手術前夜、楽しくない気持ちなのだろう、まめの寝付きがよくない。
部屋に入って入院の説明を受ける時に、今回初めて「くまちゃん、初めての手術」的な、ぬいぐるみのくまちゃんが頑張って手術を受けるという内容の写真付きの本を読み聞かせていただいた。
その直後から、まめが「なにやら嫌な予感」を感じとってしまった。
我が家では、オペ室へ向かう廊下はディズニーランドの乗り物へ乗るまでの通路とこじつけていて、「手術、大変だけど頑張ろう!」というのではなく、「あのお部屋(オペ室)に何が待ってるかな?ワクワク!扉を開けると…わぁー!カッコいい~!」という無理矢理楽しませる方針なので、「頑張ろう!」は実は禁句。
「なに?なにか頑張らなきゃいけないような怖いことがこれからあるの?」と思ってビビってしまうのである。
案の定、明日なにか嫌なことがあると思い、夜ナーバスになって寝ない。
家に帰りたがる。
やっと寝てもグズって起きて、「ママ~!一緒に寝て~!」と。
とりあえず寝させて気持ちをリセットさせ、朝はパパも来てくれたから、楽しい気持ちでオペ着にチェンジ。
因みに、「わぁ♪可愛い、ピンクのガウン。浴衣みたいだね!あぁ~、今年も浴衣でお祭り行きたいねぇ。」と言うと「まめはピンク!ママは?」「ママもピンク着たい~!」「パパは?」「パパはブルー!」なんて話も弾み、楽しそうな雰囲気に。
そこから手術室までの移動は、パパの抱っこでご機嫌。
恒例のディズニーランド話。
「イッツアスモールワールドに行くときみたいだね!」って言えば歌ってくれる。
オペ室の扉が開いたら「ジャジャーン!スペースマウンテーン!見て、見て!あのマシーン、カッコいい~!」とか、色々テンション上げて。
麻酔のマスクも嫌がることなく、すんなり寝てくれました。
まめは朝イチの手術だったので、オペルームに入ると看護師さんたちが何やら輪になりミーティングをなさっているご様子だったが、各々一言ずつ何かを話されては拍手がおこっている。
毎回朝はこうやって円陣をくまれているのかなぁと思っていると、付き添って来てくださった病棟の看護師さんが「年度末なので、今日が最後での人や移動がありまして…」と教えてくださる。
そっか。
看護師さんたちも今日が最後の方がいらっしゃるのね。
今日、まめのオペをしてくださる教授も今日が最後のオペです。
私の膝の上で眠ったまめを手術台に寝かせ、先生ひとりひとりに「宜しくお願いします」と言って、病室に戻る。
5回目の入院にして初というくらい、眠くて眠くてしょうがない。
我が子が今まさにオペ真っ最中だというのにこんなに眠いなんて、なんちゅー不謹慎なんだ、もしくはどんだけ図太い神経なんだと思われるかもしれないが、もうね、オペが始まってしまったらまめ本人は勿論、私だって気持ちはまな板の上の鯉。
オペ中に私が寝ていようが、お百度参りしていようが、もう何も変わらない。
だったら、オペを無事に終えて帰ってきたまめをしっかりお世話してやるために、パワーチャージしておく!
病室で、パパが持ってきてくれたお弁当をバクバク食べ、ベッドで横になり、ノンストップを見る!
そしたら、あっという間にお呼びがかかる。
「え?もう?早いですね!」
術後すぐの先生との面談で、最後の最後にオペをしていただいたことの感謝をお伝えし、リカバリー室へ行くと、まめはもう目を覚ましていた。
目を覚ましているものの、まだ意識はボーッとしている様子なので、手を握り、声を掛け、病棟からまめのベッドが来るのを待つ。
その間、慌ただしく右往左往されている看護師さんやお医者さんを見ていたら、バタバタと何処かへ行こうとされているまめの主治医を呼び止めている看護師さんの「先生、お疲れ様でした。先生につかせていただけて、本当に幸せでした。有難うございました。」という声が聞こえてきた。
私も、先生に出逢えて本当に幸せだった。
幸せになれた。
いや、本当は最初から幸せだった。それに気付かせていただけた。
そう思いながら、まめの手をぎゅっと握って私もうるうるしちゃう。
リカバリー室の看護師さんと「本当に、先生に出逢うまでに色んな奇跡が起きて先生に巡り会うことが出来たんです」って話をして、看護師さんに「まめちゃん、ラッキーだね。」って言われて思った。
確かに、私達はラッキーだったかもしれない。
でも、私達だけのラッキーで終わらせてはいけない。
私達は、毎日毎日、何度も何度も、何かを知りたくて検索する。
我が子と出逢い「色素性母斑って、何?!」と検索するママのために、私なりにブログは続けたい。
愛しい我が子を見て流す、ママの涙が不安の涙じゃなくなりますように。