
しかしキャーキャー言いながらも心配なのか時折こっちのほうを振り返っては
高田のデカイ背中をぶっ叩いて もっと真面目に運転しろよと言う
木島はそういうやつ いろいろ周りに気を遣ってくれる
そこへいくと高田のやつはやんちゃで困る
デコボコ道をモトクロス気分で走るのが好きみたいで お前は小学生かよ
文句を言ってもいつも茶目っ気たっぷりに「わりい わりい」と返してくるんだが
わりいなんて思っちゃいない それでも憎めないやつだった
太陽の光と水面の反射でギラギラした道を2台のバイクがゆっくりと走っていく
しばらくするとどこからか人の声が聞こえてきたような?
しかしこの見渡す限り一面の田んぼの中に誰もいるはずはない
気のせい??気にも留めずにさらに走っていくと
その声は後ろのほうから「止まれ!」と言っているかのようだった
しかし狭いデコボコ道でハンドル操作を気にしながらでは振り返ることもできない
すると次は大きな声で「おいっ 止まれ止まれ!」という怒鳴り声に変わった
今度はハッキリと聞きとれた 止まれと言っているのだ
しかしどういうことだよ こんな田んぼのど真ん中で止まれって??
さすがに木島も高田もこの大声に気付いたようで 慌てて2台のバイクは停車した
そして3人揃ったように後ろを振り向くと 何とそこにはお巡りがいた
えっ何でこんなところにお巡りがいるの??
やつは自転車に跨って「はあはあ」言いながら苦しそうに肩で息をしている
そしてものすごく怒っているようにもみえるんだが
応援クリックよろしくお願いします

にほんブログ村
なので授業が終れば急いで帰り支度をして学校とはおさらば
私は一旦家に帰って自転車からバイクに乗り換えて
高田は木島の家に自転車を預けて木島のバイクに相乗り
といってもデカい高田がハンドル握り チビの木島は後ろのシートに回されるという
2人は地元中学のクラスメイトで家も近くてアクセスするのにも容易だった
その日もそうして木島の家に合流した
劣等生ということもあって学校から離れれば離れるほど気持ちも楽になってくる
もう校舎の形さえ思いつかないくらいに 校則やしがらみから解放されていていて
土曜の午後ということもあり これからが一番楽しいひとときでもある
天気もいいし 心まで晴れやかになってきた
まずは一緒に昼飯を食べようか
2台のバイクは東小学校前のいつもの文具店へ向かう
その店は文具やお菓子の他に軽食としておでんや焼きそばもやっていた
何よりも高田のイチオシで小学生からの常連という どうも年季の入ったことで
客はほとんどが小中学生で 子供相手とあって料金も安くてリーズナブルで
カネ無し高校生の懐にも優しかった
つくってくれるのはおばあちゃんか若奥さん
定番メニューは焼きそばで 小遣いに余裕があるときは おでんも追加した
辛子を付け過ぎて鼻がツーンとなって涙目になりながら食べたこともあった
常連の高田様は焼きそばに紅しょうがをたくさんのせて食べるのが好きで
よくおばあちゃんに しょうがだけ大盛りぃ!なんて無理言って困らせていた
3人して店の中でいろいろしゃべりながら食べる焼きそば格別な味がした
それは学校でも家庭でも味わえないないものがあったからだと思う
さて昼飯を食べた後は腹ごなしのツーリングである
といっても町中をぶらりと走り回るだけだが これも定番といえば定番だった
デカの高田が運転し チビの木島が後ろにという様ははまるで親子のようだった
その後ろから私も付いていくのだが やつは一体どこへ向かうのだろうか
さっぱり分からないが気まぐれな高田の後を追うのはしんどかった
東西に走る県道を横切ると住宅地に入る道がある
そこを抜けてちょっと脇に入ると杉林があり そこから細い一本道に入る
林の中は薄暗くてひんやりしていて何か薄気味悪いような感じがした
ほとんど陽の射さない道は湿り気を帯びていてタイヤがスリップしそうになるし
ましてや木の根っこのやつが所々道にむき出しになっているもので
ゆっくり走らないとハンドルをとられて本当に危ない
まるでけものみちのようでもあった
さらにその細い道を進んでいくと道の端には小さな墓地があった
それほど立派な墓石ではなく 無縁仏のような小さくて古めかしいものが
道沿いにずらりと並んでいて 高さ5mくらいの杉林の中にひっそり佇んでいた
こんなところにも人がくるんだろうか そこだけ時の流れが止まっているようだった
しばらく走ると狭い道は林を抜けて いきなり目の前がぱっと明るくなってきた
そこは陽に照らされて目も眩むほどに光っている水田が一面に広がっていて
すでに田植えも終わったようで田んぼに人の姿はなかった
そして左手には高い土手があり その向こうには広瀬川が流れていて
土曜の昼下がりとあって日差しも強くて土手を散歩するような人もいなかった
ただずーっと向こうに平和橋があり その坂道だけは自転車や車が往来していた
林を抜けると道は下り坂になっていて田んぼの中を農道が一直線に走っていた
しかし道幅1mほどで端のほうは土も柔らかく二輪では真ん中を走るのがやっと
その真ん中もデコボコしていてハンドルを取られそうになって走りにくい
しかし高田のやつは一人面白がっていた そういうやつ
わざとノッキングを起こしそうなくらいのスピードでゆっくり走るので
こっちはハンドル操作とアクセルを合わせるのにてんてこ舞い
前方よりも自分のバイクの前輪のよたよたした動きに気をとられてしまい
まるでサーカスの玉乗りピエロのようによろけながら進んでいくしかなかった
このまま真っすぐ進んでいけば平和橋のたもとの道に辿り着く
木島は高田の腰に掴まってよろけながらふらふら走るバイクに面白がっている
しかしキャーキャー言いながらも心配なのか時折こっちのほうを振り返っては
高田のデカイ背中をぶっ叩いて もっと真面目に運転しろよと言う
木島はそういうやつ いろいろ周りに気を遣ってくれる
そこへいくと高田のやつはやんちゃで困る
デコボコ道をモトクロス気分で走るのが好きみたいで お前は小学生かよ
文句を言ってもいつも茶目っ気たっぷりに「わりい わりい」と返してくるんだが
わりいなんて思っちゃいない それでも憎めないやつだった
太陽の光と水面の反射でギラギラした道を2台のバイクがゆっくりと走っていく
しばらくするとどこからか人の声が聞こえてきたような?
しかしこの見渡す限り一面の田んぼの中に誰もいるはずはない
気のせい??気にも留めずにさらに走っていくと
その声は後ろのほうから「止まれ!」と言っているかのようだった
しかし狭いデコボコ道でハンドル操作を気にしながらでは振り返ることもできない
すると次は大きな声で「おいっ 止まれ止まれ!」という怒鳴り声に変わった
今度はハッキリと聞きとれた 止まれと言っているのだ
しかしどういうことだよ こんな田んぼのど真ん中で止まれって??
さすがに木島も高田もこの大声に気付いたようで 慌てて2台のバイクは停車した
そして3人揃ったように後ろを振り向くと 何とそこにはお巡りがいた
えっ何でこんなところにお巡りがいるの??
やつは自転車に跨って「はあはあ」言いながら苦しそうに肩で息をしている
そしてものすごく怒っているようにもみえるんだが
応援クリックよろしくお願いします
にほんブログ村