これも西武新宿線「大化け」のきっかけになるか? | あさかぜ1号 博多行

これも西武新宿線「大化け」のきっかけになるか?

先日は、西武鉄道が5月9日に発表した2024年度の設備投資計画の中で、西武新宿線の特急車10000系の置き換えと、それに関連して有料座席指定サービスの刷新を行うと発表したことについて書きましたが、その設備投資計画では新宿線関連でもう一つ、西武新宿駅から新宿駅方面につながる地下通路について、2025年度以降に事業を推進していくという方針も明らかにしています。
この地下通路は、東京メトロ丸ノ内線新宿駅がある新宿通り直下の「メトロプロムナード」とその北側の靖国通り直下の「新宿サブナード」をJR線に沿う形で南北につなぐ約140mの通路で、メトロプロムナードがJR新宿駅に直結していることから、この地下通路が開通すると西武新宿駅とJRその他の新宿駅がまっすぐに結ばれることになります。

西武新宿駅は、他の路線の新宿駅とは離れた歌舞伎町の繁華街のそばにあります。
西武新宿線が1952年に高田馬場ー西武新宿間を延伸開業した時、この位置にできた西武新宿駅はあくまでも仮駅という位置づけで、将来的にはすでに開業していた小田急や京王のように国鉄新宿駅に隣接して正式なターミナルを設ける計画になっていたそうですが、結局それは実現しませんでした。
地下通路の開通により新宿駅との距離が縮まることで西武新宿線から他の路線への乗り換えがこれまでより容易になり、ひいては乗り換え客の多い隣の高田馬場駅の混雑も軽減されるという効果も期待できます。
もともとこの計画は3年前の2021年に都市計画決定がなされていましたが、今回西武の設備投資計画にこの事業が盛り込まれたことで、いよいよ実現へ向けて動き出したということになると思われます。

長年の西武新宿線ユーザーにとっては、これはかなり便利になるというのが素直な感想です。
何といっても、西武新宿線ユーザーが新宿駅に発着するJR各線や私鉄・地下鉄各線に乗り換えようとすると、高田馬場での乗り換えも可能な(というか、そちらの方が乗り換えも簡単で時間もかからない)山手線以外では西武新宿駅から新宿駅へ、地上の雑踏にもまれながら歩くか、新宿サブナードやメトロプロムナードを延々と歩くか、さもなければ一旦高田馬場で山手線に乗り換え、新宿駅でさらに目的の各線に乗り換えるかという、いずれにしても面倒な乗り換えを必要とする状況を、もう40年以上味わってきましたから。
いつ頃だったか忘れましたが、もうかなり以前に今回の計画のようにサブナードとメトロプロムナードを直結する通路が建設されるという、今から思えば出所不明な噂を聞いたことはありましたが、今度こそはその噂がかなり現実味を帯びた話として進んでいるのですから朗報といえます。
この地下通路を使って両駅間を移動すると、乗り換え時間が11分から5分に短縮されるといいます。これでもJRから小田急・京王に乗り換えるよりは乗り換え距離は長いと思われますが、乗り換え時間が半減するのは大きな改善といえると思います。

そしてこの地下通路建設は、実はかつて新宿線の混雑緩和のために計画されながら幻となった「地下急行線」計画と関わりがあるといいます。
というのは、地下通路が建設される位置には地下急行線の西武新宿駅ホームが設けられる計画になっていたそうです。
在来線ホームよりも新宿駅に近い一に地下急行線ホームを設置しようとしていたのは、これも西武としても西武新宿駅と他社の新宿駅との乗り換えが不便であるというのは十分認識していたからこそ、せめて新設線のホームだけでもできるだけ新宿駅に近い位置に、という思いがあったからでしょう。
そして今回の計画でその遺志が生かされようとしているのも興味深い歴史のめぐり合わせのような気がします。
今回はあくまでもこれから具体的な検討や関係者との協議を進めるという段階に過ぎず、実際にこの地下通路が開通するのがいつになるのかの見通しはまだ立っていないようですが、特急車両置き換え&座席指定サービス刷新や沿線3カ所で進む連続立体化工事、そしてこの西武新宿駅と新宿駅をつなぐ地下通路の開通と、車両の新旧交代や特急・座席指定列車の運転開始を別にすると他の路線よりも変化に乏しかったともいえる西武新宿線が大きく変わるきっかけになるかもしれないトピックが続き、沿線民としては今後の動向が楽しみです。