どうなる?西武新宿線特急 | あさかぜ1号 博多行

どうなる?西武新宿線特急

現在、西武新宿線の特急「小江戸」で活躍している西武の2代目特急用車両10000系「ニューレッドアロー」(NRA)に、いよいよ引退の時が近づこうとしています。
これは西武鉄道が今日(5月9日)に発表した2024年度の設備投資計画の中で、10000系をすべて新たな車両に置き換えるとともに、新宿線系統の有料着席サービスを刷新する方向で検討していることを明らかにしたものです。
西武新宿線の特急「小江戸」は1993年の定期運転開始以来10000系が使用されており、2020年3月には全列車が新型の001系「ラビュー」に置き換えられた池袋線系統との間で特急車両の設備格差が生じる結果になり、このことは西武鉄道の株主総会でも取り上げられていました。
この10000系の置き換え計画は、この両線間の格差を縮めるとともに、西武新宿ー拝島間に運転されていいる「拝島ライナー」ともども、観光客の利用も多い池袋・秩父線系統の特急とは客層の異なる新宿・拝島線系統の実体にマッチした特急・有料着席列車の新たな運転スタイルを構築しようというのが狙いということになります。
現時点ではどのような車両が10000系の後継車になるのかは未定だそうですが、「拝島ライナー」や池袋線の有料着席列車「Sトレイン」に運用されている40000系のようなクロス・ロング変換座席を持つ車両を投入することも選択肢の一つとなっているようです。
仮にそうなると、例えば10両編成中3~4両をクロスシート状態の座席指定車両、残りをロングシート状態の一般車両(特急料金・指定席料金不要)として運転する、南海本線の特急「サザン」や名鉄の一部指定席者特急
のようなスタイルで運転するようなことも考えられ、現実になればこうしたシステムは関東私鉄の特急では初となります。
また柔軟にロング・クロス転換ができる利点を生かしてラッシュ時は前者指定制のライナー列車と全社ロングシートの一般席状態の特急の両方を同じ形式の車両で運転するなど、乗客のニーズに合わせた座席の提供と車両運用の効率化を同時に目指すこともできるでしょう。
10000系に代わる新型車両は2026年度中の運行開始が予定されているということです。
西武新宿線では現在、中井ー野方間、井荻ー西武柳沢間、東村山駅付近での連続立体化工事が行われており、それらの工事の進捗具合にもよるでしょうが、この10000系後継の特急用車両の登場のタイミングで、新宿線・拝島線をはじめとする関係路線では従来の常識にはとらわれない大胆なダイヤ改正が行われることも考えられます。
特急運転だけでなく一般車両やダイヤに関しても、とかく新宿線と池袋線との間にはなかなか埋まらない格差がつくことが多かったですが、この新型特急車の登場で新宿線系統が「大化け」する日が来るのかどうか、沿線民歴50年近くの私としてはかなり楽しみですし、登場までの間、新宿線が大化けするダイヤ改正の内容をあれこれ妄想して楽しむのもいいかななどと思っています。