福井鉄道200形乗車&撮影の思い出 | あさかぜ1号 博多行

福井鉄道200形乗車&撮影の思い出

あと1か月半後の3月16日に迫った北陸新幹線の敦賀延伸によって注目度が高まりそうな福井県の鉄道。
その福井の鉄道といえば、JR線と今回の新幹線開業に伴い旧北陸本線大昌寺ー敦賀間を引き継ぐ第三セクター鉄道のハピラインふくい、それに既存の福井鉄道と第三セクター鉄道のえちぜん鉄道が路線網を形成しています。
今回はこのうち、2007年に初めて乗車・撮影した福井鉄道200形の思い出を記したいと思います。

2007年の夏休み、私は青春18きっぷを利用した関西からの鉄道旅からの帰り道、初めて北陸本線を経由するルートで関東へ戻ることにしていました。
この年の8月31日の朝に大阪を出発し、新快速と北陸本線普通列車を乗り継いで昼頃に福井駅に到着しました。
その後はえちぜん鉄道の乗り鉄を楽しんだ後、田原町駅で接続する福井鉄道線に乗り換えました。
現在のえちぜん鉄道と福井鉄道は、両社の超低床車両を使って相互直通運転を行っていますが、当時はそのような運転形態になるという話も聞かない頃でした。
もっとも、両社のホーム間には跨線橋や改札はなく、ホーム上を平面移動するだけの簡単さでした。
福井鉄道の一日フリー切符を購入し、元名鉄の770形(ちなみに乗車した車両のナンバーは777号でした)に乗車しました。
田原町駅を発車し、福井市内中心部の路面上の併用軌道区間から郊外の鉄道線区間へと入っていきます。
当初はこのまま終点の武生新駅(同駅はその後、越前武生駅への改称を経て元の駅名に再改称)まで乗るつもりでいましたが、特に理由もなくふらっと気まぐれで途中のとある小駅(駅名は忘れてしまいましたが)で電車を降りました。
といってもそこからどこかへ行くあてもなく、とりあえず、再び田原町駅に戻るかそれとももう一つの福井市内の起終点駅である福井駅前停留所まで行くか考えながらホームのベンチに座っていたところ、やがて福井市内方面行の電車がやってくる音が聞こえてきました。
そしてやってきた電車を見て思わずテンションUP!
その理由は、やって来たのが福井鉄道福武線のエース車両として長く活躍した200形という車両だったからです。
福井鉄道200形は、1960年から62年にかけて3編成が製造された連接車で、主に急行運用に使用されるために2扉セミクロスシート仕様となっていました。
200形は福井鉄道の車両の中でも特別な存在だったのか、2006年以降に車両の多くが名鉄からやって来た路面電車タイプの車両に入れ替わった後も、大型車両ゆえの輸送力の高さを買われて3編成とも生き残り、ラッシュ時を中心にこの当時も活躍を続けていました。
200形は、私の住んでいる関東から離れた福井を走っていながら、急行運用を中心に活躍していたせいかたまに鉄道関連の本に写真が掲載されていることもあり、生で見たことはなくても結構好きな車両でした。
そのため、せっかく福井鉄道に乗りに行くならどこかで200形にも遭遇するか、あわよくば乗車・撮影ができればいいなとは思っていたものの、先ほども書いたように当時すでに200形は基本的にラッシュ時のみの運用となっていること以外運用等についての情報を知らず、出会えるかどうかさえ分からないまま乗り鉄を始めたわけですが、思いがけず早い段階で200形への遭遇を果たすことができびっくりするやら嬉しいやら。
ちなみにこの時時刻は15時頃と、ラッシュ時対応の車両が動き出すには少々早めでしたが、おそらく学校帰りの学生が多く乗車することへの対応だったのかもしれません。
何はともあれ、やってきた200形の福井駅前行電車に乗車しました。
乗車したのは3編成のうち当時ベージュ色の地に紺色の帯という塗装だった201号。
収容力の大きい車両のためか、車内は3割ぐらいの乗車率だったでしょうか。
