《ライナーノートより》
(途中から・・・)
『今 調書を読んで確かに解ったのは 女(田中裕子)も小野寺(少年時代の平幹二朗)の中に何かを見出していたのだということだ。
売春婦という汚れ切った女でありながら 天城越えという肩を並べて歩く旅の中に 小野寺の純粋な気持ちが伝わったのだろう。
だから頑として目撃した事実を否定したのだ。
刑事だった老人は 三十数年ぶりで真犯人が小野寺であるという推理に達して 印刷を依頼に来たのだった。
だが もはや時効である。
突き刺さるような一言を残して老人は立ち去っていった』

「突き刺さるような一言」とは??
おそらく今回の「彷徨」の1シーンを意味しているものと思われます
小野寺健造(平幹二朗)「田島さん 時効って なんでしょうか?」に対する田島元刑事(渡瀬恒彦)の答え
「それは あくまでも法秩序の安定のために 人間が考え出した制度ですな つまり罪そのものに時効なんてない」・・・
「私の失敗の罪にも時効なんてない」という
三十年経っても自責の念にかられている元刑事のつぶやき
これが三村監督がこの映画の中で一番訴えたかったシーンではないでしょうか
「時効」は犯人だけでなく 捜査に携わった刑事にとっても いつまでも痛みの消えることのない深い傷なのだと
最後に田島が事務所を出たあと小野寺が嘔吐しているシーンも印象的です


