こんな車両も残ってたんですねえ~
このブログでも何度も取り上げている、千葉県いすみ市にあり多種多様な鉄道車両(カットボディーとなったものも含む)が屋外保存されている「ポッポの丘」。
ここで保存されている鉄道車両の多様性という点ではもはや大宮や京都の鉄道博物館をしのぐとも思えるほどの施設になっていますが、ここにまた1両新たな保存車両が仲間入りすることになりそうです。
その車両は、かつて北海道の函館本線・千歳線・室蘭本線の電化区間で活躍した国鉄型特急型電車781系の先頭車です。
781系電車は、初の(国鉄型としては唯一の)交流専用の特急型電車として1978年に試作車が、1980年には一部を改良した量産車が登場しました。
この形式が登場した背景には、1975年から運転を開始した北海道初の電車特急「いしかり」(札幌ー旭川間)に使用されていた485系1500番台の存在があります。
この485系1500番台に施された耐寒耐雪装備が十分でなく、特に北海道特有の雪質への対策ができていなかったため、運転開始後雪のシーズンに入ると車両トラブルが多発して聖女運行がままならなくなり、その苦い経験を生かして北海道の気象条件に合った装備を施した特急型電車が求められ、それが781系になったものです。
781系はまず1978年に試作車である6両編成1本が製造されて各種試験の後、翌年から485系に混じって「いしかり」で営業運転を開始。
1980年には量産車となる6両編成7本が登場し、485系をすべて置き換えることになりました。この年10月のダイヤ改正では、特急「いしかり」は781系への全面置き換えを機に愛称を「ライラック」に変更し、運転区間も新たに電化区間となった室蘭本線の一部と千歳線を含む室蘭ー旭川間に拡大して新たなスタートを切りました。
その後の781系は、基本編成の6両から4両への短縮や塗装変更、一部車両のドア増設などの改造を経ながら2007年10月まで活躍を続けました。
このたび、「ポッポの丘」入りを果たしそうな車両は、その2007年に廃車された後函館市の幼稚園に引き取られて物置として使われてきた先頭車(この件を報じたネットニュースの記事には具体的な形式や車番の記載はなし)で、幼稚園の施設改修のため長年の雨風や雪の影響で劣化の激しいこの車両は解体の危機に直面しており、極寒の北海道を走るために様々な特殊装備を備えた特急型電車という点で貴重な存在である同社を「ポッポの丘」で保存しようと、有志らでつくる「781系ライラック保存会」によるクラウドファンディング(CF)が13日に始まったというものです。
幸い同車は車体の劣化こそ激しいもののオリジナルの蛍光灯や電装、座席も残るなど原形は保たれているようで、保存会ではこの車両を「ポッポの丘」へ移送して修復したい考えとのことです。
「ポッポの丘」では休憩スペースとして活用したり、運転台開放イベントを開いたりすることも想定しているようです。
CFの第1の目標額は1600万円で、3月13日午後11時までCFのREADYFORサイトで受け付けているとのことです。目標額に到達すれば、第2目標としてさらに支援を募る予定もあるようで、今後の展開が楽しみです。
781系は登場以来一貫して北海道の「ご当地特急電車」として活躍してきた車両だったため、私が781系に乗ったのは北海道への鉄道旅の際の2回ほどしかありませんでした。
いずれも特急「ライラック(当時の運転区間は札幌ー旭川間)」と、その「ライラック」を延長運転する形で運転されていた札幌ー新千歳空港間の快速「エアポート」でのことでした。
781系そのものの走りっぷりや座席の座り心地などは他の特急型電車と大きく変わるところはありませんでしたが、私が個人的に気に入ったのは編成内のモハ781形への乗降扉増設によって生じた8人分の「半個室」的な客室でした。
これは1992年から93年にかけて781系の一部形式で乗降扉を1か所から2か所に増やした際、モハ781形だけは床下機器の関係で増設する扉を車端部に寄せることができず、客室の途中にデッキとドアを設ける必要が生じて生まれた者でした。
この「半個室」が設けられたモハ781系は「ライラック」や「エアポート」では自由席の位置に連結されていたので、北海道ワイド周遊券や周遊きっぷ「北海道ゾーン」で特急列車の自由席も料金不要で乗れる身にはなかなか快適な空間だったのを思い出します。
これから2か月の間にCFにどの程度の支援が集まるか、そしてその結果「ポッポの丘」入りを果たした781系先頭車がどんな姿になって保存車両の仲間入りをすることになるのか、大いに注目といったところでしょう。
それにしても「ポッポの丘」、今後どこまで保存車両が増えていくのでしょう。
公共交通機関でのアクセスがかなり難しいのが難点の同施設ですが、できることなら781系の保存が実現したあかつきにでも10数年ぶりにぜひ再訪したいものです。