イスラム圏で暮らして気になった聖書の箇所 | 下手の横好きの独白録

下手の横好きの独白録

毒説の日々。日本の村社会への批判,反日プロパガンダへの批判,反原子力への批判。

 
日本にいた時には読み飛ばしていたのですが,イスラム圏のマレーシアで暮らすようになって,非常に気になるようになった聖書の箇所が2つあります。
 
① イエスの断食に関する見解

 

イスラム圏では,ラマダンと称し,今でも1月近く,日中は飲まず食わずの断食をおこなっています。キリスト教でもイースタの前の4旬節Lentに,ラマダンと似たような儀式を行っていました。ところが,時代が下るにつれて,次第に緩和されて,現在では,ウヤムヤになってしまいました。以下に,その概要を示します。

 

lentは,復活祭(イースタ前)の40日間(ただし,日曜日は除く)をさします。この40という数は、イエスが荒れ野で40日間断食をしたことに由来していて、それにならって,イスラム教のラマダンのように,4 0日の断食(ただし,日曜日は除く)という習慣が生まれました。日本語の”旬”には,10日間の意味がありました。今でも4月上旬,中旬,下旬といういいかをしますが,Lentを4旬節と訳しているのは,その名残です。

 
時代が下り,だんだん緩和されてきて,古代や中世期では,四旬節に肉食を断つという風にかわりました。キリスト教圏では,四旬節が始まる灰の水曜日の直前に、「カーニバル謝肉祭)」というお祭りがあります。四旬節には,肉食を断たなければならないので,その前にごちそうを食べて大いに騒いでいました。その習慣が今日まで続いています
 
現在では完全に食事を断つというよりも、十分な食事をひかえることと考えられていて、以下のように「大斎小斎」があります。大斎小斎を守る日は灰の水曜日聖金曜日(復活祭直前の金曜日)、小斎を守る日は祭日を除く毎金曜日です。
  • 大斎
    1日に1回だけの十分な食事とそのほかに朝ともう1回わずかな食事をとることができ、満18歳以上満60歳未満の信者が守ります。
  • 小斎
    肉類を食べないことですが、各自の判断で償いの他の形式、とくに愛徳のわざ、信心業、節制のわざの実行をもって代えることができ、満14歳以上の信者が守ります。
大斎小斎も、病気や妊娠などの理由がある人は免除されます)
 
このような状況において,マレーシアでは,ムスリムの学生たちに「なぜ,断食しないんだ」という質問をよく受けます。「ムスリムでないからだ」といってしまえばそれまでですが,4旬節を知っているので,それだけでは,根拠薄弱のような気がしてなりません。

 

聖書の福音書が伝えたところによると,ヨハネの弟子から,マタイ伝9-14やマルコ伝2-18などで, 「我々は,断食するのに,なぜ,あなたちは断食をしないんだ」と質問を受けます。その後のイエスの回答が全く理解できないのです。いきなり,花婿の話にとんでしまうからですこのため,ムスリムの学生たちに,自分がなぜ断食をしないか,という説明に窮してしまいます。ローマ人への手紙14-3などでは,なんとなくごまかされたような気がしてしまいます

 
② 女性の被り物
 
イスラム圏では,女性は,ヒジャブと呼ばれるスカーフをかぶって,髪の毛を隠さなければなりません。それに対して,キリスト教では,修女様(nun)のような人は,髪を隠していますが,必ずしも義務化されているわけではありません。これは,なぜか,イスラム圏で暮らしていると,非常に気になってきました。
 
コリント人への第1の手紙の11章には,女性の髪とかぶりものについての記述があります。

[11章の5節]
しかし、女が、祈りや預言をするとき、頭にかぶり物を着けていなかったら、自分の頭をはずかしめることになります。それは髪をそっているのと全く同じことだからです。女がかぶり物を着けないのなら、髪も切ってしまいなさい。髪を切り、頭をそることが女として恥ずかしいことなら、かぶり物を着けなさい。


[11章の10節]
ですから、女は頭に権威のしるしをかぶるべきです。それも御使いたちのためにです

この記述だと,女性は,頭にかぶり物を着けることを義務付けています。ところが,11章の15節は,以下のようになっています。

[11章の15節]
女が長い髪をしていたら、それは女の光栄であるということです。なぜなら、髪はかぶり物として女に与えられているからです


ここでの記述だと,女性の長い髪は,かぶり物であると言っています。すると,5節や10節では,被り物をしろと命じておきながら,女性の長い髪は,かぶり物であると,言うのでは,結論としては,女性は,被り物をしなくてもいいことにならないのか?

一体,どっちなのか,私には,全く分からなくなってしまいました