私も空いているボックス席にゆったりと座ることができました。
200形の車内はセミクロスシート仕様で、シートのモケットや車内の色づかいは国鉄型近郊型電車を思わせるものでした。
福井駅前付近の併用機同区間をフルサイズの大型車両で走るという、他ではなかなかできない経験をして福井駅前停留所に到着。
2007年当時の福井鉄道福井駅前停留所は、現在の福井駅停留所から150mほど離れた駅前の大通りの真ん中に1面1線のホームがあり、併用軌道区間や高さの低いホームで使用する、ドアの開閉と連動して作動するステップを利用して乗車や降車をしていました。
先ほど201号に乗車した駅では入線風景を撮影するのが精いっぱいだったので、折り返し時間を利用してこの201号をゆっくり撮影することができました。
やがて201号は折り返し武生新行となって折り返していきました。
とりあえず200形の乗車や撮影ができたということでひとまず満足し、一旦宿泊先のビジネスホテルへ向かおうと電車通りを歩いていたところ、201号と入れ替わるようにやってきた次の福井駅前行電車を見てまたもびっくり!
それは、先ほど乗ってきた201号と同じ200形ながら、前年(2006年)に製造当初から全盛期にかけての車体塗装だった紺色とベージュのツートンカラーに白い帯の入った塗装がリバイバルされた203号だったからです。
私にとっては福井鉄道200形といえばこの姿というイメージが強かったので、何の事前情報もなく出会えたのはまさにラッキーというほかありませんでした。
もちろん203号を追って福井駅前停留所へ戻り、停車中の203号をあれこれ撮影しました。203号は塗装だけでなく、前面方向幕が設置される前に前に前面に取り付けられていた急行ヘッドマーク兼行先表示板も再現されていました。(行き先表示が入っていた部分に「福鉄」の文字あり)
そして、201号同様折り返し武生新へ向けて発射していく203号を見送り、今度こそ宿泊するホテルにチェックインして一休みしました。
その後2時間弱経った頃、先ほどの203号が武生新から戻ってくるタイミングを見計らって再び福井駅前停留所へ向かい、今度はその203号に乗車して今度こそ終点武生新を目指すことにしました。
この時点で時刻は17時半を少し回った頃でしたが、会社帰りのラッシュには微妙に速かったのか混雑はさほどではなく、ボックスシートにはそれぞれ2~3人ぐらいが座る程度の込み具合で福井駅前を発車。
先ほど同様ボックスシートで乗り心地を満喫しながら50分ほど(?)で終点の武生新駅に到着しました。
203号の到着したホームの反対側には先着していた201号も停車していて、200形同士の貴重な並び写真も撮影することができました。
その後再び203号に乗車して福井駅前まで戻り、この日の乗り鉄・撮り鉄は終わりました。

翌日も10時過ぎの北陸線普通列車で福井を離れる前に、福井鉄道の電車の撮影を楽しみました。
朝のラッシュ時間帯ということもあり、前日乗車・撮影しまくった201・203編成をどちらも再び撮影できました。ただ、ここまで来たらもう1編成の202号にも出会いたかったですが、残念ながら3編成コンプリートはなりませんでした。
でも、子供の頃から乗ってみたかった200形の乗車・撮影を想定以上に楽しむことができ、これだけでも関西からの帰りに北陸を経由した甲斐があったというものでした。

福井鉄道200形はその後、2015年から順次運用から離脱していき、最後に残ったリバイバルカラーの203編成も2016年に運用を終えました。
203号はその後も沿線での保存の要望があり解体を免れ、現在は越前市の「北府駅鉄道ミュージアム」で展示されています。
かつての福井鉄道を代表する車両がしっかりとした環境で保存されるのは意義深いことで、私も機会を見つけて北陸新幹線乗車とあわせて203号に再会しに行きたいものです。