ポスト「ドクターイエロー」は現れるか? | あさかぜ1号 博多行

ポスト「ドクターイエロー」は現れるか?

「新幹線のお医者さん」などとも呼ばれ、運転日やダイヤが非公表であることから「見ると幸せになる」と鉄道にあまり関心のない人も含め多くの人々に親しまれている「ドクターイエロー」こと東海道・山陽新幹線の電気軌道総合試験車(923形)が引退することが、昨日(6月13日)JR東海・西日本の両社から発表されました。
923形にはJR東海所属のT4編成、JR西日本所属のT5編成の2本があり、T4編成は来年1月、T5編成は2027年以降に運転を終了するということです。
引退の主な理由は老朽化で、確かにT4編成の登場が2000年、T5編成の登場が2005年であり、923形のベースとなった700系がJR西日本の「ひかりレールスター」編成を覗き引退していることも考えるとこれもうなづける話ではあります。
今後は営業用車両であるN700S系に搭載された検査機能によりドクターイエローの行っていた検測業務を行うということで、新幹線開業とともに登場したドクターイエローの60年余りに及ぶ歴史にも幕が下ろされることになります。
ただドクターイエローは事業用車両という裏方的存在から大きく飛躍し、ある意味新幹線のアイドルともいえる存在になり、鉄道に特に関心のない人でもホームや沿線で見かけるとつい注目してしまうなど人気の高い車両で、ドクターイエローの存在を入り口として新幹線や鉄道全体に興味を持ったという人も多いと思われます。
そのような車両なので、ドクターイエロー引退に寂しさを感じる人は鉄道ファン以外にも多いことでしょう。
ドクターイエローの本来の任務である電気・軌道の検測はN700Sの検査機能で代替できるとしても、ドクターイエローの持つ「特別な車両」感はなかなか他の車両が代われるものではない気がします。
そう考えると、JR東海も西日本も、ドクターイエローともまた違った形で、鉄道好きの親子や鉄道にあまり関心のない層にも刺さるような魅力のある車両を登場させることを考えてもよいような気がします。
新幹線、特に東海道新幹線はとかくビジネス色の強い路線というイメージがありますが、ドクターイエローの存在はそんな新幹線に親しみをプラスする存在でもあったと思われるので、今後できれば「ポストドクターイエロー」ともいえそうな、多くの人から愛される車両が登場することを期待したいものです。