マクラメブレスレット作ってます。
委員のお疲れ様呑み会のあと、数日にわたって委員の集まりと個人懇談があり、なんしか忙しい一週間でありました。
オーダーをお待たせしていた皆様には申し訳ない限りです。
今は山場を乗り越えた感があってようやく動けそうなところ。
こんにちは。石読み師のサカモトです。
前座のネタは明日から。
今日はユグドラシルについて描いていきたいと思います。
その前にちょっとだけ訂正をば。
北欧神話の説明の中で、ウィキの中に”ゲルマン神話は初期のインド・ヨーロッパ神話から発展したものである。”
とあり、北欧神話はゲルマン神話の一部ということがかかれていたのだけど、信憑性がいまいちだったんで飛ばしてたのね。
ほいだら、違う書物の中にそれを証明する文章を発見したんでそれも載せておきます。
『古代の西ヨーロッパ人達は、ウォーデナズと呼ばれる神を信仰していた。これは後にヴォータン(古い高知ドイツ語)と、ウォーダン(古代サクソン語)に発展した。一般的に、彼ははじめ、多大な知識と生と死の力を持った空の神ー多分風か嵐の神ーとして考えられていたとされている。共に”風”を意味するサンスクリット語のvetaとラテン語のventusの語源である、インド・ヨーロッパ語のある言葉がこれの証拠になるかもしれない。彼はヒンズーの風の主、ヴァタとドイツの嵐の巨人ヴォーテに例えることができる。』
と、このように、インド、西ヨーロッパに伝わる神話が、何らかの形で北欧へ流れ込み、そこから物語が形成されて北欧神話に至ったという経緯があるのかもしれません(インドに宇宙樹はないけど、須弥山という世界の軸とされる山の話がある。ちょっと気になる)。
北欧神話が何冊かの書物としてまとめられたのは12世紀頃からでしたが、正確な成立年代は分かっておらずとも、紀元1世紀頃から数百年をかけて、文化や風習、原始宗教(自然崇拝、樹木信仰)等が神話という形になり、口承で伝えられてきたと言われています。
それ以前に、民族移動や移民などによって、外から伝えられてきた物語もあったのかもしれませんね。
さて本題。
北欧神話における宇宙樹の概念を丁寧に話しているとおそらくそれだけで12月が終わってしまいそうなので、
概要だけざっくりと話します。参考文献は「いちばんわかりやすい北欧神話 杉原梨江子」その他。
昔々、世界には何もなく、辺りは霧に包まれていて、その真ん中に大きな裂け目(ギンヌンガップ)があった。
その北側には暗くて寒い氷の国ニブルヘイムが、南側には炎の燃え盛る国ムルプスヘイムがあった。
ギンヌンガップのなかに、ニブルヘイムからは氷が落ち、その氷が裂け目の淵まで届いた時、ムルプスヘイムの炎がそれを溶かし、
雫がぽたりぽたりとしたたり落ちた。その雫に生命が宿り、人間めいた形をとって巨大な生き物が生まれた。
原初の巨人ユミルである。同じころ、雫から巨大な牝牛アウズフムラが誕生し、ユミルは牝牛の乳を飲んで成長する。
ユミルの脇や足を交差させたところから子供が生まれ、その子供から子孫が生まれ、やがて世界は巨人でいっぱいになった。
世界の始まりはこんな感じで、ユミルとは違う氷からブーリという”神”が生まれ、ブーリはボルという子供を産み、
巨人族の女性を娶って三人の男の子を生む。その長男がオーディンで、以後、この神の血族はアース神族と呼ばれる。
野心的な神々に成長した三兄弟は、ユミルを惨殺してその体を天地の材料としてギンヌンガップに放り込み、国作りを始めた。
なんだかんだで世界の土台ができた。宇宙樹は気づいたらそこにあった(成長過程やいつからあったのかはわかっていない)。
それから三兄弟は世界を散歩していて、落ちていた木から人間を作る(トネリコ=男、ニレ=女)。
アース神族、巨人族、人間族はそれぞれ区分けされた居住区にいて、それなりに楽しく生活していた。
そこへヴァン神族が横やりを入れてきて、アース神族vsヴァン神族の戦いが始まるが、長く続いた戦争につかれ、
お互いの人質を交換して仲直りし、力を合わせて巨人との戦いに挑むこととなる。
そこから一時平和になるが、数々の不吉な予言を聞いて不安になったオーディンがあれこれいらんことをして、
そのせいで結果的に予言通り、最終戦争ラグナロクが勃発してしまう。
最終的に大地は火炎に包まれて沈んでしまい、世界は滅亡する。
それから長い長い時間が経過し、大地が浮上。
植物が生い茂り、生き物たちが棲む状態でそれは残っており、生き残りのアース神族が昔を懐かしむ。
あと、人間も一組の男女のみ森の中で生き延びていた。
そこから新しい人間の始祖として再び子孫を増やし、豊かな大地へ広がっていった。
というのが流れです。
あとは図解でざっくり。
9つの世界:ゲルマン人の宇宙観による、三重構造の世界。第一層にはアースガルド(アース神族の世界)、ヴァナヘイム(ヴァン神族の世界)、アールヴヘイム(白妖精の世界)、第二層にはミッドガルド(人間の世界)、ヨトゥンヘイム(巨人の世界)、ニダヴェリール(小人の世界)、スヴァルトアールヴウヘイム(黒妖精の世界)、そして第三層には、ヘル(死者の世界)、ニヴルヘイム(凍れる霧と闇の世界)、ムルプスヘイム(火炎の世界)がある。全ての中軸となるのが世界樹ユグドラシルだ。
というのが北欧神話の全体構造となっております。
この神話の面白いところは、神が巨人をやっつけるみたいな単純な勧善懲悪の話じゃなくて、
どちらかというと神々の我が儘にみんなが振り回されて因果応報、みたいなところにあるかもしれない。
巨人を解体して天地を作ったために、子孫に復讐されないかと戦々恐々している神々が、
巨人を悪い奴と決めつけて色々ちょっかいをかけ、知識を奪ったり宝物を盗んだりして、
怒った巨人と闘うことになり、だんだんそれが激しくなってラグナロク勃発という流れがあり、
その流れに巻き込まれ振り回されて割を食うのが人間みたいな構図で物語は進んでいきます。
神々や巨人が人間らしく奔放に、生き生きと描かれているのが印象的です。
それでいて、終末の悲劇へと向かっている物語は、北欧での飢えと寒さの厳しい世界を反映させているかのようです。
そのことについて、「いちばんわかりやすい北欧神話」の中で、著者がこう語っています。
”氷に閉ざされた冬は暗く長く、農耕、牧畜、狩猟、漁獲を生業とした暮らしは、生き延びる事さえ困難であった。そのような生活そのものが戦いともいえる時代に産まれた神話なのだ”
と。
いままで長らくケルト・北欧神話の各国に伝わる神話を見てきました。
個性的な神々や美しい物語の中に、そこはかとない共通点を見つけたり、生命力の強さを感じることもありました。
中でも、私が一番気になったのは、各国に存在していたとされる”ドゥルイド”の存在です。
北欧神話にこそ出てきませんが、北欧神話で一番有名なオーディンが魔法使いを神格化させたようないでたちでいる事にも、何か理由があるように感じています。
ケルト・北欧神話のまとめとして、次回はドゥルイドについて書きたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
冬の訪れを鼻先で感じながら☆