テルー「もしもし、どうしたのクロトさん?まだTAルート精査の周期じゃないと思うけど」

 

テルーはKRT銀行総裁・クロトからの突然の通信に戸惑いつつ用件を聞く。

 

クロト「今回は別件。惑星リリーパで大量のダーカーが発生したらしくてねえ。迎撃隊を編成するから、腕利きをよこしてほしいとお願いされたんだよ。それでぜひ君を推薦したいんだけど、いいかな?」

テルー「断る理由がないわね」

クロト「助かるよ。じゃあ惑星リリーパの採掘基地、知ってるよね?そこへ向かって。詳しい話は現地で聞いてほしいな。では、健闘を祈るよ」

テルー「了解。 ・・・ふふっ、楽しみ♪」

 

まだ見ぬダーカーの大群を想像し、通信を切ったテルーは足取り軽くリリーパへと向かった。

 

 

 

―――――惑星リリーパ採掘基地・防衛司令部―――――

 

 

 

テルーが集合場所へ到着すると、既に60名ほどのアークスが集まっていた。その中に見知った人影を見つけ、テルーはスキップで近づいていく。

 

テルー「グリ師匠もやっぱり呼ばれてたんですね!」

グリンダ「あ、テルーさん。お久しぶりです」

??「お、可愛らしいお嬢さんだ。この後お茶でもどうだい?」

グリンダ「可愛いとみれば誰彼構わずナンパするのはやめてくださいよ。彼女はまだ18未満ですからね、捕まりますよ?」

アルアス「ほーまだそんな歳なのか。今後が楽しみだねえ」

グリンダ「・・・」

テルー「ねえ師匠、この人は・・・?」

 

いきなり近くの男から褒め言葉を投げかけられ、困惑しつつテルーは男を見る。

黒いスーツに、金色のネックレスをつけた白髪の長身痩躯。誰がどこから見ても完璧な二枚目だった。

 

グリンダ「この人は・・・」

アルアス「やあ初めまして。テルー、と言ったかな?俺はアルアス。先ほどは失礼、ついお前さんの可愛さに目がくらじゃってな」

グリンダ「・・・こういう人です。腕は確かですからそこはご安心を」

テルー「あー・・・よろしくお願いします、アルアスさん」

 

 

残念な二枚目と出会って数分後、すずと深紫華が壇上に上がる。気づいたアークスたちは途端に話をやめて2人に注目し、作戦の説明が始まった。

 

 

すず「よし、全員集まったみたいだね。時間もないし、さっそくブリーフィングを行うよ!!まず、私がこの作戦の総指揮を務めるすずです」

深紫華「副指揮の深紫華です、よろしくお願いします」

すず「まずは、この作戦の最終目的の確認から。現在、採掘基地にダーカーの大群が侵攻してきています。 

これを撃退し、拠点の機能を守り抜くこと 

が私たちの最終目標です!

深紫華「しかし、今回は敵性勢力の規模が尋常ではありません。よって、第1基地~第3基地にわたって大規模な戦線を構築し、段階的に敵勢力を削っていきます」

 

 

作戦の概要:

 

この作戦は司令官2名、戦闘員48名、後方支援20名の総勢70名で行う。

 

まずは第一基地で戦闘員12人で敵を足止めし、その時間で第2基地にバリケードを築く。

 

第2基地ではバリケードも活用しつつ、ここの戦闘員12人で敵を押しとどめる。

 

万が一の事態に備え、新型兵器「AIS」も―――今回が実戦初投入だが―――第3基地に準備しておく。また、今回集まった戦闘員48人のうちの半分は、『AIS』搭乗要員兼前線の補充要員としてここで待機する。

 

 

すず「何か作戦に疑問、不満のある人はいる?」

??「1ついいですか?」

すず「はい、トンテキさん

 

トンテキ、と呼ばれた和服の男が手を挙げて発言する。

 

