先日の金沢出張で、自分用に唯一購入した一品。
村上の「垣穂」です。
ごまがぎっしりとやわらかな求肥を包み、
中心には黄粉餡が詰まっています。
このお菓子を知ったのは、親戚のおじちゃんがくださってから。
父の従兄弟であるおじちゃん(父は随分大きくなるまで実の兄だと思っていたとか。昔の大家族ってドラマティック。)が、癌から復活した快気祝いを、自ら親戚一同を故郷の温泉宿に集めて行いました。
誰よりも元気で、笑い、食べ、話して楽しい一日を過ごした後、お土産の一つに全員に配ったのがこのお菓子。
帰宅後、その美味しさの感激を父経由で伝えたところ、
「あの子はやっぱり違いがわかるなあ。美味しいのでわざわざ金沢から取り寄せたんだよ。」
と喜んでいたとか。
おじちゃんは親戚一のしゃれ者でした。
おじちゃんはその三ヶ月後に亡くなりました。
おじちゃんは、本当は知っていたのかもしれません。
抗癌剤がよく効いてもう大丈夫だ、と言っていたけれど、
本当は親戚一同を集めて、最後のお別れをしたのではないか。
何も言わなかったけれど、父もわかっていたのではないか。
包装も処分してしまい、その後尋ねる相手もいなくなってしまい、
私はネットでお菓子の名前を探しました。
だからどうやらこれではないか、という程度なのですが、いやこれに違いないとも思うのです。
もう少し小ぶりだったような。
そしてもう少し求肥が固くて、円柱形だったような。
白胡麻もあったような。
リニューアルしたのかもしれません。
どなたかご存知でしょうか。
おじちゃんと、親戚一同と過ごした楽しい時間を思い出しながら、
胡麻をぷつりぷつりとかみしめるのでした。