昭和な居酒屋 | りうりー的房間

りうりー的房間

個人的、記録的、日記的、な。

太宰治の『富嶽百景』にも登場し、

太宰が知人と飲酒したと思われるこのあたりは、

すっかり寂れて当時の面影はありません。


まして厳寒の冬季は、

この地域の人々は夜は家で過ごすことがほとんどとか。



古い建物を利用して新規に商売を始める人には、

町の活性化を期して行政が補助金を出す制度を始めたそうです。



りうりー的房間

暗い細い路地にぽつりと灯る明かりに誘われます。

今夜はこちらで大好きな人たちとお酒とおいしいものをいただく会。


古い梁と漆喰の壁が美しい店内は、

こじんまりと、

モダンに改装されていていい雰囲気です。


壁際の席は、氷点下の外気が壁を冷やしてやや寒い。

それも湯気を立てる鍋をおいしくいただけるから、と許してしまいました。



りうりー的房間

彩り鮮やかな前菜から、お料理の美味しさを知るべし。



お腹も心も満足してお店を出ると、

上気した頬を冷気が瞬時に冷ましました。

夜空の闇に沈む、しかし確実にそこに存在する黒々とした富士山を感じながら、

口々に寒い寒いと言いながら、

誰もいない静かな石畳の路地を歩きます。


少しずつ増えてきたという昭和期の建物を利用したお店を、

全部巡ってみたいと思わせる、

懐の深い麓の町。


寒さはこの町の大事な味わいです。