トンテキ「『AIS』についてですが、いきなり誰でも乗れるんでしょうか?」

すず「そのことなんだけど・・・トンテキさん、あなたに搭乗のレクチャーをお願いできないかな?」

トンテキ「ええ?確かに搭乗試験に協力したことはありますがね」

深紫華「士官学校で教鞭を取るあなたならば適任と考えています。どうか、お願いします」

 

深紫華が丁寧に頭を下げる。さらに

 

アークスA「トンテキさんに教わるなら安心できそう」

アークスB「どうせ後で覚えることになるんでしょ?だった今トンテキさんに優しく教えてほしいよね」

周囲の、特に若いアークス達からこんな声も上がる。

 

アルアス「グリンダ、俺の経験から人間の好みには2種類あることが分かっている。上半身を重視する奴と、下半身を重視する奴。だがな、本当にこの価値観は正しいのか?って最近考えるんだ」

グリンダ「私に振らないでください。私まで関係ないことを話してるように見えるでしょう」

残念なベテランも2人ほどいるが。

 

トンテキ「あなたに頭まで下げられちゃ仕方ないですね。でも私1人で全員教えるのは手間ですから、もう1人くらい搭乗経験のある方・・・お、たつひとさんがいるじゃないですか。お借りしますよ」

 

たつひと、と呼ばれた精悍な顔立ちの男が敬礼しつつ答える。

 

たつひと「他の人に比べると戦闘力に自信もないですしね、全力を尽くします」

 

すず「他に質問は?・・・はいグリンダさん」

グリンダ「えーと・・・そもそもどうやって第1基地にダーカーを誘導するんです?」

すず「心配しないで。これが現在のダーカーの座標だよ。採掘拠点の西から迫ってきてるの」

 

すずが手元の端末を操作し、全員に見えるように現在のダーカーの位置を表示させる。

 

深紫華「ダーカーは機能や資源の多い基地に敏感に反応します。それを逆手に取り、第1、第2基地の機能、資源の60%を第3基地へと移しました。これにより、ダーカーは現在地から第3基地に直進してくるはずです」

グリンダ「目的地をこちらで絞ってやったわけですか。そして進路上の第1、第2基地で迎撃する、と。よく考えますねえ」

すず「そういうこと。ちなみに全部移さなかったのは、前線が崩壊しても採掘拠点を攻撃させて、少しでも時間を稼ぐためだよ」

グリンダ「よくわかりました、ありがとうございます」

 

すず「あとはいいかな?・・・よし、じゃあ次は第1基地で迎撃する部隊の編成を発表するよ」

深紫華「前線で指揮を執るのは、アルアスさん。お願いします」

アルアス「大役だねえ。謹んでお受けいたしますよ」

 

深紫華「続いて副指揮について。アルアスさんが指揮を執れない場合にはEMIさんが代行、EMIさんがだめならば文月さんがお願いします」

EMI「了解しました」

文月「お任せを」

ファッション雑誌「ウィン」のモデルとして人気を二分するこの2人だが、優れたテクニックの使い手としても知られている。平野での戦闘となる今回、範囲攻撃や集敵など様々な面で頼りになりそうだ。

 

アルアス「お噂はかねがね。いやー写真でしか見たことないけど実物も美人だなあ。こんな美人に支えられて戦える、これだけで参加した甲斐があるってもんだ」

この男(前線指揮官)は頼りになる云々ではない面で歓迎しているようだが。

 

深紫華「・・・その他の9人については、先ほどの3人で選抜をお願いします。編成が決まり次第すずさんに報告、出撃してください。次に第2基地の編成を―――」

 

EMI「いたいた・・・えっと、テルーさん?」

テルー「?」

文月「隊長がね、あなたをどうしても部隊に誘いたいって言うものだから。私たちの部隊、入ってくれない?」

 

どうやって1番ダーカーを倒せそうな第1基地の部隊に入ろうか考えていたテルーにとり、この提案は渡りに船だった。

 

テルー「敵の数が1番多いときに叩けるし、むしろこちらからお願いしたいくらいよ」

EMI「よし、決まりね。あとは・・・」

アルアス「話は決まったか?残りの8人はもう選んどいたから、あとは報告して即出撃だ」

 

アルアスの後ろには、既に準備を完了させたらしい8人が揃っている。軟派で軽薄そうに見えても、締めるところはきっちり締めるあたりはさすがにグリンダから「腕は確か」と評価される人物というところか。

 

そんな感想を抱きつつ3人もアルアスに合流し、すずへ報告へ向かう。

 

すず「はい、OKだよ。じゃあ、頑張って!第1次迎撃隊、武運を祈る!!

