評価されすぎでしょ? と思うもの ブログネタ:評価されすぎでしょ? と思うもの 参加中
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テウィ夫人もまた現在乗りに乗っている

状態、まさに飛ぶ鳥を落す勢いと言って

よく、朝早くからフラメンコに明け暮れる

毎日を過ごしていた。

すでに隠居してもおかしく年齢の夫人で

はあったが、朝からハッスルと『小笠原

真紀子フラメンコ教室』のスタジオへと

出かけ、そしてそこから帰ってくると

今度は夫人の拠点であるダイナミック

ビルに設けられた通称ダンス部屋において

携帯音楽プレイヤーから流れるフラメンコ

の調べを耳にしつつ、踊り明かす。

まさに脅威のオールドパワーと言わずして

この夫人のことを一体何と表現すれば

いいのか?

そして時に夫人は

『今日も街に出て、踊るざあます』

などと戯けたことを言ったとしたら、側近

高橋は大あらわ、『新宿大舞踏祭開催』

などと印刷された幟を持ち出し、その準備

へとかからなければならないのだ。

そんな気まぐれなテウィ夫人に振り回される

高橋であったが、『新宿大舞踏祭』開催へ向け

各種の打ち合わせに忙殺され、そうして夫人

の気まぐれにも付き合わされたりと、まさに

孤軍奮闘している状態であった。

しかし彼の仕事は一向に楽にならなることは

なかった。

そしてここに来て、『新宿大舞踏祭』を豪華に

彩るということで、さらなる踊り手の召集を

かけろという打診が来た。

それはきまぐれなテウィ夫人が提案したものでは

なく、新宿大舞踏祭を後援することになったフジ

テレビからの提案だった。

だから高橋としてはその提案を断わるわけには

いかなかった。

そんなこともあり、彼はその募集を掛けるために

早急に夫人のブログにリンクを張るようにとの

指示を出していた。

というのにその作業が遅々として進んでおらず

そこへ来て、夫人が舞踏祭での衣装を新たに

あつらえるから、それに近いうちに付き合えなど

と言い出し、さらに部下の内の何人かは舞踏祭

を前に忙しいはずなのに、ソファーでただゴロ

ゴロと寝込んでいるだけのなのを見かけた時に

つい高橋も

『バカヤロー、お前ら、やることあるだろ!!』

と声を荒げ、さらにそのソファーに蹴りを入れ

怒りをあらわにすることになったのである。


その様子をたまたま見ていたのがテウィ夫人

であった。

夫人は

『高橋、何、声を荒げてるざあますか?みっとも

ない!!!』

高橋の忙殺振りなど、夫人にとっては他人事

万事何事もうまくいって当たり前、しかし

そんな夫人も人の上に立つもの、常に冷静で

あらねば、というのが(何と勝手な言い草であ

ろうか?)心情ゆえに高橋の部下に対する

態度をたしなめた。

この事態に高橋はただうつむくしかなかった

のだが、何事も他人事ゆえか、気持ちの切り

替えも早いとみえるテウィ夫人は

『そう、高橋、これまでずっと、舞踏祭の宣伝

をかねて街に出ていたざあますけど、あ~た

高橋、そう何度も何度も新宿駅前で踊るのは

飽きたざあますから、別の場所も探して

ちょうだい』

などと悠長なことを言い出した。

もちろんこの夫人の言い分に

『はい、かしこまりました』

と高橋は首を縦に振るしかなかった。

こうして高橋はまた気まぐれなテウィ夫人のため

に一つ仕事が増えたのだった。

自分一人が仕事に忙殺されている気になって

いた高橋、ここに来てそんな彼にも岩田と川上

という有能な部下が2人いることを思い出した。

彼らもまたテウィ夫人の気まぐれに付き合い

奔走しているのだ。

『新宿大舞踏祭』向け、忙殺されているのは

自分だけではない、2人の部下を思い浮かべ

つつ、高橋は前向きに考えてみることに

した。


すでに夫人は自分の用件だけ述べるとさっさ

とまたダンス部屋に帰ったらしくその姿は

なく、高橋も自分の仕事に戻ろうとしたところ

だった。

先程廊下に置かれたソファーで寝転んでいた

らしい男が

『高橋さん、さっき、テウィ夫人が新宿駅以外の

場所を探せとか言ってましたけど・・・・』

と急に問いかけてきた。

高橋はその男が何という名前なのか思い出せ

なかった。

『それが何だ・・・・・・・・・・・・』

『オレにいいところ、夫人がフラメンコ踊って

人を集めるのにいいスペース、それに心当たり

あるんすよっ』

男はそういって頭をペコペコと下げ始めた。

何とも軽々しいその姿は卑屈に見えたのだが、

『じゃあ、頼むよ』

と高橋もその男の態度が伝染したように

軽々しくにその男にその仕事を託したのだ。

『ところで、名前は?』

このようにテウィ夫人の拠点には何だか得たいの

しれない人間がこの男の他にも何人か住み着いて

いた。

『オレッすか?オレ、金本って、言います』

と男は自分の名前を口にすると、2度、3度

と掌をしゃくるように振った。

この男には上下関係というのがまるでわかって

ないようでさらに

『それじゃあ、お疲れっす』

などと言い、階段の方向へと歩き始めた。

(あんな男に任せて、本当に大丈夫なのか?)

と当然のように高橋は思ったのだが、それも束の間

彼にはこなすべき仕事が山積ているために

すぐにそんなことは忘却して行ったのである。