果たして実現なるか? もう一つの直通計画
先日は西武鉄道とJR東日本が、JR新秋津駅ー西武所沢駅間の連絡線を活用して西武池袋線とJR武蔵野線の直通運転を行う検討に入ったという話題を取り上げましたが、実は西武鉄道にはもう一つ、長年の懸案になっている他社線との直通運転の計画があります。それが、西武新宿線と東京メトロ東西線との直通運転です。
西武新宿線は西武新宿駅から高田馬場駅などを経由して本川越までを結ぶ路線ですが、現状では関東大手私鉄の本線格とされる路線では唯一、地下鉄をはじめ他社の路線との直通運転を行っていません。一応他社の駅とは少し離れた位置に駅があるものの大ターミナルの新宿に乗り入れ、高田馬場駅ではJR山手線と東京メトロ東西線に乗り換えることはできるものの、いずれにせよ新宿・高田馬場以外の都心の主要なエリアへは乗り換えが必須で、この点も西武新宿線がこれまでいまひとつ地味な存在といわれる原因の一つになっているとも言えます。
そして、そんな状況を打破することになるかもしれないのが、西武新宿線と東西線との直通運転というわけです。
実は新宿線を高田馬場から都心方向へ延長しようという構想は戦前からあり、戦前に現在の西武新宿線を運営していた西武鉄道(現在の西武鉄道とは別の法人だったので、両者を区別する時は「旧」西武鉄道と呼ばれることが多い)が高田馬場ー早稲田間に路線延伸免許の申請を行ったそうです。当時東京都が池袋から洲崎(現在の東陽町)までの地下鉄建設の構想を持っており、ゆくゆくはそれと連絡させることを狙っていたようです。
この計画はその後、新宿線を新宿駅まで延伸させることに変更されますが、前にも書いたように都心の中心部へ乗り換えなしで行くことができないことに対して新宿線の乗客や沿線自治体から地下鉄東西線との直通運転を望む声が寄せられるようになりました。
そんな中で西武鉄道の側でも新宿線と東西線の直通計画が持ち上がり、かつて新宿線西武新宿ー上石神井間に地下急行線を建設しての複々線化計画があった頃は、その地下急行線をそのまま東西線に結んで直通運転するという案もあったようです。
その後複々線化計画は中止されたものの、新宿線と東西線の直通運転を望む声は相変わらず多く、西武鉄道の株主総会でも毎年のようにこのことについての質問が出されているようです。
そんな中、西武ホールディングスの後藤高志代表取締役会長兼CEOは、先月開かれた2025年3月期の決算説明会で、直通運転の実現に強い意欲を表明し、本格的な検討を進める方針を示したようです。
もしこの直通運転が実現すれば、西武新宿線や拝島線の沿線から大手町や日本橋方面へ、狭い高田馬場駅での上下移動を伴う乗り換えをせずに向かうことができるようになり、新宿線ユーザーとしては利便性の大幅な向上が期待できます。
現実には、既存の連絡線を使うことで地上設備の大きな改修をしなくてよい池袋線ー武蔵野線の直通と異なり、地上を走る新宿線と地下を走る東西線をどのように接続するかなど難題が多く、実現するとしても相当に先の話にはなるでしょうが、やはり西武鉄道にとってはこの直通運転は新宿線が利便性の高い「乗客から選ばれる路線」に脱皮するまたとないチャンスといえるでしょうし、長年の新宿線ユーザーである私としても、東西線との直通が新宿線をどれだけ「大化け」させるのか、その「after」の姿をぜひ見てみたい気がします。