 

部隊一同「はっ!!」

敬礼し、部隊は第1基地へ繋がるテレポーターへと集合する――――その前に

 

アルアス「そういやあすずさん、俺がホモって噂が流れてるんだが・・・原因知らないか?」

すず「あー・・・にゃる庵に霧晴って男の子を連れ込んでたって話、聞いたね」

アルアス「それだ!それしかねえ!!いや迷子だったから・・・俺のマイルはさすがにあれだし、暗黒汚神女将のにゃるさんなら何か知ってるかもしれなかったし・・・!」

すず「だからってお泊り施設に連れてくのはちょっと」

アルアス「妙な言い方してくれるんじゃないよ!?」

 

EMI&文月「「ダーカーの襲来に間に合わなくなっちゃうので行きますよ~」」

アルアス「待て、待ってくれ!せめて誰が噂を流したのか特定させt・・・ぐぅおおおおおお!

俺は、ホモじゃなああーーーーい!!!

 

副官2人の無慈悲なゾンディールにより、黙っていれば良かったものを絶叫しつつテレポーターへ連行されるアルアスに、隊長としての威厳は全くなく。

 

その場の全員が、その姿を何とも言えない目で見送った。

 

 

 

―――――惑星リリーパ・第1採掘基地―――――

 

 

 

アルアス「いいか、この作戦は普段からやってるダーカーの掃討とは全く違った立ち回りが要求されるぞ。闇雲に目の前の敵を倒すだけじゃダメだ。きっちり俺の指示を聞いて、全員が各々の役割を果たす。それが勝利への近道だ」

 

先ほどの諸々は振り切ったらしい、アルアスの初めて隊長らしい発言を聞き、テルーは普段の考え(うるせえ叩けば壊せるんだろ的な考え)を頭から追い出しつつ、具体的な立ち回りについて質問する。

 

テルー「それは分かりますけど、多くを相手取って戦闘を続けるのはしんどいのでは?」

アルアス「そうだな、こっちが早めに疲れちまったら意味がない。だから、効率よく倒せるように敵を固める方法を取る。

部隊を3班に分け、3か所に分散。俺のグラビティボムと、副官殿2人のゾンディールを1か所ずつ展開し、1か所に集まった敵に攻撃役の3人が集中攻撃し殲滅。この繰り返しだ

 

アルアスの指示で部隊は3か所に分散し、ダーカーを待つ。テルーはアルアスと同じ班となった

 

アルアス「いいか、勝手に飛び出すなよ。敵が固まったのを確認して攻撃だ、と。来なすったぜ、全員気合入れろよ!」

一同「「「了解!」」」

 

一同が返した直後

 

ドドドドドドドドド

ブゥゥウウウーーーーーン

 

 

地響きのような足音と竜巻のごとき羽音を立て、黒い津波のように押し寄せるダーカーの軍勢が姿を現す。

新人が見ればそれだけで失神ものだがそこは腕利きのアークス、一歩も引かず攻撃の間合いを測る。

 

 

 

漕ぎ出した箱舟に、最初の高波が押し寄せる

 

 

 

 

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あ と が き

 

長い長い第2話でしたね、しかも戦闘始まらないという(´・ω・`)

アルアスさんがイケメンで何が悪い!でも〇モのあれは許して?この後ちゃんとかっこよく書きますから(^▽^;)​

 

あとは戦闘には参加しませんが、雪家きりばいはる霧晴君、にゃる庵の女将、にゃるさんにゲスト出演していただきました。にゃるさんは無許可だけどたぶん大丈夫()、あと雪雛ちゃんは別で出しますから安心するのはまだ早いですよ雪さん(ニッコリ)