いつかその時が来るとはわかっていたけれど… | あさかぜ1号 博多行

いつかその時が来るとはわかっていたけれど…

イベント列車の牽引やSL列車の補機、さらには工臨などの事業用列車の牽引、過去にはジョイフルトレインの牽引などにも大活躍したJR東日本高崎運転所(高崎車両センター高崎支所を経て現在は群馬車両センター)の電気機関車(EL)・ディーゼル機関車(DL)たち。
関東周辺を中心に様々な路線を走り鉄道ファンを楽しませてくれたこれらの機関車たちが、今年秋に営業運転を終了するという残念なニュースが飛び込んできました。
これは昨日(6月6日)にJR東日本高崎支社が発表したもので、理由はやはり老朽化ということのようです。
数年前にJR東日本が近い将来の機関車全廃の方針を打ち出して以来、いつかはこのような発表がされる時が来ることはわかってはいたものの、いざそれが現実になることが発表されてみると、国鉄型EL・DLのファンとしてはやはり寂しいものがあります。

この秋に営業運転を終了するのは、ELがEF64 1001・1053号機、EF65 501号機、DLがDD51 842・895号機で、同じ群馬車両センターのDLでも入換用のDE10形は今回は対象となっていないようです。
またやはり群馬車両センターに所属するD51 498号機・C61 20号機が牽引するSL列車の運転は継続され、EL・DLに代わる補機(一部区間・方向によっては牽引)としては電気式気動車のGV-E197系が充てられるということです。
GV-E197系が登場したのは私が視覚障害者になった後のことで、同車がどのような外観をしているのかやSLや旧型客車・12系客車との外観のマッチングなどについての想像が残念ながらできません。
願わくば、いかにも事業用車両然とした外観でせっかくのSL列車の雰囲気を壊すことのないよう、SLや客車と連結したり並んだりしても違和感を与えないようなラッピングを施すなどして、GV-E197系もSL列車を構成する車両としての一体感を演出するような配慮をしてほしいところです。

私も高崎運転所の機関車たち、とくにELにはたくさん楽しませてもらいました。
高崎運転所のELは先ほど挙げたEF64 1000番台やEF65 501号機の他にもかつてはEF60 19号機やEF64 36~39号機も在籍し、イベント列車を撮影に行ったり車両基地公開のイベントに行ったりしてその姿に接する機会も多く、それ以外でも鉄道雑誌や鉄道系のネットメディアで高崎の機関車たちの活躍ぶりを見るのもいつも楽しみでした。
中でもEF65 501号機はブルートレインファンの私にとってはやはり特別な存在で、同機の運転の話題がしばらく雑誌などに掲載されていないと少々心配になってしまったり、逆に同機がJR貨物に貸し出されて貨物列車運用に入っていた時期には、運用される列車が分かり日程が合えば喜んで撮影に出かけたのも懐かしい思い出です。

今回営業運転終了が発表されたのは高崎地区の5両ですが、JR東日本の他区所のEL・DLも遠からず同じ運命をたどることになるでしょう。
どの車両も車齢40~50年という老朽車両であり、加えて引くべき客車がほとんどなくなっただけでなく工臨や配給列車などの牽引も電車や気動車で事足りるとなれば、残念ながらEL・DLが追われる立場になるのも時代の流れなのかもしれませんが、そうとはわかっていてもやはり寂しさや喪失感は拭えません。
また、鉄道にあまり関心のない人にも五感でその魅力を訴えかけやすいSLと比べ、EL・DLは鉄道ファン以外にはなかなかその魅力が伝わりにくく、動態保存をしようとしてもSLより「金になりにくい」イメージが鉄道会社にある(?)ことも今回の決定の背景にあるのかもしれません。
いずれにしても、JR東日本のEL・DLはいつ全廃されてもおかしくない状況です。
それならばせめて、この秋に営業運転を終了する車両のほか、JR東日本他区所のEF65・EF81・ED75・DE10を各形式1両ずつ(個人的にはEF65は501号機とPF型1両ずつでお願いしたいですが)だけでもしっかりとした環境で保存(できれば構内での動態保存ができればベスト)する施設を、新幹線でのアクセスがしやすいエリア内のどこかの駅の近くに開設し、有料でいつでも見学や撮影ができるようにしてはどうかと思います。
SLや旧型客車だけでなく、国鉄型のELやDLも今や立派な鉄道遺産であり、アイデア次第でSLに勝るとも劣らない鉄道収入や地域経済に貢献できるコンテンツにすることもできるような気がします。

高崎のEL・DLは9月15日以降、合計10往復のファイナル運転が行われるということです。
高崎の機関車たちを見たり写真を撮ったりしているうちに一度それらが牽引する列車に乗ってみたいと思っていた私としては、SLを覗いては最後のチャンスとなるこのファイナル運転には乗りに行きたいところですが…
やっぱり指定券やツアーの予約は「瞬殺」になるんだろうなあ…