今回は、次のφの関数Φ(φ)の微分方程式(B-1)を解きます。
φの関数Φ(φ)
●規格化された波動関数Φ(φ)
※ここで、φの関数Φは虚数関数と実数関数の2種類あります。実数関数は表現が複雑です。これは固有関数および固有値という問題で、「1個のmの値に対して1個の関数が対応するのは虚数関数の場合だけである。」ということです。また、虚数空間のどこに電子があるかという場合、空間的に電子軌道がどのように結合しているかという場合、さらに混成軌道の場合などは、実数関数を使います。
●微分方程式(B-1)の解
◎実数解
cos|m|φとsin|m|φが、微分方程式の実数解であることを確かめてみます。
○Φ(φ)=cos|m|φとおきます。
微分方程式の解であることがわかります。
○Φ(φ)=sin|m|φとおきます。
微分方程式の解であることがわかります。
◎虚数解
Φ(φ)=e^imφが、微分方程式の実数解であることを確かめてみます。
虚数 iを導入します。i^2=-1です。
Φ(φ)=e^imφとおきます。
微分方程式の解であることがわかります。
●規格化
規格化の式は次のようになります。
極座標での規格化の式は次のようになります。
関数を代入すると次のように書き換えられます。
それぞれの関数は変数分離されているので、次のように書き換えられます。
さらに個々の関数においても規格化されている必要があるので次のようになります。
ここで、Ψ*(r,θ,φ)、R*(r)、Θ*(θ)、Φ*(φ)は、それぞれ対応する共役複素関数を表しています。
◎実数解
Φ(φ)が実数の関数の場合、Φ*(φ)= Φ(φ)です。ゆえに次のように簡略化できる。
規格化定数をNとします。
(ii-a) m=0の時
ここでは次を採用する。
規格化されたの波動関数は次のようになる。
(ii-b) m>0 の時
(ii-b-1) Φ(φ)=cos|m|φの場合
規格化の式に代入すると次のようになる。
ここでは次を採用する。
規格化されたの波動関数は次のようになる。
(ii-b-2) Φ(φ)=sin|m|φの場合
規格化の式に代入すると次のようになる。
ここでは次を採用する。
規格化されたの波動関数は次のようになる。
◎虚数解