y にこの変換を施すと x に、x に施すと y になるような直交変換のひとつです。
ここで、ベクトル x、y を共に長さの等しい列ベクトル
とします。
で、ハウスホルダー変換は、具体的には以下の直交行列で表されます。
式(1)
ここで E はn次の単位行列、右辺第二項の分子の部分は、列ベクトルとその転置の積なので
という対称な行列になります。
これは、右から列ベクトルを掛ければ
上の行列 H で x を変換してみると
式(2)
ここで
x と y は長さが同じなので
が成り立ち、従って上の式は
ここで x^t (x - y) はベクトル x と (x - y) の内積なので、当然 (x - y)^t x と同じ値になるので
式(3)
これを式(2)に代入すれば
が成り立ち、確かに H により x が y に写される事が分かります( y → x も同様)。
ここで式(3)ですが、2次元(萌え)の場合でこの式の意味を考えてみます。
この図で見ると、ベクトル (x - y) の長さは、 (x - y) と x の成す角を α として
式(4)
となる事が分かります。式(3)は単にこの事を言っているにすぎません。
実際、| x | cos α は、 (x - y) 方向の単位ベクトルを v として
となり、式(4)から式(3)が導かれる事が分かります。
以上から、ベクトル x - y は
となるので
式(5)
が導かれます。
長さの等しい(ついでに、向きの異なる)2つのベクトルがあれば、それらの終点を結んで出来る三角形は上の図のような2等辺三角形になり、x と y は2等辺三角形の頂点から底辺へ下ろした垂線(上の図の赤線)に対し鏡映(像?)の関係になります。そのため式(3)が成り立ち、且つ式(1)で x → y、y → x と写される訳です。
この x → y、y → x の変換自体を表す行列は、式(5)の右辺を x でくくった式(1)になります。
x に式(1)の行列 H を作用させれば y に写されますし、 x 以外の任意のベクトルを作用させれば x → y と同じ規則で、つまり x と y で決まる赤線に対し鏡映の位置にあるベクトルへと写されます。
ここらへんの話は、有名有用な 物理のカギのしっぽ様 とか 数理ファイナンス様 などを参照されればもっと良く分かると思います(まるなげ)。
図はしっぽっぽ様とほとんど同じだし(汗